部下が鬱になる前に

日経新聞には、サラリーマンに(この言葉も古いですね)、職場での行動を教えてくれる記事が多く載ります。私も若い頃から、参考にしました。職場での立ち居振る舞い、宴会でのマナー、部下との接し方は、高校でも大学でも教えてもらえませんでした。でも、私の経験では、職場では、大学で学んだ法学や経済学以上に、これら社会人としての振るまい方の方が、重要でした。
28歳で、50人の部下をもって、その難しさを痛感しました。先輩に聞き、また、その手の本もかなり読みました。で、ハウツー本や「古典に学ぶ人生術」には、次のようなことが書いてあります。
「君子危うきに近寄らず」「虎穴に入らずんば虎児を得ず」。これを読んだ私は、「結局どっちなんや」と、当てにならないことを勉強しました(苦笑)。

さて、本論に戻って。6月11日の日経新聞夕刊に「気付こう、心のSOS。部下がうつになる前に」が載っていました。
・・・最近、20代の男性部下の顔色がさえない。社運をかけたプロジェクトと任せて1か月。会議で発言が減り、以前は冗談が好きだったが、話しかけても反応が鈍い。遅刻をするようになり、以前はなかったシャツのしわや寝癖も目立つ。
こんな時、あなたが上司なら、どう接するだろうか。
対応1 プレッシャーを減らすため、プロジェクトから外して残業が少ない別の仕事に配置換えする。
対応2 仕事の進捗を尋ね、「月内にここまで進めたらいい」と大ざっぱな方向を指示。プロジェクトの意義を強調し、「だから君に頼んだ」と声をかける。
さて、日経新聞の言う正解は、本文をお読みください。

ちなみに、私の対応は、次の通り。
まず、20代の若手(A君)に、社運をかけたプロジェクトを任せるようなことはしません。そんな危ないことを、ようしませんわ。ここに、その組織の間違いがあります。A君が悪いのではありません。
そして私が、A君の上司(B課長)なら、1か月も部下を放置しません。毎日のように、A君に「どこまで進んだ?」と聞きます。そもそも、その前に、粗々の方向性を示して、それも紙に書いて議論して、「ここを埋めてくれ」と指示します。
上司Bのその上司Cなら、B課長に対し、罰点を付けます。もちろんその前に、B課長に対し、1週間に1度は進捗を報告させます。
社運をかけるようなプロジェクトを、20歳の若手に任せて、1か月も放置するようなことは、通常の会社では考えられません。それは、そんなことをした上司Bとそれを放置したCの責任です。部下を鬱にするのは、多くの場合、上司であり組織です。すると、そのような上司を放置した人事課やその上司が悪いのです。とはいえ、上司が気を配っているつもりでも、設問のような事態も起こります。
という私も、いろいろな失敗をして、このようなことを学びました。