ご請求金額

東京ガスからお知らせが来ました。「ご請求料金確定のお知らせ」とあります。「ご利用金額」ならわかるのですが、「ご請求料金」はおかしいと思いませんか。相手の「利用金額」に「ご」をつけるのはよいですが、会社側からの「請求金額」に「ご」をつけるのは、私は違和感を感じました。そこで、国語の先生に聞きました。

私たちが学習したころは、敬語は三種類の分類でしたが、最近は五種類に分類しているようです。「御」(「お」「ご」)は美化語と言われているようです。
敬語は、誰を敬いたいか、「行為者」に対してなのか、「向かう先」なのか、「相手」なのか、で使い分けます。
「ご利用金額」と使う場合は、利用するのがお客様と考えて、利用する「行為者」を敬うはたらきと考えます。「(お客様が)ご利用なさった金額」で、尊敬語のような意図がある。
「ご請求金額」になると、請求するのが東京ガスで、請求することの「向かう先」を敬うはたらきと考えます。「(東京ガスがお客様に)請求いたします金額」で、謙譲語のような意図がある。視点の違いだから、どちらもありとのことです。

文化庁文化審議会答申「敬語の指針」が掲載されています。39ページの「自分側に「お・御」を付ける問題」に、次のように書いてあります。
・・・自分側の動作やものごとなどにも 「お」や「御」を付けることはある。自分の 動作やものごとでも,それが<向かう先>を立てる場合であれば,謙譲語Ⅰとして,「 (先生を)お待ちする。 」「( 山田さんに)御説明をしたい。 」など 「お」や「御」を 付けることには全く問題がない。また「私のお菓子」など,美化語として用いる場合もある。
「お」や「御」を自分のことに付けてはいけないのは,例えば 「私のお考え 」「私 の御旅行」など,自分側の動作やものごとを立ててしまう場合である。この場合は,結果として,自分側に尊敬語を用いてしまう誤用となる・・・

確かに、目上の人に説明する際に「ご説明させていただきます」とか、「お答えします」と、自分の説明行為に「御」をつけています。
そのうちに、他人にものを贈呈する際に「ご粗品ですが」というようなことになるのでしょうか。「お粗末さまでした」という言葉もあります。