「社会」カテゴリーアーカイブ

社会

優先座席に座るかどうか

障害者などのための電車の優先座席が適正に使われているかを調べた調査があります。「どうすれば「優先席」を優先利用できるのか~罰則? 社会の目? それとも……」(ウェブ論座、10月10日)
全国6地区で比較調査したところ、札幌での適正利用率が飛び抜けて良く、関東は極めて悪いです。札幌市営地下鉄は「専用席」だそうです。

私が利用する地下鉄丸ノ内線でも、元気そうな若者が優先座席に座って、スマートフォンに熱中しているのを見かけます。外見だけでは判断できませんが。テニスの用具を持って、これから練習に行くと見える人が座っているのを見ると、「なんやこの人?」と思います。
私は「あなた元気そうなのに、優先席に座っていますね。あそこの高齢者や子ども連れに譲ってあげませんか」とは、よう言わないので、黙って見ています。根性無しです。
私にできるのは、まずは優先席に座らないこと。普通の座席に座っていて、そのような人が乗ってきたら、座席を譲ることです。

今日も、二人連れの高齢者が乗ってきて、私の隣が一つ空いていたので、二人で座ることができるように座席を譲りました。「すみませんねえ」とおっしゃるので、「いえ、私の方が若いですわ」と笑いました。小さな満足です。

自転車の取り締まり強化

警視庁が、自転車の交通違反の取り締まりを強化するとのことです(10月14日のNHKニュース)。
・・・自転車の悪質な交通違反について警視庁は、これまで「警告」にとどめていた違反にも刑事罰の対象となる交通切符、いわゆる「赤切符」を交付して検挙する方針を固めました。信号無視など自転車の交通違反による事故が相次いでいることを受けたもので今月下旬にも取り締まりの強化に乗り出すことにしています・・・
・・・具体的には、
▽信号無視
▽一時不停止
▽右側通行
▽徐行せずに歩道を通行の
4項目のうち悪質な違反については、これまで「警告」にとどめていたケースでも今後は交通切符を交付して検挙するということです。
交通切符を交付されると検察庁に送られて刑事罰の対象として扱われるうえ、一定の期間内に繰り返し検挙された場合は、講習の受講が義務づけられています・・・

信号無視した自転車が危険なことは、最近このホームページに書いたばかりです「魔の交差点?」。数日前にも、冷やっとすることがありました。「危ない」と叫んでも、自転車は通り過ぎたあとです。
新高円寺駅前交差点での取り締まりも、よろしくお願いします。

情報は爆発しても、人が咀嚼できる量には限りがある

9月24日の朝日新聞「はじまりを歩く」は、「日本初のホームページ」でした。今や誰もが利用する、しかも毎日何度も使うホームページですが、日本初は1992年だそうです。まだ30年なのですね。
私がこのホームページをつくったのが、20年前です。いろいろな組織のホームページを閲覧するだけでなく、素人でも簡単につくることができます。
記事に、次のような話が載っています。

膨大な情報の海から、どうすれば必要なものを効率よく見つけられるかも難題だ。05〜10年度に文部科学省の「情報爆発プロジェクト」という研究事業があった。世界中でやりとりされる情報の爆発的な増大にどう対応するかを多面的に研究した。
まとめ役だった喜連川優(きつれがわまさる)さん(67)はいま、東京都千代田区にある国立情報学研究所の所長を務める。
情報爆発に私たちはどう向き合えばいいのか。そう尋ねると、「それが分かれば苦労はありませんよ」と笑いながら、こう話してくれた。
「どれだけ情報が増えても、一人の人間が咀嚼できる量には限りがある。私たちは、より優れた検索の仕組みを開発しようとしています。情報の供給者も、話題のトピックについて様々な視点を整理し、分かりやすく伝えるキュレーション(情報の収集・整理)の役割がますます重要になるのではないでしょうか」

子どもの心「なんとなく不調」

9月20日の日経新聞夕刊「子どもの心「なんとなく不調」」、平山哲・大阪母子医療センター子どものこころの診療科副部長の発言から。

ここ3年ほど、子どもの心のストレスが話題になり、精神疾患発症率の上昇なども報告されるようになった。国立成育医療研究センターが2020年6月以降に公表した複数の報告書では、心身の不調を訴えている子どもが一定数いることがわかっている。
21年12月に実施したアンケートでは、1週間のうち数日以上で「気分が落ち込む、ゆううつになる」などと答えた小学4~6年は36%いた。中学生では56%にのぼっている。「疲れた感じがする、気力がない」と回答したのも小学4~6年で43%、中学生では75%だった。
私は子どもの発達にかかる領域全般を専門に診療しているが、初めて受診される方の約半数は未就学児で、残り半数は小中高校に通っている児童や生徒。未就学児では発達に関する相談が中心だが、小学生以上になると学校生活の問題や思春期特有の悩みなど、心のストレスにまつわる内容が多くなる。

