日経新聞電子版、10月31日の記事に、「意欲なく仕事嫌いな従業員9割も」という記事が載っていました。アメリカの調査会社ギャラップ社の調査結果です。世界142カ国、23万人のフルタイム、パートタイムの従業員を調査したとのことです。
それによると、意欲があり積極的に仕事に取り組む従業員は全体の13%です。仕事への情熱を感じ、雇用する側と固い絆があって、日々、新しいことを考え、会社をさらに前進させようと過ごしている人たちです。
大部分の63%は、意欲がありません。すなわち、幸せでも不幸でもなく、気持ちが仕事から離れていて、何となくダラダラと日々を過ごし、仕事にはほとんどエネルギーを傾けません。
残る24%は、意欲を持とうとしない従業員で、仕事を嫌っている人です。仕事が嫌いであることを隠さず、さらに同僚の成果も台無しにします。
日本は、その割合が、それぞれ7%、62%、24%です。
人事関係者の間では、2:6:2の法則が知られています。すなわち、職場にいる人のうち、2割は優秀で、組織になくてはならない人材です。6割は飛び抜けて優秀というわけではありませんが、必要な職員。残り2割は、いてくれると困る、組織の足を引っ張る人です。この調査結果と少しずれていますが。
ミツバチの世界も同様だそうです。そして、優秀な2割を取り出すと、その中に2:6:2がでます。できの悪い2割を取り出しても、その中に2:6:2がでるとのことです。
すると、どのようにして6の人たちに、やりがいを持ってもらうか。これが上司の仕事になります。この記事には、意欲的に仕事に取り組む条件も載っています。お読みください。
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生き様-明るい課長講座
労働者のメンタルヘルス
厚生労働省が、9月19日に「労働者健康状況調査」を公表しました。それによると、仕事や職業生活に関して強い不安・悩み・ストレスを感じている労働者は、全体の61%です。その理由は、職場の人間関係が41%、仕事の質が33%、仕事の量が30%です。やはり、人間関係ですね。
不安・悩み・ストレスについて相談できる人がいるは、90%です。相談相手は、家族や友人が87%、上司や同僚が74%です。実際に相談したのは74%で、相手は家族や友人が82%、上司や同僚が67%です。産業医やカウンセラーは5%に満ちません。そして相談して、悩みなどが解消されたのが33%、解消されなかったが気が楽になったが61%です。話を聞いてもらうと、楽になります。
私も、職員に対しては「悩みがあったら相談しよう」と、中間管理職には「部下の相談相手になろう」と勧めています。『明るい係長講座』。
また、1か月間の時間外労働について、100時間を超える労働者がいた事業所は5%、80時間~100時間が10%です。霞が関の各府省では、たぶん100%でしょう。
労働安全衛生法には、「長時間労働者への医師による面接指導制度」があり、事業主は、時間外・休日労働が1か月あたり100 時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者に対して、医師による面接指導を実施することが義務づけられています。また、80 時間を超える労働により疲労の蓄積が認められ又は健康上の不安を有している労働者に対しては、医師による面接指導等が努力義務となっています(初めて知りました。反省)。
カタカナ英語
朝日新聞9月4日オピニオン欄「カタカナ語の増殖」でした。津田幸男・筑波大教授の発言から。
・・日本人は外来語をあまりに無防備、無神経に取り入れすぎる。背景には「英語を使ったらかっこいい」という、日本人特有の英語信仰があります。日本人は英語を上に、日本語を下に見て、自分たちの言葉の威厳を自らおとしめています。
氾濫の元凶は4者います。まず企業。商品名や社名、宣伝、看板に外来語が多すぎる。次に官公庁。難しいカタカナお役所言葉を全国にまき散らしています。日本の役所なら日本人が分かる日本語を使うべきです。
三つ目が知識人や学者。本来、翻訳や言い換えを考えるべき立場なのに、それをしないでカタカナのまま使うとは、知的怠慢です。そして四つ目が、企業・官公庁・学者が使う外来語をそのまま流している報道機関。猛省すべきです。
