カテゴリーアーカイブ:社会の見方

鯨肉を食べなくなった、肉食の変化

2023年1月21日   岡本全勝

1月7日の読売新聞夕刊に「クジラ肉は自販機で」という記事が載っていました。

「鯨肉はたんぱく質や鉄分など栄養価が高く、食糧難にあえぐ終戦直後の日本の食卓を支えた。農林水産省の統計によると、国内の鯨肉消費量は1962年度には23・3万トンに達し、牛肉(15・7万トン)や鶏肉(15・5万トン)を上回っていた。
ところが乱獲で鯨が激減し、資源管理を行うIWCは80年代、商業捕鯨モラトリアム(一時停止)を採択し、発効。食文化も変化し、鯨を食べる習慣は急速に失われた」とあります。

その変化が、表になっています。
前が1962年度、後ろが2021年度の国内年間消費量、()は1人1年あたり消費量です。半世紀の間に、牛肉などの消費がこれだけも増えたのですね。
牛肉15.7(1.2)、126.7(6.2)
豚肉32.2(2.3)、267.5(13.2)
鶏肉15.5(1.2)、260.1(14.4)
鯨肉23.3(2.4)、0.1(0.0)

日本酒の4合瓶

2023年1月21日   岡本全勝

1月14日の日経新聞に「日本酒なぜ4合瓶? 一升の半分にしなかった理由」が載っていました。
・・・熱かんがおいしい冬。スーパーの店頭には4合瓶(720ミリリットル)が並んでいる。昔ながらの一升瓶(1800ミリリットル)は、合に換算すると10合。半分の5合ではなく、4合瓶が主流なのはなぜか・・・

世間では「しごうびん」と発音するようですが、相手に伝わりにくいので、私は「よんごうびん」と呼んでいます。ワインの瓶が750ミリリットルなので、ほぼ同じ量です。
「洋の東西を問わず、これくらいが家庭向きなのかな」と思っていました。アルコール度数も近く、飲んだ量を計算するには、便利な基準です。「×日で、4合瓶(ワイン)1本を空ける」というように。

日本酒は、かつては樽や陶器のとっくりに入っていました。一升瓶が出始めたのが明治30年代で、大正期に普及したとのこと。そのころは、一升瓶のほかに5合、4合、2合瓶もあったようです。
一升瓶は大きくて、冷蔵庫には入りません。ところが、4合瓶が普及したのは、売る側の都合のようです。一升瓶の半分の量で、半額ではコストがかかります。4合瓶で半額は、都合よかったようです。

日本の家は寒すぎる

2023年1月19日   岡本全勝

1月1日の朝日新聞生活欄「日本の家は寒すぎる」から。

・・・2022年10月、京都市であった第29回国際高血圧学会。
「高血圧や循環器の病気は生活習慣病として広く知られていますが、住環境による『生活環境病』としても捉える必要があります」
学術集会での招待講演で、東京工業大の海塩渉(うみしおわたる)助教(建築環境工学)が訴えた。「日本人の多くは、寒すぎる部屋で暮らしているのです」

部屋の寒さが、健康にどう影響しているのか。近年の研究で徐々に明らかになってきた。
海塩さんも参加する、慶応大・伊香賀(いかが)俊治教授(建築環境工学)らの研究チームは、14年度から、国土交通省の補助金を受けて「スマートウェルネス住宅全国調査」を始めた。建設会社や医師らとも協力し、断熱改修を控えた全国約2190軒の戸建てを対象に、冬の2週間、居間や寝室、脱衣所の室温を10分おきに測定。断熱改修後にも同様に測った。
その結果、断熱改修前には約9割の家で在宅中に18度未満になった。居間について都道府県ごとに平均室温をみると(調査対象が少ない4県はのぞく)、18度以上は北海道、新潟、千葉、神奈川の4道県にとどまった。最も低かったのは香川で、北海道との差は7度近かった。

18度は、世界保健機関(WHO)が推奨する冬の最低室温だ。WHOは18年、「住宅と健康ガイドライン」を発表。寒冷な季節に、人々の健康を守るための安全でバランスのとれた最低室温として18度を強く勧告した。寒冷地では、新築住宅に効率的で安全な断熱材を使い、既存住宅も断熱改修を行う必要があるとした。
世界的に高齢化が進み、今後ますます高齢者が自宅で過ごす時間が増えるとみられる。しかし、その家が寒いと高血圧による循環器疾患のリスクが高くなってしまう・・・

