カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

ご不快構文

2月6日の日経新聞夕刊「令和なコトバ」は「ご不快構文 それ、謝る気ないですよね?」でした。
ちまたにあふれる○○構文の中でも、断然感じが悪いのが「ご不快構文」だそうです。企業や政治家などが不祥事を起こしたときやりがちな、「ご不快な思いをさせて申し訳ありません」という決まり文句を使った謝罪文のことです。

・・・公認心理師で臨床心理士の信田さよ子さんも昨年、複数の相手から、まったく同じこのフレーズを使った謝罪メールを受け取った。「相手が不快に思ったから謝るのではなく、やった行為について謝罪するのが本来の謝罪。自分のやったことを記さない謝罪文はありえないとツイートすると、たくさんの共感の声が届きました」

信田さんはDVの加害者が二度とDVをしないためのプログラムなども手がける。同じ過ちを繰り返さないためのポイントがあるという。①謝り償う②何をやったかを認める③再発防止を誓う――という3つだ。
「『ご不快な思いをさせて……』メールには、②のアカウンタビリティー(説明責任)が抜けている。謝罪は、相手がどう思ったかではなく、自分が何をしたかに軸足を置くべきなんです」・・・

・・・ちなみに英語でご不快構文に近い言葉は、Non-Apology Apology(謝罪でない謝罪、謝罪風の謝罪)。ご不快構文同様、「もし私の言葉があなたを傷つけたなら謝ります」というように、相手に責を負わせるタイプの謝罪を意味する「イフポロジー(If+Apology)」という造語もあり、謝罪でない謝罪の好例として紹介される・・・

働き方改革、各国事情

『自治体国際化フォーラム』2月号の特集は「世界の働き方改革」です。

・・・世界では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを経て、テレワーク導入を始めとした働き方改革の取り組みが行われており、日本においても働き方改革をより一層進める必要があるとされています。
コロナ禍以前に比べ働き方改革はある程度進んだとの見方がある一方、国際比較すると、日本の働き方改革には未だ課題があり、かつ組織に対する愛着心や結びつきを示すエンゲージメントは相対的に低い状況にあります。
そこで、今回の特集では、働き方改革に係る日本の自治体の現状や職員のエンゲージメントを高める重要性などについて、一橋大学大学院法学研究科の辻先生、阿部先生に解説をいただきます。また、働き方改革に係る海外の施策、自治体における取り組みおよび海外におけるエンゲージメント向上に資する自治体、民間企業の事例について紹介します・・・

経営者の謝罪会見

1月17日の読売新聞解説欄に「トップの陳謝 「火に油」注意」が載っていました。

・・・不祥事やトラブルを起こした企業が行う「謝罪会見」。昨年だけでも三菱電機の検査不正やKDDIの通信障害などで、経営トップが頭を下げる光景が繰り返された。そもそも企業はなぜ謝るのだろうか。

「お客様や関係者の皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことを深くおわび申し上げます」
三菱電機の漆間啓社長は昨年10月、鉄道車両向け製品などの不正検査問題を巡り、現旧役員の処分を発表した。謝罪会見では、まず役員がこうした「口上」を述べ、深々と頭を下げるのがお決まりのシーンだ。
組織改革などの「再発防止策」がついてくるのもお約束。社長は「しっかりやっていく」と強調したが、2021年に不正が発覚してから五月雨式に新たな問題が出ている。企業風土を変えられるかは疑問が残った・・・

・・・東北大の増沢隆太特任教授によると、企業の謝罪会見が多くなったのは1990年代後半。それ以前は不祥事を起こしても、世間に「謝罪する」というよりは記者に「説明する」という側面が強かった。
変化の背景には、インターネットの普及があるという。ネット掲示板やSNSで「個人の正義感や、足を引っ張ろうという感情の発信が容易になった」。企業は従来以上に世論に配慮し、会見を開くようになった。
その結果、会見は「劇場化」していく・・・

詳しくは原文を読んでいただくとして、2000年の雪印乳業・集団食中毒事件、2007年の船場吉兆・ささやき女将などが紹介されています。若い人は知らないでしょうね。
元「お詫びのプロ」より。「お詫びの仕方・形も大切