そもそもストレスはどのような時に感じるのか。
嫌な出来事があった時によく「しんどかった、つらかった」などと言う。だが、実は嫌な事だけがストレスにつながるとは言い切れない。
厚生労働省によるコロナ下でのメンタルヘルスに関する調査では、回答した15歳以上の約8300人のうち17.5%が「第5波」の期間だった2021年7~9月に「生活の変化に対する不安」を感じていた。このような結果を参考にすると、ストレスとは嫌な事があった時だけではなく、変化が起きて心身へ何らかの影響があったことで生じると考えられる。
外来では「コロナが落ち着き、遠足や運動会など様々な行事が再開できるようになって楽しみにしていたのに、体調を崩してしまった」と保護者が不思議そうに話すことがある。楽しみにしているにもかかわらず、体調不良という正反対の反応が出てしまっている。これも変化によって生じた不調と言えるだろう。

大切なのは子どもと対話をすることだ。国立成育医療研究センターのアンケートでは「子どものことを決めるときに大人たちが気持ちや考えを聞いてくれるか」と尋ねたところ、小学4~6年で18%、中学生で39%が「そう思わない」と感じていた。
大人に対して「もっと熱心に話を聞いてほしい」「接している時にスマホを見ないでほしい」など求める声もみられた。
外来にくる子どもたちを診療していると、コロナ下であっても「友達と遊ぶ」「祖父母に会いに行く」など自分がしたいことを保護者と共有できている子どもたちは元気に過ごしている傾向がみられる。話す時間は短くてもかまわない。「明日は何をしようか」ということを保護者から語りかけてもらいたい。

見知らぬ人との会話

9月16日の朝日新聞オピニオン欄、デイビッド・ブルックス、ニューヨークタイムス・コラムニストの「見知らぬ人との会話 不安は思い込み、もっと幸せに」から。

ある日、ニコラス・エプリー教授はシカゴ大学のオフィスに電車で通勤していた。行動科学の専門家である彼は、社会的なつながりが私たちをより幸せにし、健康にし、多くの成功をもたらし、幸福な人生へと導くことを理解している。ところが、電車内を見渡して気づいた。誰かと話をしている人が一人もいないのだ。みんなヘッドホンをしているか、新聞を読んでいるかだった。
そこで疑問が浮かんだ。私たちは一体ここで何をしているんだ? 自分を幸せにしてくれる行動をなぜ取らないのだろう。
エプリー氏は、人々が電車や飛行機で知らない人と会話するのを嫌がる理由の一つが、それが楽しいものになると思っていないからだということを見いだした。気まずく、退屈で、疲れるものだと信じているのだ。あるオンライン調査では、待合室で見知らぬ人と話すと答えた人はわずか7%で、電車でも24%しかいなかった。

しかし、こうした予測は正しいのだろうか。エプリー氏の調査チームは、これについて数年間研究を続けてきた。彼らは人々に見知らぬ人との出会いについて予測をしてもらい、その後、実際はどうだったか尋ねた。
調査チームは、私たちのほとんどが見知らぬ人との出会いをどれほど楽しめるかについて、体系的に誤った思い込みをしていることを突き止めた。知らない人と会話をしようとすると快適さが損なわれると通勤者らは考えたが、実際の体験は正反対だった。見知らぬ人と会話することを指示された人たちは一貫して、人と話さないように言われた人よりも道中を楽しんだ。内向的か外向的かを問わず、一人で乗車するより会話を楽しむ傾向があった。

こうした誤認識の多くは、さらに深い誤解に基づいている。それは、人が自分をどう見ているかということだ。会話を始めることは、特に知らない人との場合、難しい。「うまく会話を始められるだろうか。自分の考えを効果的に伝えられるだろうか」と、自分の能力に疑問を抱きながら会話を始めるのだ。
だが、調査からわかるのは、会話中に人はあなたの力量を第一に考えているわけではないということだ。考えているのはあなたの温かさだ。親しみやすく、親切で、信頼できる人に見えるか。あなたが気にかけてくれているのかを知りたいだけなのだ。
エプリー氏の研究は、私がしばらく考えていた謎を解き明かしてくれる。私たち物書きの多くは社会的なつながりの崩壊について書いてきた。最近では「孤独の世紀」「つながりの危機」「失われたつながり」といった題名の本が出版されている。
孤独な人がたくさんいるのなら、なぜ一緒に過ごさないのだろう。それはおそらく人々が非現実的なほどの不安と否定的な予測を抱きながら見知らぬ人に向き合おうとしているからだ。このことを理解すれば、私たちは行動を変えることができるかもしれない。