カテゴリーアーカイブ:社会の見方

酒票、その2

2024年4月14日   岡本全勝

威徳輝宇宙」(2月24日)で、清酒瓶に貼ってあるラベルを「酒票」と呼ぶと書きました。知人が、雑誌「dancyu」3月号「王道の日本酒」に「クラッシック酒ラベルの来た道」が載っていると教えてくれました。
読んでみると、明治編、大正・昭和(戦前)編、昭和(戦後)編、平成・令和編の4つに分けて、それぞれの時期の代表的な酒票の写真と、その傾向が説明されています。石田信夫・比治山大学名誉教授の説明です。40年にわたってコツコツ集めて、コレクションは2万点とのこと。

明治期は、木樽に貼ったB5ほどの大きさでした。戦後になってガラスの一升瓶がほとんどになると、ラベルは小さくなります。写真を見ると墨一色のものから、色刷りの絵もきれいな鮮やかなものへと進化しています。そして、平成になると、銘柄だけの簡素なものへと変化します。
世の中は、さまざまなものに歴史があり、それを研究する人がいるのですね。

欧米への憧れ、本棚

2024年4月5日   岡本全勝

4月4日の日経新聞文化面に、BSテレ東の番組宣伝が大きく載っていました。「あの本、読みました?」です。
ところが、鈴木保奈美さんの後ろに写っている本棚、ずらっと並んでいるのが洋書の古書です。ウエッブではそれとは違い、和書の本棚と欧米のファッション誌と思われるのが並んでいます。

こんな洋書の古書、今どき日本の勤め人が読むのでしょうか。日本では、洋書が並んだ本棚の写真が、商売になるのです。
鹿島茂先生、書棚の風景を売り物にする」「フランス文学者・鹿島 茂さんの本棚を拝見!

政府は投資ファンドを作るより、税制や規制緩和を通じ起業しやすい環境作りに徹するべき

2024年4月3日   岡本全勝

3月28日の日経新聞オピニオン欄、梶原誠・コメンテーターの「株高に潜む「父権主義」の罠」が載っていました。

・・・日経平均株価が1989年末の高値を超え、日本経済を苦しめた「34年の呪縛」は解けた。だが100年前からの呪縛はまだ続く。「父権主義」の罠だ。
父権主義は「パターナリズム」ともいい、権力者が保護を目的に弱者に干渉する。市場目線で言い換えると、政や官が企業の活動に介入する。企業の関心は顧客より「お上頼み」になり、独自の思考もなくなる。イノベーションを追う株式市場はこの風潮を嫌う・・・
・・・34年間を振り返ろう。まず比較対象として伸びた銘柄を見る。時価総額を飛躍的に増やしたのは独創性を発揮した企業だ・・・沈んだ銘柄はどうか。目立つのは、父権主義が色濃く残る規制業種だ。東証業種別株価指数の下落率を見ると、電気・ガスと証券・商品先物がそれぞれ70%前後、銀行は80%に及ぶ。横並び経営が目立つこれらの業種が株式市場で幅を利かせると、投資家の目利き力は生かしがいがなく衰える。
残念ながら「下落組」の存在感は大きい。34年前と時価総額を比較できる1189社中、増やした会社は3分の1の397社に過ぎず、減らした会社は2倍の792社だ。両銘柄群を株価指数化してみよう。父権主義に染まる多くの会社の株安を、独創的な一握りの企業が株価を4倍近くに高めて埋め合わせた実態がちらつく・・・

・・・日本も父権主義を葬るチャンスを迎えた。日銀は今月、人為的に金利を抑え、株価を底上げしてきた異次元緩和を終えた。
一方で、逆行する動きも静かに進む。レコフデータによると、コロナ禍が始まった20年から23年までの官製ファンドの投資額は2兆円弱と、19年までの4年間の3倍を超えた。既得権を守るためだろう。いったん始まった「大きな政府化」に歯止めが利きにくいことは、世界の歴史が示している。

