カテゴリーアーカイブ:社会の見方

発達障害の子8.8%、

2022年12月23日   岡本全勝

文部科学省の調査で小中学校の児童生徒の8.8%に発達障害の可能性があることが分かりました。

12月14日の朝日新聞「「発達障害」の子8.8%、4割は支援受けず」から。
・・・全国の公立小中学校の通常学級に通う児童生徒の8・8%に、発達障害の可能性があることが13日、文部科学省の調査でわかった。35人学級であれば1クラスあたり3人程度いることになる。このうち4割強は、授業中に丁寧な指導を受けられるようにする配慮・支援を受けていなかった。識者は、専門知識がある教員による個々の児童生徒の特性に応じた支援態勢の強化が必要だと指摘する。

調査は10年ごとに行われ今回は今年1〜2月に実施。全国の公立小中高校の児童生徒から約8万9千人を抽出し、学習障害(LD)、注意欠如・多動症(ADHD)、高機能自閉症に関する質問が当てはまるかを担任教員らが回答。回答率は84・6%だった。この調査では、医師による発達障害の診断は行われていない。
調査結果によると、「学習面または行動面で著しい困難を示す」とされた、発達障害の可能性がある小中学生の割合は8・8%(男子12・1%、女子5・4%)だった。今回と前回の調査は一部の質問内容が異なるため単純比較できないが、2012年の前回調査時の6・5%より増えた。今回から調査対象になった高校生は2・2%だった・・・

近年、そのような子どもや人が増えたのでしょうか。昔からいたのですが、隠れていた、隠されていたのでしょうか。
いずれにしろ、「優等生を育てる教育」だけではダメで、「ついて行けない子どもや人を支援する教育と社会」をつくる必要があります。連載「公共を創る」での、私の主張です。

物の豊かさより心の豊かさ

2022年12月22日   岡本全勝

12月10日の読売新聞「岐路の資本主義 共感すれば買います ファンが市場動かす」に「モノ消費」から「コト消費」」へ移っていることが書かれています。

・・・経済成長を経てモノが飽和する現代は、生活者の価値観が多様化している。同時に、人々の間に「共感」を抱こうとする姿勢が広がりつつある。他者とのつながりや社会への配慮を意識した行動が、新しい資本主義を考える際のカギになる・・・

内閣府国民生活に関する世論調査が図になって載っています。重視したいのは心の豊かさか物の豊かさかを聞いた調査です。1977年には双方が40%程度と並んでいましたが、その後差が広がり、近年では「物の豊かさ」が30%に対し、「心の豊かさ」が62%です。
もっとも、現実生活でそのような行動が取られているかは、わかりません。格差が広がり低所得で不安定な職業では、心の豊かさを望んでも困難な場合があります。

スポーツ選手への中傷と批判

2022年12月21日   岡本全勝

12月9日の朝日新聞スポーツ面「W杯を語ろう」「中傷と批判、選手守るには」から。

田中ウルヴェ京さんの発言
誹謗中傷のわかりやすい例は、人格、人種など「選手」としてではなく「人」として変えられないものについて悪く言い、その人を傷つけることでしょう。
批判とは、根拠をもとに、良いところと悪いところを分けて評価したり、検証して論じたりすることです。そして、批判にも「やり方」があります。目的が何なのか。目立ちたい、怒りをぶつけたいなど自己主張が目的だとすれば、それは“悪質な”批判、あるいは誹謗中傷でしょう。選手らと同じ立場で一緒に戦っていない人は、批判の前提である根拠がありません。

スポーツ選手が負けると、テレビなどを通じて表面的に見える部分だけで安易に判断し、中傷する人がいます。しかし、負けたからといって誰しもが中傷したくなるわけではありません。中傷をSNSに書く人は、その書き手自身に勝手な目的がある。書き手の心理背景が中傷の目的にある限り、そして、書き手が自身の課題に向き合うことから逃げる限り、中傷はなくなりません。

荒木香織さんの発言
五輪やサッカーW杯などのメジャーな大会であればあるほど、批判や誹謗中傷は多くなってきます。ファンが期待するものと、現実の結果との落差に腹が立ち、それをはき出したくなるのでしょう。
選手側から対策を考えていきます。
私が選手に伝えているのは「大会前後、レース前後は絶対にSNSは見ない」「自分の名前を検索しない」ということ。これが大前提です。書かれていたコメントをどう受け止めるかという以前に、一番必要なことです。
2015年のラグビーW杯のとき、私がメンタルコーチを務めた日本代表は「見ない」ということを決めていました。

