カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

若手職員への講話

今日は、ある組織に呼ばれて、若手職員への講話をしてきました。
先輩談は、しばしば自慢話か説教になりがちです。そうならないように、レジュメを用意して、話しました。
私は、官僚としては、少々普通でない経験をいくつもさせてもらったので、話すことには事欠きません。というか、そんな話をすると、あっという間に時間が経ってしまいます。それはそれなりに、若い人たちには面白い話だと思うのですが。

私の経験のいくつかは、昨年、日経新聞夕刊「あすへの話題」に連載しました。で、今日はそのコピーを配りました。
また、職員として心がけるべきことは、「明るい公務員講座」シリーズに書いています。
そのほか、このホームページにも、後輩たちに役に立つのではないかと、日々の行動や考えたこと、気になった記事などを紹介しています。

みんな、経験することで身につけていくのですが、失敗する前に、あるいは一人で悩む前に、これらを読んでいただくと、明るい公務員人生を過ごすことができますよ。

『ストレスのはなし』

ストレスのはなし メカニズムと対処法』(2017年、中公新書)を紹介します。
著者は、防衛医大卒、自衛隊で精神科医官を勤め、現在は開業医です。イラク駐留にも派遣され、隊員の相談や診察にも当たった経験があります。戦場は、ストレスの高い場所です。

現代人に広くお勧めします。特に、管理職には必読です。新書なので、読みやすいです。
「ストレスとは何か」「ストレスにどう対処するか」のほかに、「事例紹介 ストレス障害発症のきっかけ」として、7人の事例がが載っています。
パワハラ、育児ストレス、夫婦げんか、スケープゴート、セクハラ、借財、嫁姑関係です。これが、わかりやすいです。「このような場合に発症するんだ」と、納得したり驚いたり。この部分だけでも、お読みください。

ストレスについては、皆さん、ぼんやりとした知識はお持ちでしょう。しかし、風邪を引いたり骨折したりしたら、どのようにしたらよいかは、たいがいの人は知っていますが、ストレス障害にはどう対処して良いか。ほとんどの人は知りません。
また、発症には個人差があり、よくわかりませんよね。同じような仕事の負荷でも、折れる人とそうでない人と。新著『明るい公務員講座 管理職のオキテ』にも、注意点を書いておきました。「コラム3 精神の体力」
この本を読むと、「なるほどそうなんだ」と、一通りの知識を得ることができます。
そして、「こんなことは、してはいけない。避けるべき」という予防法と、対処方法がわかります。対応の男女差、体を動かすことの重要性、他人と話すこと、家族関係の重要性などです。
ストレスやうつ病。現代社会では珍しくなく、避けてとおることのできない課題になっています。本人が発症しないようにするとともに、職場で発症例が出ないように対応しなければなりません。また、起きた場合の対処も。
昔のように「根性が足らない」「弱い奴だ」では、通りません。

そのような観点で見ると、学校では教えてもらわない、「現代人の暮らしのリスク」はたくさんあります。
いじめ、不登校、引きこもり、児童虐待、DV、セクハラ、パワハラ、ブラック職場、インターネットやSNSの危険(犯罪被害に遭うことなど)、災害時の行動(備蓄や帰宅困難)、振り込め詐欺、花粉症、ノロウイルス・・・
これらを、どのように子供たちに教えていくか。大きな課題になっています。「よい子になりましょう」という教育だけでは、十分ではないのです。

集中力、その3。選択と持続

集中力の続きです。
考えてみるに、集中力には2つのものがあるようです。
一つは、頭に浮かぶいろんな考え事の中で、あることに集中することです。もう一つは、そのことに集中し続けることです。前者を選択(散漫の反対)と呼び、後者を持続と呼びましょう。
もちろん、集中力が続かないのは、他のことを考えたり他のことに手を出すからで、持続と選択は盾の両面です。でも、なかなか一つのことに集中できないのは、前者の選択の問題であり、一つのことに集中しているのにそれが続かないのは後者の持続の問題です。

集中力が続かない。これは困りものです。いくつかの場面が考えられます。他の案件が頭にちらつく(前回に述べたアブハチ)、考え事が行きなずんで止まってしまう、じっと座って考え事をするのがつらいなどなど・・。
試験の前になると、放ってあった小説を読みたくなるとか・・・。嫌々やっていることは、集中力は続きませんね。

では、逆に集中力が続くのは、どのような場面か。面白い本を読んでいたり、ドラマを見ている、ゲームにのめり込んでいると(私はしませんが)、時間が経つのを忘れるます。
他方、締めきり間近になると、集中してなんとかやり遂げるという場合もあります。追い込まれると、仕方なくやり続けます。

現時点での結論。なぜ集中力が続かないのか、よくわかりません。
しばらく、考え続けましょう。

やる気のない社員

2月21日の日経新聞1面連載「働き方進化論」は、「脱せるか「やる気後進国」」でした。このホームページでも紹介したことがある、国別の従業員のやる気度調査が載っています。

・・・終身雇用が社員の安心感を生み、組織に貢献しようと勤勉に働くー。日本に関するそんな定説は過去の話だ。
米ギャラップ社が従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)を調査したところ「熱意あふれる社員」の割合は、米国が32%なのに対し、日本はわずか6%にすぎなかった。
調査した139カ国中132位と最下位級だ。しかも日本は「周囲に不満をまき散らかしている無気力な社員」の割合が24%、「やる気のない社員」が70%に達した・・・

集団への帰属意識が、構成員に安心感をもたらします。これは、個人にとっても社会にとっても、安定をもたらす良いことです。ところが、その反面、依存心が強くなることがあります。
「私が頑張らなくても、大丈夫」との思いが蔓延すると、その組織は活力を失います。かつての共産主義国家はその例です。
他方で、個人が競争する社会は、それぞれが頑張りますが、不安や不安定がつきまといます。
競争と安住、個人の自立と集団への帰属。その兼ね合いが、難しいところです。

集中力、その2。本人側の邪魔する要素

集中力の続きです。
集中できるかどうか要素、環境(外部からの邪魔)の次は、本人の要素です。この場合も、邪魔するものから考えましょう。

集中すべき事柄以外に、悩み事があると、集中できませんよね。それは、他の仕事であったり、健康や私生活での悩みです。これが頭にちらつくと、あるいは頭の大きな部分を占めると、やるべき仕事や読書に集中できません。
体調も、重要です。睡眠不足、二日酔いでは、集中できません。もちろん、風邪を引いているとか病気の場合も。

仕事の場合は、いくつものことを抱えていることが、選択を妨げます。これを防ぐには、時間割や仕事の順番を決めて、ある時間には一つのことに集中することです。虻蜂(アブハチ)取らずにならないように。ひとまず、虻に集中します。その間に、蜂(別の案件)が頭に浮かんでも追い払いましょう。
このように、まずは邪魔を取り除くことで、集中できる条件をそろえましょう。
この項続く