参考になる会話がある。昨年死去したドイツの大物政治家、ウォルフガング・ショイブレ氏は2009年からの財務相時代、米投資会社KKRの共同創設者、ヘンリー・クラビス氏に意見を聞いた。「政府がベンチャー企業に投資するファンドを作りたい」
クラビス氏は反対した。「政府は税制や規制緩和を通じ、起業しやすい環境作りに徹するべきだ。良い会社があれば民間マネーが見つける。約束してもいい」
日本への問いが浮き上がる。政府は縁の下の力持ちに徹するか。成長する企業は生まれるか。投資家はそんな企業を探し出す目利き力を持つか――。世界は今後、これらの視点で日本経済を見つめるだろう。急ピッチで進んだ株高を維持する条件でもある・・・

ご請求金額

2024年3月30日   岡本全勝

東京ガスからお知らせが来ました。「ご請求料金確定のお知らせ」とあります。「ご利用金額」ならわかるのですが、「ご請求料金」はおかしいと思いませんか。相手の「利用金額」に「ご」をつけるのはよいですが、会社側からの「請求金額」に「ご」をつけるのは、私は違和感を感じました。そこで、国語の先生に聞きました。

私たちが学習したころは、敬語は三種類の分類でしたが、最近は五種類に分類しているようです。「御」(「お」「ご」)は美化語と言われているようです。
敬語は、誰を敬いたいか、「行為者」に対してなのか、「向かう先」なのか、「相手」なのか、で使い分けます。
「ご利用金額」と使う場合は、利用するのがお客様と考えて、利用する「行為者」を敬うはたらきと考えます。「(お客様が)ご利用なさった金額」で、尊敬語のような意図がある。
「ご請求金額」になると、請求するのが東京ガスで、請求することの「向かう先」を敬うはたらきと考えます。「(東京ガスがお客様に)請求いたします金額」で、謙譲語のような意図がある。視点の違いだから、どちらもありとのことです。

文化庁文化審議会答申「敬語の指針」が掲載されています。39ページの「自分側に「お・御」を付ける問題」に、次のように書いてあります。
・・・自分側の動作やものごとなどにも 「お」や「御」を付けることはある。自分の 動作やものごとでも,それが<向かう先>を立てる場合であれば,謙譲語Ⅰとして,「 (先生を)お待ちする。 」「( 山田さんに)御説明をしたい。 」など 「お」や「御」を 付けることには全く問題がない。また「私のお菓子」など,美化語として用いる場合もある。
「お」や「御」を自分のことに付けてはいけないのは,例えば 「私のお考え 」「私 の御旅行」など,自分側の動作やものごとを立ててしまう場合である。この場合は,結果として,自分側に尊敬語を用いてしまう誤用となる・・・

確かに、目上の人に説明する際に「ご説明させていただきます」とか、「お答えします」と、自分の説明行為に「御」をつけています。
そのうちに、他人にものを贈呈する際に「ご粗品ですが」というようなことになるのでしょうか。「お粗末さまでした」という言葉もあります。

教員の長時間労働

2024年3月29日   岡本全勝

3月11日の朝日新聞オピニオン欄「記者解説」、「先生を、教育の質を守る 給与や長時間労働、予算かけ抜本策を」が、教員の長時間労働や精神疾患を取り上げています。詳しくは記事を読んでいただくとして。そこに、各国の中学教員の1週間あたりの労働時間が図になって載っています。

経済協力開発機構(OECD)の「国際教員指導環境調査2018」によると、中学校教員の1週間の仕事時間は、OECD加盟国のうち調査に参加した31カ国の平均が38・8時間だったのに対し、日本は56・0時間。アメリカが46・2時間、韓国は34時間です。
書類作成などの「事務仕事」は、参加国で最長の週5・6時間だそうです。

なぜ、こんなことが長年にわたって放置されているのでしょう。先進諸国を手本に発展を遂げた日本が、いつの頃からか、独自路線を歩んでいます。それがよい結果をもたらしているならよいのですが、これはひどいですよね。教育分野でも成功を収めた日本が、慢心したのでしょう。
予算がないというなら、文科省と財務省の責任は重いです。与党はどうしたのでしょう。年金や公共事業費も重要でしょうが、未来の日本人をつくることがより重要だと思うのですが。