カテゴリーアーカイブ:社会の見方

未婚の増加、その対策は

2022年11月2日   岡本全勝

10月24日の日経新聞オピニオンランは「未婚社会を生きる」でした。詳しくは原文をお読みいただくとして。

藤波匠・日本総合研究所上席主任研究員は、若者の結婚と出産への意欲の低下の原因は所得や雇用環境の悪化にあるとして、「若者の雇用改善急げ」と主張しています。
井上高志・ライル社長は、住居費を減らすことで多様な生活の選択を後押しするべきと主張しています。

林伴子・内閣府経済社会総合研究所次長は、女性が仕事と家庭を両立させにくい労働市場の硬直性、所得が高くないと結婚できないという思い込みなどに原因があるとして、「結婚のハードル下げよ」と主張しています。
林さんは内閣府男女共同参画局長も務めましたが、経済政策が専門(旧経済企画庁採用)で、長くそれに従事してきました。霞が関には、まだ若者政策、結婚や子育て政策の専門家が育っていないのです。

看護師の謎の規則

2022年10月31日   岡本全勝

10月20日の朝日新聞夕刊に「看護師の現場、謎ルールだらけ 靴下は白・上着ダメ・水分補給ガマン」が載っていました。

・・・職場にある様々なルール。でも、それが納得できないものだとしたら……。看護師の現場で考えた。そもそも、ルールはどうあるべきなのだろう。
東京都内の大学病院。ある日、看護師の女性(27)は職場で上司に呼び止められた。「その靴下の色って何色ですか? なんで黒なんですか」
「靴下を切らしてしまって……」。連日の勤務に疲れ果て、洗濯もままならなかった。くるぶしまでしかないタイプで、ズボンの裾から、ほんの少し黒みが見えるだけだ。「靴下は白」がこの病院のルール。だが、医師は好きな色の靴下をはいている。「どうして看護師だけ、だめなんでしょうか」

納得できないルールはほかにもあるという。看護服は半袖しかないが、冬の寒い日でも、患者の前ではカーディガンを羽織ることを禁じられている。夜勤の時は「すごくつらい」。
ナースステーションでは水分補給をしない。そんな「暗黙のルール」もある。勤務中はがまんをして、昼休みに休憩室で水を飲む。「水分補給はこまめに、と呼びかける側なのに。理屈に合ってなくておかしいですよね」
この女性は最近、なぜ靴下は白なのか、上司に尋ねてみた。返ってきた答えは「私もわからない。伝統だから」だった・・・

笑ってはいけませんが、これは面白いお話です。「前例通り」には、時に不合理なことがあります。
少し違いますが、半ズボンが決まりだった小学校で、寒いから長ズボンをはいたら、先生に叱られたという話を読みました。「先生は長ズボンなのに」と言って、さらに叱られたそうです。

大学卒業後の進路を考える時期

2022年10月27日   岡本全勝

10月18日の日経新聞夕刊「就活のリアル」、栗田貴祥・リクルート就職みらい研究所所長の「卒業後の進路考える時期 日本は海外より遅く」から。

・・・日本では「新卒一括採用」という独自の就業システムが長く続けられてきた。そうした背景から、就職活動を始める時期が「自分の進路を考え始める時期」と重なっている学生も少なくない。では、世界の若者と比べ、進路を決める時期にはどのような特徴があるのだろう。
リクルートワークス研究所が2012年に行った「Global Career Survey」では、日本を含む世界13カ国の20代、30代の大卒者に「大学卒業後の進路を決めた時期」を聞いている。
日本は「大学生の後期」との回答が66%と他国よりも圧倒的に多く、「大学生の前期」は12%。「高校時代」は2.3%だった。一方、米国で「大学生の後期」と回答した人は21%、ドイツでは19.1%で、オーストラリアやインド、マレーシア、インドネシアなど多くの国で2割前後だった。
日本と比べて、「大学生の前期」「高校時代」に卒業後の進路を決定したという割合が多い。米国は32.5%が「大学生の前期」、20.2%が「高校時代」と回答。ドイツでは「高校時代」が33.6%を占めた・・・

・・・では、卒業後の進路について考え始めた時期は、働く意欲にどう影響するのだろうか。
リクルート就職みらい研究所では22年大卒生を対象に「卒業後の進路について具体的に考え始めた時期別の就職活動開始時点での働く意欲」を調査した(就職白書2022)。働く意欲が「十分ある」と答えた学生は、高校生以前に進路を考え始めた学生では36.5%、大学1、2年時に考え始めた学生は30.6%だった。大学3年前期になると23.5%、大学3年後期では16.8%と減少傾向にあり、早い段階から自分の将来を意識して学ぶ学生のほうが、より意欲が高くなることがうかがえる。
世の中にはどんな仕事があり、その仕事についている人はどんな勉強をしてきたのだろう。そう考え、早い段階から仕事についての情報に触れることで、学業と将来のキャリアを結び付けて考えられるようになるのではないか・・・