差別を生んだ分類の歴史

2023年1月18日   岡本全勝

1月4日の朝日新聞オピニオン欄、竹沢泰子・京都大学教授の「人種も社会的に作られた 分類したがる私たちは差別をなくせるのか」から。

――そもそも、なぜ私たちは物事を区別し、分類するのですか。
「人間は多種多様な情報を、視覚や聴覚といった五感などで受信し、分類することで整理しています。脳の中に数多くの箱のようなものをつくって情報を投げ込み、比較して理解したり、予測したりする。見知らぬ世界のことは大きく分類し、よく知る世界では細かく分類する。効率的で便利な情報処理システムで、人間が普遍的に持っている能力です」
「しかし、何をどのように分類・区別するかは、後天的です。植物や動物、雨や雪などをどう分類し、名づけるかは、文化圏によって異なります。人間を分類する場合、肌の色などの外見で区別するとは限りません、儀礼や慣習で、自集団と他集団を区別する社会もあります」
「分類したそれぞれの人間集団に固定的な偏見を抱きがちですが、それらは私たち自身の中にある、なりたくないもの、自分の中から排除したいもの、あるいは逆に、憧れるもの、取り入れたいものを投影しているのです」

――見た目も違うので、分類に科学的根拠があると思いがちですが。
「目で見て分類するというのは、解剖学や遺伝学が発達するまでは博物学の基本でしたが、今は違います。そもそも人間の外見は実際には多様で連続体です。それを無理やり分類して、名付けるのは、時代と社会の産物です。100年前、米国のジャーナリストのウォルター・リップマンは『人間は見てから定義するのではなく、定義してから見るのだ』という言葉を残しました」

国際と国内の分断2

2023年1月17日   岡本全勝

国際と国内の分断」の続きです。1月4日の朝日新聞オピニオン欄、板橋拓己・東大教授の「2度目の大戦を招いた「戦間期」と今の類似点 何に再び失敗したのか」から。

――社会の分断については、どこが共通しているのですか。
「ワイマール期ドイツは、労働者、保守層、カトリックなどに分断され、支持政党も読む新聞も違っていました。主流のメディアがなかったので、同じ出来事への評価がばらばらに分かれてしまう。今でいえばエコーチェンバーのようなところがあって、自分たちが見たいものしか見ない。陰謀論も流行しました」
「現在も、米国が典型ですが、リベラルや保守といったセクターごとに、メディアも政党も固定されてしまっています。対話がなくなっているという状況が、戦間期と似ているように思います」
「分断したからといって、ただちに対立につながるわけではありません。社会が分極化して価値観が多元化すること自体は、多様な利害が反映されるという点で、民主主義にとって健全なことかもしれない。ただ、そのためには、相手の立場を尊重することが必要です。意見の違う相手はたたきつぶすという態度は有害で、その典型がファシズムです。そういう政治を許してはならないというのが戦間期の教訓でしょう」

――なぜ、分断がファシズムに行き着いたのでしょうか。
「最大の原因は不安です。ナチス躍進のきっかけは、世界恐慌で失業が激増したことです。ただ、ナチスの得票率を見ると、むしろ失業者が少ない地域で高かった。ナチスを支持したのは、実際に失業した労働者よりも中産階級でした。明日は我が身かもしれないという中間層の不安を、ナチスは巧みに利用したのです」
「不安をかき立てられた人が急進右派に走るのは、現代も同じです。『ドイツのための選択肢』という排外主義的な右派ポピュリズム政党がありますが、支持者は移民が多い旧西独の都市部よりも、移民が少ない旧東独地域に多い。移民が少ない地域のほうが、外国人が増えたら今の生活が崩れるのではないかという不安が強いのです。不確実な未来への不安が大きくなると、極右への支持につながってしまう」

――「不安の暴走」を防ぐには、何が重要ですか。
「権力者とメディアの責任は大きいでしょう。分断と同様に、不安もただちに対立につながるわけではありません。権力者が自由民主主義のルールを順守し、対立をあおるゲームに乗らないことが重要です。メディアも、行き過ぎた言論に対しては抑制的になるべきです。社会が分極化すると、メディアや政治家も極端な方向に走りがちですが、それをいかに自制できるかが課題です」