カテゴリー別アーカイブ: 知的生産の技術

生き様-知的生産の技術

ウィキペディアの迅速さ

インターネットの威力の一つに、ウィキペディアがあります。私も、活用させてもらっています。今日、たまたま別のことを調べていて、「復興庁」に至りました。なんと、もう載っていました。さらに、「統括官」の項にも、復興庁の例が出ています。大したものです。ウィキペディアに協力して、記事を書いている人がおられるのですね。しかも、内容はかなり詳しくかつ正確です。
ところで、私の子どもの頃は、各家庭には百科事典がありました。有名なところでは、平凡社の世界大百科事典でしょうか。知識の倉庫であり、ステイタスを備えた「家具」でもありました。情報の少ない村の小学生は、ページをめくり、見知らぬ世界を知ったものです。それは「宝箱」でした。

日本語表記の難しさ

毎日、文章を書いていて、句読点の打ち方に悩むことがあります。
例えば、今書いたばかりの「毎日、文章を書いて・・」です。点を打たずに「毎日文章を書いて・・」では、わかりにくくなりますが、意味は通じるでしょう。では「毎日、新聞を読んで・・」では、どうでしょうか。「毎日新聞を読んで・・」では、違う意味に取られることがあります。
「今」や「・・の場合」「・・の後」といった漢字のみの修飾語や単語が、くせ者です。その次に漢字が続くと、次に来る漢字とつながって、2つの語が1語に読まれる恐れがあるのです。次の語がひらがなで始まる場合は、その恐れはありません。「今」は、「今は」にすると、次に漢字の単語が来ても、つながって読まれる心配はありません。「・・の場合」は「・・の場合には」とします。
「五月、雨が降る」と「五月雨が降る」「五月に雨が降る」という例を、挙げておきましょう。五月雨では、「さみだれ」になってしまいます。
助詞のひらがながつかない場合が、読みにくくなります。英語や分かち書きは、単語がつながらないので、こんなことはないのでしょう。
もっとも、ドイツ語を翻訳した文章では、単語をそのまま漢字に移し替えた場合があって、理解しにくいものがあります。名詞がつながった複合名詞です。例えば、「存在非拘束性」。大学時代に、難儀しました(笑い)。どう見ても、日本語ではないですよね。漢文では、漢字が連なるので、どこで区切るかは、もっと難しいです。
私はこのホームページを書く際に、この注意も含めて、句読点を多用するようにしています。画面では、文字が続くと、読みにくいですから。
出版社の編集者さんは、毎日、このようなことに(毎日このようなことに)、注意を払っておられるのでしょうね。

中黒

最近、仕事で困ることに、「・」(中ぽつ、中黒)が、あります。単語を並べる際に、真ん中に入れます。例えば、「復旧・復興」というように。印刷された文章では、わかりやすいのですが。これが読み上げ原稿になると、聞いていてわかりません。「規制・制度の特例」と書いてあると、読めば規制の特例と制度の特例の2つがあるのだなとわかります。しかし、聞いていると、「規制制度」についての特例と聞こえるのです。やはり、「と」や「や」を入れるのでしょうね。
組織の名称でも、総務省に人事・恩給局があり、文部科学省に科学技術・学術政策局とスポーツ・青少年局が、厚生労働省に雇用均等・児童家庭局と社会・援護局が、農林水産省に消費・安全局が、国土交通省に土地・建設産業局と水管理・国土保全局が、環境省に水・大気環境局があります。名刺を見ればわかりますが、声で読み上げられると、わからないでしょうね。部や課の名前にも、中黒でつないだものは結構あるようです。そのような表記方法だと、省の名前も「文部・科学省」「厚生・労働省」「国土・交通省」でしょうか。
私が小中学校で学んだ国語の教科書には、句読点はあっても、中黒はなかったように思います。外国人の名前などには、真ん中に打ってありましたが。いつごろからでしょうか、日本語で中黒が多用されるようになったのは。