大会に向けては、メディアコントロールが重要です。いい準備をするために必要なもの以外は、全てシャットダウンしていきます。一般の人が書き込むSNSもそうですが、新聞やテレビも例外ではありません。
記者との接触一つでも気を使います。たとえば、記者から「こういう風に思うのですが、どうですか」という質問があっただけでも、選手は不安になったり、動揺したり、いらだったりする可能性があります。
そのくらい選手も私たちと同じ「人間」です。中傷にさらされれば、心理的なダメージを受けます。

大会が終わってからも、ネット上に書き込まれたものは残ります。大会後も見ないと自分で決めるか、「反応しない」と決意して見るか、だと思います。
見たくて見るのであれば、選手も相応の覚悟をしないといけないと思います。そのくらい深刻に捉える必要があります。

黒田日銀10年、低金利なのに伸びない設備投資

2022年12月20日   岡本全勝

12月7日の朝日新聞経済欄「黒田日銀10年 異次元緩和の光と影:下」「低金利なのに、伸び悩む設備投資」から。

・・・日本銀行が金融緩和で狙ったのは、人々が財布のひもを緩めて消費を拡大させることに加え、企業がお金を使って投資を増やすことだった。緩和で企業の行動は変わったのか・・・
・・・緩和前に超円高に見舞われ、低迷していた企業業績は緩和下の円安もあって回復。上場企業全体の2022年3月期決算は、最終的なもうけを示す純利益が過去最高となった。民間企業の国内の設備投資(名目)も、12年の76兆円から20年には86兆円に増えた。
ただ、設備投資は主要先進国より伸び悩む。内閣府の年次経済財政報告によると、各国の設備投資額(00年=100)を比べたところ、日本は12年の100から21年に108・7となったが、米国は131・1から177・5になるなど、他国の伸びはより大きかった。
日本が伸び悩む一因に、投資先が国内より成長が見込める海外に向かっていることがある。

「低金利だからということで、設備投資が増長されることはない」
11月、中間決算を発表した東レの大矢光雄副社長は記者説明会で、緩和が設備投資の判断に影響するか記者に問われ、こう否定した。世界29カ国・地域に拠点があり、売上高の海外比率は56%。22年度までの中期経営計画に盛り込んだ5千億円の設備投資も、6割が海外での投資だ・・・

・・・ 低金利環境で企業が助かった面もある。資金繰りが改善し、倒産件数は抑えられている。
東京商工リサーチによると、21年度の倒産(負債額1千万円以上)は5980件で1964年度以来の少なさだ。12年度に1万1719件だった倒産は緩和下で減少傾向が続き、19年度には8631件まで下がった。コロナ下の政府による金融支援もあり、歴史的な低水準に抑えられている。

一方で業績が悪く、本来なら経営が行き詰まりかねないような企業の延命につながったとの指摘もある。
倒産が抑えられれば雇用などにプラス効果がある半面、新陳代謝が滞れば、経済成長にマイナスの影響も出かねない・・・

首相を詰問するイギリス報道機関

2022年12月19日   岡本全勝

12月7日の朝日新聞夕刊、金成隆一・ヨーロッパ総局記者の「首相を詰問 英メディアにみた、記者の役割」から。

英国で7月以降、3カ月ほどの間に2人の首相が相次いで辞任を表明した。ロンドンを拠点とする記者としてこの政治の混乱を取材したが、英メディアの記者らが首相にぶつける質問は厳しかった。

「まるでロビンフッドの正反対ですね」。トラス首相(当時)本人に向かってこう批判したのは、公共放送BBCの中部ノッティンガム放送局の司会者だ。
各地方局の司会者らが順に首相に質問するラジオ番組の中で、政権の減税案について「富裕層を利する」とデータも示しつつ指摘。富裕層から富を盗み、貧者に分けたとされる伝説的な義賊と比較し、あなたは「正反対だ」と断罪した。
財源の裏付けに乏しいまま政権が減税案を発表した直後から、通貨ポンドが急落するなど市場が混乱。そのさなかでの番組で、他の地方局からも「恥ずかしいと感じているか」「あなたのせいで困窮は悪化している」といった厳しい言葉が相次いだ。

きちんとした答えが返ってこなければ、再質問で問い詰める。市場の混乱について国民への説明がしばらくなかったことから、質問者は「どこにいたんですか?」と聞いた。首相が答えずに自らの実績を強調し始めると、「それは(市場を混乱させた減税案の)前の話です」と遮り、再び「どこにいたんですか」と質問した。