カテゴリーアーカイブ:人生の達人

笑えるけど笑えない、無駄な会議

2022年2月23日   岡本全勝

2月13日の朝日新聞「無駄な会議撲滅への道:上 秘密文書が教えるダメ会議」から。
・・・会議の人数はできるだけ多く。少なくとも5人以上▽長くスピーチせよ。逸話や個人的経験を説明せよ▽前の会議の決定事項を再び持ち出し、決定の妥当性を問い直せ――。
これはダメな会議について記した啓発書の一節ではない。米中央情報局(CIA)の前身の情報機関「戦略事務局(OSS)」が作成した秘密文書の内容だ。
題して「簡易サボタージュ・マニュアル」。1944年に作成され、様々な妨害手段を講じて敵国や敵組織を弱体化させるための具体例が記されている。情報機関が当時、ダメな会議のパターンを見抜いていたのだ。会議についての妨害工作も列挙されていた。
例えば会議を長引かせる方法は、「関係のない話を可能な限り持ち出せ」「文書や議事録、決議の細かな言い回しについて掛け合え」とある。無駄な会議をつくる手法については、こうだ。「正規の手続きを経るよう要求せよ。決定の最短経路を選択させるな」「重要な業務があるときほど会議を開け」・・・

ダメな例が列記されています。
会議では、演説をして経験談など長話をする。すべての案件を会議にかけ、さらなる調査を求める。一人でできるのに、3人の承認が必要な手続きにする・・・
上司では、延々と質問し長話をする。重要でない仕事から始め、重要な仕事は非効率な作業者に割り当てる。すべての規則を一字一句まで適用する・・・

読んでいて、笑えますね。
私は『明るい公務員講座 仕事の達人編』で、職場の無駄として、会議、資料作り、パソコンの3つを挙げました。無駄な会議をなくす方法を書いたので、参考にしてください。
一番の方法は、会議を開かないことです。次に、人数を絞り、終わる時間を決め、結論を書くことです。無駄な会議は、この逆をやってください。

なお、この秘密文書を元に、対応策を書いた本があります。R.M.ガルフォードほか著『アンチ・サボタージュ・マニュアル 職場防衛篇: 組織を破壊から守る9の戦術』(2018年、北大路書房)

引っ張るリーダーと支えるリーダー

2022年2月22日   岡本全勝

2月10日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」ALE・岡島礼奈社長の「メンバーの力を引き出す」から。

・・・リーダーには自分についてこいというタイプと、メンバーを支えながら進めていくタイプの2つに分けられると思います。私は完全に後者です。会社は社長の器より大きくならないと言われますが、私はそうは思いません。自分よりも優秀な人を集め、さまざまな意見を取り入れて事業を拡大させていきたいです・・・

もっとも、この会社の方向を示しているのは、岡島社長です。この発言では、謙遜しておられますが。
先頭に立って引っ張ることと、部下を前に立てて後ろから支える。この二つの兼ね合いが、リーダーや管理職の役割です。

次のようなことも言っておられます。同感です。
「リーダを目指すあなたへ」
経営者仲間、同世代の人、先輩など、様々な人からアドレスをもらうことです。修羅場を含めて実際に経験していく中で成長するしかないと思っています。生まれながらの経営者はいないのではないでしょうか。

寝る前に良かったことを思い出す

2022年2月20日   岡本全勝

2月8日の日経新聞の医療健康面「心の健康学」は、大野裕さんの「スリー・グッド・シングス」でした。

・・・ある会合で、夜寝る前に子どもと一緒にスリー・グッド・シングスを実践しているという女性に会った。おそらく就学前か小学校低学年の子どもだろう。子どもを寝かせつけるときに、その日に起きた良かったことや楽しかったことを話してもらっているのだという。
スリー・グッド・シングスについては、以前に本欄でも紹介したが、その日に起きた良かったことを3つ思い出して書き出すことでこころを元気にする方法だ。良かったことと言っても大げさなことでなくてもよい。日常生活のなかで起きた、こころが少し和らぐような出来事を具体的に思い出す・・・

大人が一人で行うことも効果があるでしょうが、子どもと親が一緒にやると、子どもは気持ちよく寝ることができるでしょう。そしてよい子になると思います。

心は放っておくと暴走する2

2022年2月18日   岡本全勝

心は放っておくと暴走する」の続きです。ぐるぐる回りし落ち込む気持ちや暴走する怒り。それをどうしたら止めることができるか。拙著『明るい公務員講座』では、指を折ることをお勧めしました。