ワープロソフトの困りもの

最近、気になることがあります。職員が作ってくれる書類についてです。いまやすべてワープロで打たれた、きれいな文書です。私が気になるのは、年月日に、ほとんど曜日が付いていることです。例えば、平成23年11月25日(金)というようにです。
今週の予定を並べる際には、曜日が付いていると便利です。ところが、公文書のなかで、発信日時などにまで付いています。
理由がわかりました。最近のワープロは「親切」で、自動的に曜日を付けてくれるのです。よけいな親切ですね。

パワーポイントは嫌い

パワーポイント」という、プレゼンテーション用のコンピュータのソフトがあります。会議で説明の際に使う、文章や図画を映し出す仕組みです。かつては、プロジェクター、OHP等も使われましたが、最近ではパワポが、圧倒的に使われているようです。商品名ですが、もはや普通名詞になっています。会議や講義、講演では、かなりの人が使っているのではないでしょうか。
講演の依頼が来る時も、「パワポを使いますか?」と聞かれます。私は「使いません。レジュメと資料を配るので、印刷してください」と答えます。私は、パワーポイントが嫌いです。理由は、次の通りです。

1 聴衆との間の視線(アイコンタクト)が、とぎれる。
私は、観客の目を見ながら、お話しします。目を見ると、「この人はわかっているな。あの人は、わかっていないな」とか「この小話は、受けたな」とわかります。
そして、なるべく多くの観客の視線を、話し手である私の方に向けさせ、集中してもらうようにしています。黒板に書く時も、なるべく観客の視線をそらさせないように、心がけています。
これは、人前で話す際のハウツー本には、必ず書かれていることです。パワーポイントを使うと、話し手に集中していた観客の視線が、とぎれてしまうのです。この点を、最近の「話し方講座」では、どのように教えているのでしょうか。

2 情報量が少ない。
パワーポイントに限らず、スクリーンに映し出す画像は、情報量が少ないです。活字だと、せいぜい3~5行でしょう。それより多くなると、読めません。頭に入りません。
グラフや写真、映像などは、映写する方が説明しやすいでしょう。私は、それを否定しません。しかし、私が使うようなレジュメや文字情報が多い資料だと、紙で配る方がわかりやすいです。
パワーポイントでも読みやすいように、図示したりイラストで工夫した資料も見ますが、あまり成功した例は見ません。文字情報をイラストにするには、限界があります。

3 持ち帰ることができない
私は、サービスとして、資料を持って帰ってもらうことにしています。話の骨格とか数字などを、書き取らなくても良いようにです。
パワーポイントの映像を印刷して配付する人もいますが、それなら資料を配ってあげた方がよいでしょう。パワーポイント1枚に入る情報は、少ないです。

4 横長は、人間工学に反する(笑い)
最近は、配付資料でもパワーポイントを使ったものがあります。A4の紙を横長に使い、文章も横書きです。これって、読みにくいですよね。1行の文章が長くて、それから折り返されます。
和書でも洋書でも、紙は縦長に使います。横長の本は、子どもの絵本か図画や音楽の教科書くらいでしょう。手紙でも役所の文書でも、横長はまずは見ません。日本の手紙は、古くは巻紙に書かれます。これは究極の横長ですが、その際は文章は縦書きです。パワーポイントでも、縦書きにすれば読みやすいのでしょうが、皆さん横書きに使っておられます。
また、紙を横長に使って、横書きにすると、箇条書きにする際の項目数が少なくなるのです。
欧米の封筒やカード、日本でも名刺などで、横長横書きがありますが、これは情報量が少ないので、問題ないのでしょう。
コンピュータの画面(ディスプレイ)にあわせて、横長なのでしょう。しかし、インターネットのいろいろなホームページも、画面の横幅いっぱいに、文章を書き連ねて使っているページって、そんなにないでしょう。新聞社のサイトも、文章は画面の左右幅いっぱいに広がらず、短く折り返しています。横には別の情報が入っています。文章は横に長いと、読みにくいのです。いまご覧のこのページ(表紙)も、左右に広く空間をとって、文章は短くしてあります。

「お前の勝手だ」と言われれば、それまでの話です。