7月30日の読売新聞オピニオン欄、鈴木謙介関西学院大学准教授の発言から。
・・ツイッターやフェイスブックをはじめとするソーシャルメディアの普及とともに、「ソーシャル疲れ」と呼ばれる現象が目に付くようになってきた。ソーシャルメディアをしじゅうチェックしていないと不安になるとか、人間関係の維持が面倒になってしまうとか、そういった出来事の総称だと思えばいいだろう・・
友達といっても、職場の同僚や学生時代からの付き合いの親友、恋人や配偶者に紹介された人など、いろんな領域に広がっているものだ。それらの領域がお互いに切り離されているからこそ、相手との付き合い方をコントロールすることができるのだ。しかしソーシャルメディア上では、友人は皆同じように自分の書き込みを読む。それでも私たちは、学生時代の友人と職場の同僚では異なった顔で接しているから、ソーシャルメディア上でもその使い分けを意識しなければならない。そうしたところに「ソーシャル疲れ」の一因がある。
また、ソーシャルメディアでは、自分の友人たちがいま何をしているのか、リアルタイムで知ることもできる。そのことが、ユーザーにとってある種の孤立感を生む原因になっているのではないか。
私たちが行った若者向けの携帯電話の調査からは、携帯電話を手放せなくなってしまう原因として、幅広い交友関係を持ちながらも、自分がその人たちから仲間はずれにされているのではないかという孤立感があることがわかっている。もしも、ソーシャルメディア上で、自分の友達が別の友達と仲良く遊んでいる書き込みを見たとしたら、おそらく携帯電話以上に孤立感を覚えることになるだろう・・
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情報化社会を支える暗号
辻井重男著『暗号―情報セキュリティの技術と歴史』(2012年、講談社学術文庫)が、勉強になりました。私たちが「暗号」と聞いて思い浮かべるのは、軍事・外交での暗号です。第2次大戦での、ドイツのエニグマ暗号、日本の紫暗号など、その解読が戦争の勝敗を決めたという評価もあります。
そのような「暗い暗号」ではなく、近年は「明るい暗号」が社会で活躍しています。キャッシュカードの本人確認、インターネットでの本人確認、文書の本物であることの確認など、ITの発達・情報化社会で、秘密にする事柄と本物であることの確認作業が増えたのです。それを、「明るい暗号」が支えています。
「公開鍵暗号」といいます。鍵を秘密にせず公開するのです。しかし、その鍵は本人しか開けることができません。う~ん、私には「たくさんの桁の数字の掛け合わせで暗号にし、それを元の(ある一つの)掛け合わせに分解できるのは本人だけ」としか理解できませんでした。パスポートやクレジットカードの署名(公開済み)と、本人が目の前で書く署名が合致しているかを確認する例が出ています。この場合は、コピーで直ちに複製ができてしまいます。それを数学で複雑にして、簡単には複製できないようにします。
個人情報や企業情報が大量かつ瞬時に交換され、しかも他人には見られないようにする。大変な技術が使われているのです。
日本語は特殊ではない
朝日新聞6月6日夕刊「ニッポン人脈記。日本語の海へ」から。
世界130言語を比べて、日本語は特殊な言語ではないのだそうです。例えば「私は本を読む」のように、主語・目的語・動詞の順になっているのは57言語。「I read a book」のように、主語・動詞・目的語の順は51言語で、ほぼ同じ。疑問文の場合、動詞と主語を倒置するのは、英語、ドイツ語、フランス語など11言語で、英語の方が変わっている。
日本語は珍しい特徴はないのに、日本語は特殊だといわれる。それは、「西欧を標準と見て、世界の他の言語とは比べなかった。日本語特殊説は、自分たちは特別という民族中心主義です」(角田太作先生)。
日本の未来
日本男児の引っ込み思案
3月22日の朝日新聞オピニオン欄「秋入学は日本を救うか」、志賀俊之・日産自動車最高執行責任者の発言から。
・・就職内定者の懇談会で、私のテーブルに最初に集まってくるのは、外国籍の人か日本人の女性です。10秒でいいから自分をアピールしたい、と。一方、日本人男性の多くは隅っこの方で固まっています・・・
中国や韓国、インドの若者は「私はこういうことをやりたい。やらせてくれるのか」と迫ってきます。目標が明確で、達成のためには努力を惜しみません。新興国の勢いの源は、そこにあるのです・・