・・・タイ王国では、仏陀の元々の教えに基づく瞑想実践が今も脈々と受け継がれ、一般の人にも知られ、実践されてる。その実践自体はいたってシンプルなもので、自分の中に様々浮かんでくる、思考・感情に「気づく」(awareness、と英語では言う)ことだ。何かを見て、イライラしたり、怒りのような感情が浮かんできたりしたら、「あ、私、今イライラしているな」とか「怒りがあるな」とそれに「パッと気づく」ということである。
なんだそんなこと? と思われるかもしれない。しかし、今浮かんだ感情に「気づく」という“簡単な”ことをずっと行い続けるのは、実はとても大変なのである。人はややもすると、そういう感情や思考に巻き取られて、小さなイライラがいつの間にか大きな憎しみや怒りに変容してしまう。
最初は小さな言い合いだったはずなのに、いつの間にか「離婚する!」とか「家出する!」とか叫んでいたりするような場合には、まさに怒りに巻き取られている状況のプロセスがそこにはあったはずだ。
「はっと我に返る」という言葉があるが、それは「その巻き取られた思考からちょっと距離が置けた」ということだ。

このような自分の中で起きている思考や感情を「観る」練習をタイ仏教研究者の浦崎雅代さんから学ぶまでは、私自身も全く知らずに思考の暴走に苦しんでいた。
私の専門である行動分析学の用語で言えば、自分の身体の内側起きている事象である、私的事象を観察するということに他ならない。そして、この観察ができるのは「唯一私だけ」なのだ。つまり、本当の意味で心の暴走を止めることができるのは「私」だけ、ということになる。
この自らの瞬時に沸き起こってくる思考に気づくことで、それ以降の思考の暴走、心の暴走を止めるという試みは、瞑想のみならず、認知行動療法の領域でも広く実践されている。
私たちは学校で知識や技術については長い年月をかけて学んでいく。しかし、自分の「心」の扱い方については、正直学ぶ機会はほとんどないと言っていいだろう・・・

ご指摘の通りです。連載「公共を創る」でも、社会と個人の倫理や道徳を育てることの重要性を論じているところです。しかし、他者と一緒に生きるための倫理や道徳、自分自身を育てる道徳とともに、このようなどんどん沈んでいく気持ちや暴走する心を扱う教育も必要です。「心の取扱説明書」です。

心は放っておくと暴走する

2022年2月17日   岡本全勝

朝日新聞「ウエブ論座」、三田地真実さんの「東大前刺傷事件から考える~心は放っておくと暴走する「苦しみの正体」 内面に“今ある”感情に気づこう」(2月1日掲載)が、参考になります。「放っておくと体は硬くなる、心は暴走する」は、1人のタイ僧侶の言葉だそうです。

・・・「心は放っておくと暴走する」という冒頭の言葉は、認知行動療法の文脈では「自動思考」と呼ばれる心の動きとほぼ同じ内容を指している。つまり、人は何かを見たり聞いたりすると、パッとそれについてのある考えが「自分の意図とは関係なく勝手に浮かび」、さらにそれが次々と別の思考を呼び起こしていくというプロセスのことである。
自動思考は、特段何かメンタルの問題がある場合にのみ起きるものではなく、今、この文章を読まれている皆様の心にあれこれ浮かんでくる「まさにその思考」のことである・・・

・・・このような思考がどんどん勝手に膨らんでいき、嫉妬や羨望でどうしようもなくなるということは、誰にでもあるだろう。様々な場面で人は「本当は自分の人生とは関係のない出来事」に心を、気持ちを揺さぶられる。そして、自分勝手に苦しいストーリーを作り上げて、さらに苦しんでしまう。「苦しみ」がこのようなプロセスによってもたらされているということすら、ほとんどの人は気づいてはいないだろう。後述するが、このことを看破したのがあの仏陀(ブッダ)だったのである。
実は私自身もこういうネガティブな自動思考で頭の中がぐるぐるしている時期が随分長くあった。もちろん当時それを「自動思考」と呼ぶということすら知らず、程度の差こそあれ、自分よりうまく人生を歩んでいるような人を見るとむくむくと「なんで、あの人があんないい思いをして、一生懸命やっている私が……」といういやーな気持ちに苛まれることがあった。
しかし、それとどう付き合うかという、このような自分の思考の取り扱い方については、「習ったことがない」と気づいた。そのきっかけになったのが、タイ仏教に根差した「気づきの瞑想」(あるいは「気づきのマインドフルネス」)との出会いであった・・・

この説明には、納得します。嫌なことは忘れたい、思い出したくないのに、頭の中から離れないどころか、ぐるぐる回るのです。静かに頭の中を回り続けるだけでなく、感情的に暴走するときもあります。この項続く