飲めない人もいる

12月25日の朝日新聞投書欄「男のひといき」、73歳の方の「下戸にはいい時代」から。

・・・コロナ禍でなければ忘年会たけなわであったろうこの季節、酒を飲めない私にとっては苦痛でしかなかった。ゼネコンに入社して数年目、四国支店にいたときの出来事だ。
現場トップのあいさつに続く乾杯を、グラスに口をつけるだけで済ませた私は食べることに専念していた。しばらくすると、右隣の先輩がビールを勧めてきた。
私が「すみません、飲めないんですよ」と断ると、昔からの恒例のフレーズ、「俺の酒が飲めんのか」と怒り出した。
するとそれを見ていた左隣の先輩が、「飲めん者に無理に飲ますことはないやろう」と意見したことで、先輩同士の衝突に発展してしまった。幸い殴り合いにこそならなかったものの、口論は5分以上続いただろうか。
原因となった私は10歳ほど年上の先輩2人に挟まれなすすべもなく、ただおろおろするしかなかった。

今から半世紀も前、会社の飲み会を拒むことなどとてもできなかった。しかし今はできるらしい。酒席への参加を強要する上司はパワハラで訴えられる可能性さえあるとか。
私みたいな下戸にとっては実にいい時代になったものである・・・

独占禁止法違反の自主申告

12月16日の日経新聞に「カルテル「申告制」の威力 処分減免、関電は課徴金ゼロ」が載っていました。
・・・企業向けの電力供給を巡り、公正取引委員会が大手電力3社に独占禁止法違反(不当な取引制限)で計約1000億円の課徴金案を通知した。関西電力が全額免除の一方で、売り上げ規模が最も小さい中国電力は課徴金で過去最大の707億円。結果的に明暗を分けたのが、違反を自主申告して課徴金の減免を受ける「リーニエンシー」制度だった。

「うちは荒っぽいことをやめるので、お互いに荒らさずやりましょう」。関係者によると、関電のトップ級の役員らが2018年秋ごろ、中国電、中部電力、九州電力の3社の役員らと順次協議。それぞれに「相互不可侵」を持ちかけたことが発端となった。
各社と個別に合意を結んだ関電は、違反申告への対応も素早かった。19年に金品受領問題が発覚し、コンプライアンス(法令順守)の徹底が求められていた時期、自社が主導したカルテルを公取委に打ち明けた。申請順位は1位で、課徴金は全額免除となる。
「納得がいかない」。他の電力会社の幹部からは自らのカルテルを棚に上げた恨み節も漏れる。関電の売上高は2兆8000億円を超え、4社中で最大。独禁法に詳しい弁護士は「リーニエンシーが認められなければ課徴金は関電1社で1000億円を超えた可能性がある」とみる。・・・

・・・リーニエンシーの導入は06年。当初は「日本になじまない密告」といわれたが、22年3月までに適用は延べ401社に上った。
協力度合いの評価基準が不透明などの課題はあるが、制度の浸透により、違反を覚知した経営陣は早期の対応を迫られることとなった。過去にカルテルを認定された企業の経営陣が、制度を利用しなかったとして株主代表訴訟を起こされ、役員らが5億円超を会社に支払うことで和解した例もある。対応を怠れば行政処分に訴訟リスクが加わる・・・

カルテルを持ちかけた関西電力が課徴金を免除され、応じた中国電力が707億円もの課徴金をかけられるのは、何かしら変な気がしますが。

私は、規範遵守(コンプライアンス)の講義に、この話題(違反の自主申告、内部通報)を使っています。違反を起こさないことと、それを見つけた場合の対処です。
法令違反はやってはいけないことですが、根絶は無理でしょう。それを見つけたとき、気がついたときに、どのように振る舞うべきか。誰しも「ばれなければよい」と思うのではないでしょうか。ところが、ばれるのですよね。すると、傷口はもっと広がります。そして、管理職の責任はさらに重く問われることになります。「受動的な責任と能動的な責任」「責任をとる方法