カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

転勤制度の見直し

9月29日の読売新聞に「転勤制度 悩む金融界 働き方多様化で抵抗感」が解説されていました。

・・・金融界で転勤制度を見直す動きが広がっている。三菱UFJ信託銀行は10月から、みずほ銀行は来春から、それぞれ転勤者への手当や一時金を大幅に積み増す。転勤に抵抗感を持つ人が増える中、人材の獲得や定着を図る狙いだが、抜本的な解決策はなく、全国で事業展開する企業の悩みの種となっている・・・

共働き世帯の増加に加え、子育てや介護への意識の高まりで転勤できない事情や、転勤への抵抗感から入社を見送ったり、離職したりするケースがあることも指摘されています。他方で、金融機関の特殊性もあります。
・・・銀行は、預金や融資、金融商品の販売を手がけ、法人、個人の顧客との関係が深まる。長い付き合いが高じて、行き過ぎた営業や個人的な不適切な取引に発展しないとも限らない。異動させることで他人の目を入れて不正を発見しやすい環境を作ってきた。金融庁もかつて営業担当者を中心に定期的な異動を求めていた。保険業界も同様だ・・・

・・・日本では、長らく終身雇用を前提とした採用が続いてきた。正規社員として給与や福利厚生を受けられる安定した地位を与える一方で、転勤を含む配属といった人事権は企業側が握る構図があった。働き方改革の流れやIT系企業などの新興企業の増加で、大企業の社員でも転職者が多くなり、人事を巡る労使関係は変わろうとしている・・・

欧米では、どうしているのでしょうね。希望者を募り、それに見合う処遇をしていると想像します。

職場の非公式交流の機会

9月25日の日経新聞「多様性 私の視点」、山口慎太郎東大教授の「飲み会・たばこ部屋に代わる交流を」から。

・・・日本に限らず多くの国で、飲み会やゴルフ、たばこ休憩などでの非公式コミュニケーションの重要性を指摘する人は多い。もっとも、その実態はエピソードの域を出ることはなかった。
しかし、最近の研究では、「たばこ部屋」の存在が非常に重要であることが客観的な形で示された。ある大手商業銀行を対象に行われたこの研究によると、上司と部下がともに喫煙者である場合、そうでない場合と比べて、上司と部下が共に過ごす休憩時間が63%増加し、部下の給与は2年半の間に18%余分に上昇するという。

問題は、このような非公式コミュニケーションの場が特定のグループに限定されると、組織の多様性や包摂性に影響を及ぼす可能性があることだ。特に、ジェンダーの観点から見ると、男性主導の非公式コミュニケーションは、女性が重要な情報を得る機会を失うことにつながる。実際、ある調査では、女性エグゼクティブの悩みとして「男性だけでネットワーキングが行われ、女性は重要な情報を入手できなかったこと」が最も多く挙げられた。また、マイノリティーや異文化の背景を持つ従業員も、文化や習慣の違いから非公式のコミュニケーションから疎外されるリスクがある。
伝統的な「飲み会」や「たばこ部屋」に代わる、新しい非公式コミュニケーションの模索は、組織の多様性と包摂性を高めるために重要だ。ランチタイムやコーヒーブレイクをともにする機会を設けるなど、様々な背景や習慣を持つ従業員が自然に交流できる場を提供することが望ましい・・・

指摘の通りです。私も、昼に聞けない話を飲み会で教えてもらい、部下の悩み事を聞くことも多かったです。タバコは吸わなかったのですが、部下職員がタバコ部屋で仕入れてくる情報には、職員管理において役に立つものも多かったです(女性職員の場合は、洗い場での意見交換もありました)。
この二つは、限られた人だけが参加できるという、大きな欠点を持っていました。徐々に減ってきています。では、それに変わる「話を聞く場」をどのようにしてつくるか。難しいところです。

職場のストレス

9月12日の日経新聞に「高ストレス社員 対策急ぐ」が載っていました。詳しくは記事を読んでください。

・・・働く人々にかかるストレスが過去最悪の水準に達している。周囲の支援が不十分な高ストレス者の割合は、80万人分を調査した民間のストレスチェックで2022年度に1割を超え、比較可能な18年度以降で最も高くなった。特に深刻なのは30代。累積する業務の多さなどで疲弊している。休職者の増加が組織をむしばむとあって、企業も対策を講じ始めている・・・

職場のストレス悪化は、世界的だそうです。世界1万人の労働者を対象とした調査では、「燃え尽き症候群を感じた」との回答が、42%に上ったそうです。心身の過度の疲労によって勤労意欲を失うことを、燃え尽き症候群と呼ぶようです。

テレワーク実施率16%

8月8日の朝日新聞に「大企業、テレワーク22% 半年前から11ポイント急減」が載っていました。

・・・日本生産性本部が7日発表した調査で、働く人のテレワークの実施率が15・5%と新型コロナ禍以降で最低になった。半年前の前回調査の16・8%から低下し、最も高かった初回調査(2020年5月)の31・5%と比べると半分以下の水準になった。特に大企業の低下が目立ち、前回調査から10ポイント以上急減した。
調査は今回が13回目。国内で企業などに雇用されている20歳以上の1100人を対象に、7月10~11日にインターネットで行った。

どんな働き方をしているかを複数回答で尋ねた項目で、自宅やカフェなどでのテレワークを活用していると答えた人は従業員1001人以上の大企業で22・7%。101~1千人の企業では15・5%、それ以下の企業では12・8%となった。
大企業の数字は半年前の前回調査(34%)から11・3ポイント急減し、全体の実施率を押し下げた。日本生産性本部によると、政府が今年5月に新型コロナの感染症法上の位置づけを「5類」に移行したことを受け、コロナへの一時的な対応としてテレワークを採り入れていた企業で出社を求める動きが活発になっているという・・・

学び直し

8月2日の日経新聞オピニオン欄、半沢二喜・論説委員の「キャリア自律というけれど」から。

・・・「今まで企業に任せてきたが何も変わらなかった。同じ会社に雇用されるのをよしとする慣習を変えるために、これからは本人が自由に学んで職を選べるよう個人を起点にした支援に変えるということだ」。政府が打ち出した三位一体の労働市場改革について、ある国会議員は解説する。

三位一体の改革とはリスキリング(学び直し)支援とジョブ型人事制度の普及、成長分野への労働移動だ。このうちリスキリング支援については、企業経由が75%だったのを個人への直接給付が過半になるよう方針転換する。在職者の受講を増やし、転職市場の活性化につなげる狙いだ。
改革の指針では、キャリアは会社に与えられるものから個人が自らの意思で築くものへ変えていく必要がある、とうたっている。大手企業が社員に促している「キャリア自律」を、政府も声高に呼びかけ始めたわけだ。
世界では働き手が自分の将来を主体的に考え行動するのが当たり前であり、日本もならうべきだ。問題は終身雇用の下で人事部主導の異動と研修に慣れてきた個人の意識が変われるかだろう。

リクルートが今年1〜2月に実施した1万人の調査によると、自分のキャリアに満足していない人が36.1%いた。一方でキャリア自律ができていると思う人は18.3%にとどまり、できていない人は41.8%に上る。課題としては「何をしたらいいか分からない」「自分の強みや市場価値が分からない」「行動に移せない」という回答がそれぞれ約3割で上位に並んだ。
「政府・企業と個人の温度差は大きい。いきなり自転車の補助輪を外してこいでいけと言われるようなものだ」。同社の藤井薫HR統括編集長は支援の必要性を指摘する・・・