カテゴリーアーカイブ:人生の達人

備える危機の3種類

2022年11月26日   岡本全勝

災害をはじめとして、組織にはさまざまな危機が起きます。それらに、どのように備えるか。3つに分けて考えると、わかりやすいです。

その1は、経験したことがある危機です。人は一度経験すると、二度目は上手に対応できます。組織も同じですが、時間が経つと経験者がいなくなるので、その経験をどのように引き継ぐかが課題となります。

その2は、同業他社が経験した危機です。その際の対応が役に立ちます。というか「私たちには初めての経験なので・・」という言い訳は通用しません。その1の危機もその2の危機も、手順書やそれを基にした訓練が、いざというときに効果を発揮します。

その3は、まだ誰も経験したことのない危機です。いろいろと想定をしておきますが、未曾有の危機では想定外のことが起きます。その際にどれだけ想像力を働かすことができるか。ここに、力量が現れます。

二つの「正解」

2022年11月24日   岡本全勝

自然科学における正解と、私たちの仕事における正解とは異なることを、拙著『明るい公務員講座』第1章で説明しました。
自然科学における問題の答は、一つに決まります。1+1=2であって、3は間違いです。それは、誰が見ても判断できる、客観的なものです。

他方で、私たちの仕事の多くは、正解が一つではありません。例えばある課題に対して対策組織をつくる場合、どれくらいの人数を集め、誰を責任者として、どのような人を配置するのか。一つの正解があるわけではありません。いくつかの案を作って、利害得失を考えてその中からよいだろうと思われる案を選びます。優秀な職員を配置すればよいのですが、引き抜かれた組織が困ります。「絶対正しい」という案はないのです。どこかで、折り合いをつけなければなりません。
職員が、市長の挨拶文案を作成する場合、これは正解で他は間違いということはありません。盛り込まなければならない要素が入っているかどうかは客観的に判定できますが、季節の挨拶を入れるのか、文体はどうするのか、長さはどの程度かは唯一の正解はありません。そして、職員と課長が「これがよい」と思っても、市長が「だめ」といえば、採用されません。

東日本大震災で判断に迷った際に、どのように決断したか。何が正解だったかを聞かれることがあります。前例のない事案で判断に迷うことはありましたが、二者択一やこれが正解で他は間違いというような問題はほとんどありませんでした。
「支援物資が輸送拠点であふれてしまった」とか「棺桶が足らない」という問題は、正解が一つではなく、また二者択一でもありません。正解は「どのようにして切り抜けるか」です。
まずは解決方法を探さなければなりません。考えられる案が一つで大きな副作用がないなら、迷うことなくそれを採用するでしょう。
解決方法がない場合が困るのです。その場合の正解は、「知恵を出してくれそうな人を探し、意見を聞くこと」です。私一人がいくら悩んでも、答は見つかりません。
できる限り広く意見を聞く。そしていくつかの案が出たら、それらの利害得失を判断する。その際も、関係者の意見を聞く。そして判断します。そこに私の力量が試されます。全員が納得すればよいですが、そうでない場合に決断があります。その判断基準は、「後世の人の批判に耐えうるか。説明できるか」「閻魔様の前で説明できるかどうか」です。
続き「迷ったときの判断基準、2つ

第二の人生、仕事も学びも前向き

2022年11月24日   岡本全勝

11月6日の朝日新聞に「第二の人生、仕事も学びも前向き」が載っていました。

・・・人生100年時代、その後半生となる「第二の人生」をどう生きていくか。朝日新聞Reライフプロジェクトが運営するコミュニティー「読者会議」(約1万3千人)のみなさんに聞くと、「仕事にも学びにも、積極的に、前向きに」という答えが返ってきました。今年実施した三つのアンケートから、「引退」という従来のイメージとは異なる、元気で活発なアクティブシニアの姿が見えてきます・・・
・・・ 実際に何歳まで働くことが理想なのかを聞くと「働き続けられればいつまでも働きたい」(29%)が最も多く、「70歳まで」(23%)と続いた。一般的な定年年齢は60歳か65歳。65歳を超えて働き続けたい人が6割超となった。
ただし第二の人生での働き方の基準は、定年前とは異なっている。回答者(複数回答)の4割を超す人が選んだのは、「達成感が得られること」と「世の中に貢献できること」。次いで「健康増進にもプラスの効果があること」「働く場所と時間が自由に選べること」「自分が成長できること」を選んだ人も3割に達した・・・

・・・自分で使える時間のゆとりを得た分、「学び直し」、いわゆるリカレント教育に対する受講意欲もきわめて高く、学び直しをテーマにした調査では、「学び直したい」と「今まさに学び直しをしている」の合計は95%に達した。
その目的(複数回答)は、「教養を高めたい」(57%)と「趣味を深めたい」(54%)がそれぞれ半数を超える一方、「現在の仕事に役立つ」(13%)や「定年後の再就職に役立つ」(9%)といった実益目的は、比較的少なかった・・・

・・・一方で、働き続けたい人のなかには生活の糧が理由の人も少なくない。仕事選びの基準を聞いた質問では、「収入を得るため」という回答が3割を超え、3番目だった。
背景にあるのは、寿命が延びればその分、将来のおカネの不安も大きくなるという思い・・・

失敗には必ず原因がある

2022年11月23日   岡本全勝

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」は、野球の野村監督の言葉として有名ですが、元は、平戸藩主の松浦静山の言葉です。この名言が述べるように、失敗には必ず原因があります。

最近の事例でも、痛感しました。
まずは、岸和田市での保育園児が父親の車に取り残され死亡した事件(11月12日)です。自家用車の中に娘を置いて、保育園に引き渡すのを忘れた父親の責任は重大ですが、家族に子どもの欠席を確認する電話を怠った職員の責任も大きいです。職員が保護者に電話をしていれば、また園長が職員に「電話をしたか」確認さえしていれば、この事故は防げたはずです(報道を元に書いています)。

もう一つは、京成電鉄が脱線した事故(11月17日)です。報道によると、内規に違反して、運転士が電車をバックさせたことが原因だそうです。

それぞれ、決められたことを守っていたら防げた事故です。ここに、規則の限界が見えます。そして、職員個人の問題なのか、職場の組織文化(社風)の問題もあるのかが問われます。「社風をつくる、社風を変える

情報を上げたいと思わせるリーダー

2022年11月19日   岡本全勝

11月10日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」、村木厚子・元厚生労働事務次官(下)から。

――情報を上げたいと思われる上司になることが大切だと常々話されています。
「重要な情報が耳に入らずに『自分は聞いていない』という上司がいます。私もそう言いたいときはありますが、自分が部下の立場だったら、本当に大事な人には相談しています。もっとはっきりいうと、役に立つ上司のところには情報を持っていきます。大事なことを聞かされないのはリーダーとして格好悪いことなのかもしれません」