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社会

ボランティアと現地を結ぶ活動

2月17日の朝日夕刊夕刊、兼子佳恵・特定非営利活動法人やっぺす元代表へのインタビュー「石巻は復興しましたか?」から。

東日本大震災を契機に復興団体を立ち上げた宮城県石巻市の兼子佳恵さん(51)。ボランティアと現地をつなぎ、住民同士が支え合う取り組みは全国的に注目され、組織や形を変えながら今も活動を続けている。

《数日後に電話がつながると、防災の専門家から連絡が入った。神戸市の田村太郎さんだった。阪神大震災を契機にボランティアや多文化共生の活動を始め、復興庁の復興推進参与になった人だ。東日本大震災の前に石巻で講演し、兼子さんと旧知の仲だった。兼子さんは田村さんたちと避難所を回り始めた。》
避難所には医療など様々なケアを必要とする人がいます。ボランティアと現地を結ぶ活動をしました。避難所や仮設住宅では、課題が次から次へと出てきます。田村さんたちは活動のノウハウを持っていますが、地元のことは知りません。私たちだからできることがあると知りました。
仮設住宅は知らない人の集まりです。一からコミュニティーをつくらないといけません。この時期、全国からたくさんのボランティアが来て、仮設住宅で支援物資を配り、炊き出しをしてくれました。でも知人がいるところや、人がたくさん集まる場所など偏りが生じていました。

ここで生きる人がつながる必要があると考え、2011年5月18日、私たちは「石巻復興支援ネットワーク」を設立しました。通称「やっぺす(現在は正式名称)」。石巻の方言で「いっしょにやろうよ」の意味です。ボランティアの受け入れ窓口となり、地元の方にも協力してもらってお茶会、絵手紙、カラオケ大会、フラワーアレンジメントなどの講座を開きました。仮設でも「ここに住んで良かった」と思ってほしかったのです。

日本を捨てて外国に行く人たち

朝日新聞が、1月27日から「わたしが日本を出た理由」を連載していました。
・・・海外に移住する人の流れが静かに増えています。失敗のリスクも承知のうえで、生まれ育った日本を離れた決断の背景には何があったのか。それぞれのストーリーを重ねていくと、日本の現在地が見えてきました・・・
として、日本での仕事を辞めて、海外に移住し仕事をしている人たちを紹介してます。

そこに見えるのは、海外が憧れと言うより、日本の職場の処遇の悪さです。給与が低い、勤務時間が長い、休みを取れない、周囲の目が厳しいなどなど。日本の職場の「欠点」が見えます。このような現実が広く知れ渡ると、日本型職場慣行がおかしいことや、経済力が低下していることが理解され、変わる一助になるのではないでしょうか。

福井県立大教授(人口学)・佐々井司さん
――海外永住者がコロナ下でも増え続けています。
このところ非常に強くなった、日本の閉塞感が背景にあるのでしょう。賃金や労働環境、社会の多様性などの面で、日本より欧米諸国に相対的な魅力を感じる人が多くなっているのではないでしょうか。閉塞感が解消しない限り、増加傾向は続くと思います。

――長期滞在者も含めて、いつごろから増え始めたのですか。
2000年ごろからです。日本経済の低迷や日系企業の海外進出が進むなか、日本国内での求人は抑制され、特に若い人たちが正規雇用につきにくくなりました。

――日本の人口減を抑えるため、海外から移民を積極的に受け入れる必要があるとの意見があります。
日本の賃金は上がらず、他の国の賃金は上がってきています。日本に来る外国人の数は減り、人材の質も変わるでしょう。日本人が生きづらさを感じているなかで、外国人の方々はいつまで働きに来てくれるでしょうか。「外国人に来てもらえば何とかなる」という楽観的なシナリオは、もう成り立たないと思います。

新手のインターネット詐欺

先日、アマゾンから、次のような電子メールが届きました。
「あなたがこのような商品を購入して、××さんに送るという注文を受けましたが、心当たりはありますか。おかしいと思ったら、次のURLをクリックして取り消してください」と。××さんのか所には、具体的な住所と氏名が書かれています。

アマゾンでは本くらいしか購入しないし、そんな人は知らないので、「詐欺に利用されたのか」「取り消さなければ」と思いました。でも「おかしいよな」と考え直し、差出人のアドレスを見ると、Amazonの綴りの後ろに変な文字がついています。
「そうか、書かれているURLをクリックすると、引っかかるのか」と理解して、直ちに削除しました。
悪人は、いろんな知恵を出すものですね。困ったものです。

中学校の部活動の地域移行

1月16日の日経新聞オピニオン欄は「部活動「地域移行」の成否」でした。
・・・公立中学の休日の部活動を民間事業者などに委ねる「地域移行」。少子化や教員の働き方改革が背景にあるが、指導者や施設の確保、費用負担など課題は少なくない。国は「2025年度末」としていた達成目標は設定しない方針に転じた。部活動という日本社会の「慣習」を刷新する道はあるのか・・・

山口香・筑波大学教授の「「強制」脱して個人に委ねる」から。
・・・部活動が日本のスポーツの一つの柱を担ってきたのは間違いない。その意味では地域移行は明治以来の大改革であり、相応の覚悟が求められる。国や自治体は予算を含めた環境整備に努め、生徒・保護者側も一定の受益者負担を理解したうえで、国民全体で新しい仕組みを整えていく丁寧な合意形成が必要だ・・・

・・・学校という空間は逃げ場が少ないところだ。部活を外に出すことで、閉鎖的な環境が生み出しやすい体罰やいじめ、ハラスメントといった弊害をなくすきっかけにもなりうる。

私は筑波大で柔道部に入るまで、部活ではなく町道場で柔道をやっていた。感覚では、そろばんや書道、学習塾と並んで「習い事」に近く、自ら望んでやるものだから対価を払うのも当たり前だと思っていた。部活動はこれまで教員の無償奉仕に頼ってきた面が大きく、その根拠として教育の一環と位置づけられてきたわけだが、地域移行を機にスポーツ本来の姿も問い直すべきだろう・・・ 

教員の不足

1月16日の日経新聞1面は、「教育岩盤・迫る学校崩壊(1)」「先生の質を保てない 公立2000校で欠員、1年で3割増加」でした。

・・・教員不足や不登校の急増などで「学校崩壊」の危機が迫っている。社会の変化に応じて仕組みを変える動きの鈍さが原因だ。人材育成の土台が機能不全に陥れば国力の低下を招きかねない。学校を持続可能にする条件を探った・・・

文部科学省の2021年の調査では、公立小中高校と特別支援学校の1591校で2065人の欠員が生じていました。日経新聞の調査では22年5月で、2092校で2778人の欠員が出ています。
数の不足だけでなく、教員の質の低下も危惧されています。志願者数が減って、力不足の教員も採用されているようです。
「日本の教育は優秀」といわれていたのですが、そうではなくなっています。この課題にどのように対応するか。政府と自治体の力が問われています。