良い学校に進学することが人生の目標になっていたことが、この問題の背景にあると思います。かつては、良い学校を卒業すれば良い職業に就けるという人生が読めたのですが、高校進学率がほぼ100パーセント、大学進学率が50パーセントになると、良い学校を出ると良い職業に就けるとはならなくなりました。原点に戻って、各々の人生を考え、どのような職業に就きたいのかを考え、それから学校を選ぶ形に変える必要があります。

円安でも買われない日本企業

2022年10月25日   岡本全勝

10月14日の日経新聞オピニオン欄、レオ・ルイス、ファイナンシャルタイムス・エディターの「円安でも買われない企業」から。
・・・だが、今回の規制緩和で日本に戻ってくると期待されている外国人は観光客だけではない。米国や欧州に拠点をおくファンドマネジャーなどの投資家も久々に日本に再び出張してくると思われる・・・しかし、だからといって彼らのファンドの投資ポートフォリオにおける日本株の比率が高くなる可能性は引き続き低い。

日本企業への投資が増えないのには理由が4つある。
第1は、今の円安は日銀が超緩和策に固執し、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ政策と乖離してしまっているのが原因だが、日本の株式市場が割安な水準にあり続けているのには、もっと本質的な理由がある。
日本はそもそも天然資源に恵まれず、高齢化問題を抱え、エネルギー政策は福島第1原発事故以来この10年、ほぼ何の進展もなく、こうした問題が日本経済をむしばみ続けている。故安倍晋三元首相は「日本は変わりつつある」と国内外にアピールするのに成功したが、岸田氏はそうしたメッセージを全く発信できていない。
第2の理由は、日本市場には利益率が高く多様な企業が多く存在するにもかかわらず、国内の投資家が触手を伸ばさないことにある・・・

・・・今回、コロナ禍を経て海外の投資家が訪日しても日本企業に思ったほど投資しないと思われる第4の理由は、今後さらに3年待ってみても、日本が大きく変わると期待できる要素が全く見当たらないことだ。
今、多くの人が懸念しているように世界的な景気後退が起きつつある。日本企業の多くは抱える債務の規模が比較的小さく、多額の内部留保を積み上げてきたことからほかの国・地域ほど大打撃は受けそうにない。むしろ投資家には魅力的に映ってもいいはずだ。
まさにこうした「雨の日」に備え、晴れた日が何年続こうとも内部留保をせっせとためてきた。企業としての野心より存続を優先するやり方を貫いてきたわけだが、海外投資家はそんな企業は求めていない。
景気後退という嵐の中にあっても、あえて失敗を恐れずに果敢に挑戦しようという日本企業の姿を既に想像できないうえ、嵐が去ってもリスクを取ろうとはせず塹壕の中で縮こまり続ける姿を想像できるだけに日本企業を今が買い時だと考える海外投資家はいなさそうだ・・・

インターネット記事の信憑性

2022年10月24日   岡本全勝

10月14日の朝日新聞オピニオン欄「津山恵子のメディア私評」「偽情報に揺らぐ米 ニュースの信頼性判断、AIが一役」から。

・・・米ヤフーは今年9月6日、人工知能(AI)を使って、ニュース記事の信頼性をランク付けするウェブサイト「ザ・ファクチュアル(The Factual)」を買収したと発表した。米国では、フェイクニュースや陰謀論の蔓延(まんえん)に加え、主要メディアに対する米市民の信頼が過去最低となるなど、流通する情報が信じられていない。米ヤフーは、「ヤフーニュース」に掲載する記事に、ファクチュアルを使ったランク付けを加え、記事の信頼性を判断するのを助ける狙いだ。
 ファクチュアルは、2019年に始まり、1日に1万本以上の記事をランク付けしてきた。AIにより、(1)ニュースの発信源に政治的バイアスがなく、品質が保たれているか(2)筆者がきちんとリサーチし、専門知識があるか(3)直接取材の程度を解析。記事の信頼性・信憑性を1~100%の数値でランク付けする。75%以上は「極めて参考になる」記事であり、50%以下は「参考にならない」とみなされる・・・

・・・今回の買収の背景には、米市民の「ニュース離れ」という深刻な状況がある。米世論調査機関ギャラップによると、米国人が主要メディアに抱く信頼は今年、同社が調査を始めてから過去最低の水準に落ち込んだ。
新聞への信頼性は成人全体の16%、テレビニュースは11%と、前年比でそれぞれ5ポイント減少した。新聞の発行部数がピークで、CNNなどケーブルニュース局の成長期に当たる1993年には、新聞31%、テレビは46%だった。

なぜ、ここまで落ち込んだのか。一つの原因はドナルド・トランプ前大統領だ。今もなお、新聞・テレビなど主要メディアを「フェイクニュース」と攻撃し続ける。彼の集会に行くと、記者が取材しているメディアブースをトランプ支持者が取り囲み、「フェイクニュース!」となじる姿をよく見る。
トランプ氏が支持し、愛する保守系のケーブルニュース局、FOXニュースの開局は96年と、CNNより後発だった。しかし、今やCNNの数倍という視聴者数を獲得し、市民への影響力は大きい。しかも、トランプ氏が毛嫌いするリベラル系のニューヨーク・タイムズ(NYT)やCNNを激しく批判することもいとわない・・・