カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

猛烈社員が課長になると

10月22日の日経新聞「私の課長時代」は、佐々木一郎・ブラザー工業社長です。
1995年に課長になられました。現在62歳なので、38歳のようです。

・・・非常に困ったというのが当時の正直な気持ちでした。それまでは技術者としての自分が世界でどこまで通じるか考えながら必死で仕事をしていました。仕事に熱中しすぎて体調が悪くなると3~4日休むといった、むちゃくちゃな働き方をしていたからです。
管理職は部下の育成や健康管理が仕事なので、自分が倒れてはいけません。まずは休まないことが仕事でした。困難な技術課題に率先して取り組むのが私のやり方でしたが、技術的な好奇心をグッとこらえて早く帰るようにしました。一方、徹夜や休日出勤した部下には差し入れをして労をねぎらいました・・・

・・・機械の開発は図面などで途中経過が一目で分かりますが、ソフト開発はそうはいきません。難しい仕事はうまくいかないと孤独を感じます。
あるとき、納期の直前に部下から間に合わないと打ち明けられました。色々手を尽くしましたが、どうにもなりませんでした。責任感の強い人ほど自分から言い出せず、最後まで頑張ろうとします。しかし、手の打ちようのない局面でトラブルを相談されるのはマネジメント側の負けです。

その一件を猛反省し、早い段階からトラブルを見つけるようにしました。まず部下が出勤すると必ず全員の顔つきを見ました。困っている人ほど表情が曇っています。声をかけたときの返事も重要な情報です。順調な人は声が弾んでいますが、そうでないと返事に元気がありません。どうすれば相手が気軽に打ち明けられるか考えながらコミュニケーションを取りました・・・

拙著『明るい公務員講座 管理職のオキテ』にも書きましたが、猛烈社員が良い課長にはなるとは限りません。自分で仕事することと、部下に能力を発揮してもらうこととは、別のことです。そのことに、早く気づくかどうか。日本の多くの職場で、管理職養成はしていません。

高校での国語教育の変更

10月14日の朝日新聞教育欄「高校の国語、文学を軽視? 2022年度からの新指導要領に懸念 2氏に聞く」で、高校の国語教育の変更について勉強しました。

これまでは、「国語総合」が必修で、そのほかに選択科目として「国語表現」「現代文A」「現代文B」「古典A」「古典B」がありました。新しい学習指導要領では、「現代の国語」と「言語文化」が必修になり、選択科目として「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探求」が選択科目になります。
新しい必修科目の「現代の国語」は、実社会で必要な議論や討議、説明資料をまとめる活動です。「言語文化」は、上代から近現代に受け継がれた日本の言語文化などだそうです。

私の理解では、「現代の国語」は実戦日本文で、「言語文化」は日本の文学ということでしょうか。そうだとすると、この変更は正しいことだと思います。実社会で必要なのは、自分で考えたことを日本語で的確に表現することです。若い職員を使う立場からすると、もっとこの点を教育してほしいです。できれば、手紙の書き方、習字もです。
文学に興味のある人は、別途、関心に応じて日本文学を勉強してください。

もちろん、社会のエリートを目指している人は、日本の古典を学ぶ必要があります。かつては、漢文も必須でした。今は、英語も重要です。しかし、全員がエリートになるわけではありません。まずは、日常の生活や仕事において、的確な日本語が話せて書けるように、教育してください。
どうも教育論議になると、特に高校や大学教育では、全員がエリートを目指すような議論が展開されて、実態とのずれが目立ちます。

君は間違っていない、しかし

今日の夕方、赤坂見附駅から丸ノ内線に乗ってきた君。30代だろうか。蒸し暑い今日も、スーツをぴしっと決めて、いかにも仕事ができそうな姿だったね。
2人分の席が空いていて、君はスマホを見ながら、その一つの席に足早に座った。両耳にはイヤホンがあった。

君は気づかなかっただろうけど、隣の扉から乗った2人の高齢のご婦人が「あそこが空いているわ」と言って、その席に向かって歩いてきていた。ご婦人方は歩みがのろいので、あなたはサッサと座った。君はそれに気づかなかった。君は、スマホに夢中だったから。君は、間違ったことはしていない。
それを見ていた別の席の方が立ち上がって、2人のご婦人に席を譲った。そう、君はそれにも気づいていない。君は、スマホに熱中していたんだから。君は間違っていない。
そして、四谷三丁目駅で、颯爽とビジネスバックをもって降りていった。私は、少し離れたところから、それを見ていた。

君は間違ったことはしていない。しかし、もしぼくの部下だったら、「周囲に目配り、気配りすることも、出世するために必要な資質だよ」と教えただろう。
参考「公衆の場でのスマホ操作、両耳イヤホン

男の仕事社会の変貌

男性が家族を顧みないで仕事に打ち込む。これがかつての、仕事人間の理想像でした。私も、そうでした。毎晩遅くまで仕事をし、さらに飲みに行きました。今は反省しています。
最近、「時代は変わりつつあるなあ」と考える事件に遭遇しました。

先日、旧知の女性記者さんから、意見交換会(会食)のお誘いがありました。「でも、あんたは育休明けで、子育て中だろう?」と聞くと、「はい、できれば昼食でお願いします」とのこと。で、昼ご飯を食べながら、意見交換をしました。
次に、別の女性記者からも、意見交換会のお誘いが。今度も「あんた子育て中だから、昼の方がええんやろ?」と聞くと、「はい」とのこと。で、霞が関近くで、昼ご飯を一緒することにしました。
続くときは続くものです。久しぶりに会った別の男性記者からも、「意見交換会お願いします」。「あんたも、昼の方がよいのかい?」と聞くと、「はい」と即座に返事が来ました。

彼女彼らは、かつて遅くまで飲んでいた人たちです。
まあ、酔った勢いで、ふだん言えないことを言っていたことも事実ですが。そんな、危険かつ不健康なことをせず、まっとうな意見交換がよいですね。