たしかに、カタカナ表記にすれば日本語として見なせるという考えもあります。しかし、アカウンタビリティーやコンプライアンスなどと言われても、日本語には聞こえません・・
同感です。私がカタカナ日本語を嫌いなことについては、「私の嫌いな言葉」(2006年4月27日)をご覧ください。
1 英語をカタカナにすれば、外国人に通じると思っていることが間違いです。カタカナ発音では、アメリカ人にも通じません。英語圏以外の人たちは、広辞苑にも載っていないので、理解するのに苦労します。カタカナ英語は、あくまで日本人同士の会話のためにあります。それも「私は、英語を知っているんだよ」という臭いがします。
2 もう少し、日本語に翻訳する努力をすべきです。ここでも指摘されている、アカウンタビリティー、コンプライアンス、ガバナンスなどは、元の英語を知っている人にだけ通じる日本語でしょう。
例えば「アカウンタビリティー(説明責任)」とある場合は、「説明責任」あるいは「説明責任(アカウンタビリティー)」と、表記すべきだと思います。
「いや、アカウンタビリティーは、説明責任ではない」とおっしゃる方がおられれば、「では、あなたが書いたアカウンタビリティーという単語は、読者にどのように理解されているとお考えですか」と聞いてみたいです。
私も講演の際に、カタカナ英語を使っては、聴衆の顔を見て、「これは理解されていないな」と反省することが多いです。
部下の指導は笑顔で
8月27日日経新聞キャリア・アップ面は、「部下の指導、笑顔と対話で」でした。
「仕事の鬼と呼ばれるほど職務に打ち込むのはいいが、自らが部下を萎縮させる怖い存在になっていませんか」という書き出しで始まり、「マネジャーなど指導的な役割になってから、そんな問題に気づいて組織全体の力を引き出すように自分を変えた人が目立つ」と、実名で実例を紹介しています。
・・営業担当だった20代には、後輩に「どうせ怒られるから、角田さんが退社するまで事務所には戻れない」と恐れられた・・
・・「営業件数は他人に絶対負けない」という自信から、部下にも自分と同じ水準を求めた。営業がうまくいかない部下をみると、「自分にできることをなぜできない」と理由を聞かず、一方的に怒鳴っていた・・
一般論や抽象的な職員研修より、数倍わかりやすい記事です。思い当たる節がある方は、ぜひお読みください。
もっとも、このような部下に厳しい職員(係長や補佐)は、自分の欠点には気づかず、「俺は部下に優しい」という人の方が多いです。我が身を省みて、反省。
そのような職員を上手に指導すること、すなわち自ら気づくように仕向けることが、その上司に求められています。これって、難しいですよ。できる部下(本人もそう思っている)を指導するのですから。
私の経験は、『明るい係長講座』をご覧ください。
左遷、日本の会社の場合は、横滑り。その3
相原孝夫さんの発言から(続き)。
・・そもそも、人事は、短期的な業績に対する上司の「評価」よりも、同僚や部下からの意見や人物評も加味された長期的な「評判」で決まります。評判の悪い人ほど自己評価が過大な傾向がありますから、自分の人事を左遷だと思い込みやすい。結果、不信感を募らせて孤立し、ますます自分を客観視できなくなる。完全な悪循環です。
これを避けるには、つらくても周囲の声に対して聞く耳を持ち、それに基づいて自己評価を修正していくしかありません。仕事帰りの一杯は、その貴重な機会です。お互い口も軽くなり、ふだんは言えないきつい一言も出る。それに腹を立てるか、大切なアドバイスと受け止めるかは、自分次第です。
仲間を持つことも大切です。私が働いていた外資系企業は人の入れ替わりが激しかったが、社内のスポーツ活動に参加していた人の離職率は、そうでない人の3分の1程度でした。仕事を離れて本音で付き合える人々が社内にいれば孤立しない。社外人脈よりも社内のネットワークづくりに力を入れる方が、会社人生はずっと幸せになります・・
人事をする立場から、この指摘に同感です。誰しも、自分のことは客観的に見ることは困難です。抜擢すると、本人は「私の実力だ」と思います。反対に昇進が遅れると、「上司は私のことを正当に評価していない」と考えます。
後者の人にその事情を説明するのは、かなり困難を伴います。ふだん、飲んだときとか、友人など周囲の人がそれとなくアドバイスできると、少しは防止できるのですが。『明るい係長講座』でも、友人など相談できる人が少ない人が、仕事に悩むことを取り上げました。