カテゴリーアーカイブ:人生の達人

情報機器での情報漏洩

2024年4月7日   岡本全勝

4月3日の日経新聞「クラウド漏洩、「凡ミス」多発」が参考になりました。
・・・人材管理システムのカオナビ子会社が運用するクラウドサービスで、個人データの漏洩が判明した。運転免許証やマイナンバーカードの画像を含む15万人超の情報が流出。個人情報の漏洩リスクが高まる中、誤った設定や操作など企業側の「凡ミス」も目立つ。
カオナビは3月29日、子会社が運用するシステムのクラウドで管理していた氏名や性別、住所、電話番号のほか、マイナンバーカードや運転免許証など身分証明書の画像が外部から見られる状態だったと発表した・・・
サーバーには本来なら外部からアクセスできないように設定しなければならないのに、誤設定で第三者から閲覧可能な状態になっていて、既に15万人の情報がダウンロードされていたとのことです。

記事では、情報漏洩のケースとして、次の3つが挙げられています。
・不正アクセスなどによる「被害型」
・社員が情報を持ち出す「不正型」
・今回のような設定ミスや誤操作による「過失型」
人間がすることですから、失敗もあります。しかし、情報機器は大量の秘密情報を扱っている場合があり、失敗が大きな被害をもたらします。

社員の技能を可視化

2024年4月6日   岡本全勝

3月20日の日経新聞に、「日本特殊陶業、全社員7000人のスキル可視化」が載っていました。

・・・エンジンの点火プラグで世界首位の日本特殊陶業は全社員、7千人のスキルを可視化している。プラグがいらない電気自動車(EV)の普及とともに市場は縮む見通しだ。車部品業界トップの収益力がゆえに、危機感の浸透や事業転換が壁となる。一人ひとりの目指す姿と今のギャップを鮮明にする仕組みで、学ぶ意欲や新事業への攻めの志を養う・・・
ソフトウェア開発、セキュリティー技術など6項目で、1(未経験)から5(社外で講師ができる)の5段階があります。社員が自ら評価し登録します。上司が修正します。

私が職員研修などで取り上げている、「採用されれば、人事異動や昇進は人事課任せ」「自ら技能を磨かない」という日本型職場慣行の欠点を埋める、よい取り組みだと思います。

野本弘文・東急会長、「予算ありきで考える傾向」

2024年4月4日   岡本全勝

日経新聞私の履歴書、「野本弘文・東急会長、各組織の論理と全体を見る目」の続きです。今日は、3月20日の「渋谷の危機」から。

2000年代後半、東急の本拠地である渋谷の魅力が衰え、銀座、新宿、丸の内、六本木などと比べて存在感が薄くなっていました。駅周辺の建物を高層ビルに建て替える計画が進んでいました。その計画に対して、野本さんは「何か楽しさが足らない」と感じます。
「歩いていて楽しい場所でなければ人は来てくれない」と、新しい企画を提案します。それに対して社内からは「予算をオーバーします」という声が出ました。野本さんは、顧客からどう見えるかを優先します。
「施設の魅力向上に役立つ投資だと思ったからだ。予算ありきで真面目に考える傾向は多くの組織でみられるが、少し発想を広げて顧客をどのように楽しませるか考えてほしい」

この話は、私にとっても耳の痛いことです。県でも、財政課職員、財政課長、総務部長として長年にわたって予算査定に従事しました。第一の「哲学」は、予算の範囲内に抑えることでした。要求額を削減すること(「削る」と言っていました)を、任務と考えていたのです。
富山県総務部長の時、中沖豊知事が事業をじっくりと検討し、時に大幅な増額をされました。それを見て、目が覚めました。ある施設の改修事業案について、職員と利用者のことを考えて計画変更を提案し、予算額を増額しました。知事に報告したら喜んでもらえました。「岡本君も、ようやく分かったか」と笑っておられました。

3月22日の「事故」には、次のような文章も載っています。
「事故から1週間後に開いた集会をはじめ、たびたび社員に呼びかけてきた。
責任は「果たすもの」であって「取るもの」ではないという考え方。もちろん結果によって早々の責任を取らねばならないが、再発防止に向けて組織としては、責任を追及する以上に原因を徹底的に追求する姿勢を大切にしたい」

新社会人の皆さんへ

2024年4月1日   岡本全勝

今年は、4月1日が月曜日。新しい年度が始まりました。新しく社会人になった人、職場を異動した人も多いでしょう。大きな希望と少しの不安を抱えての出発だと想像します。私も若いときは、そうでしたから。初志を持ち続けて、成長してください。

悩みについては、一人で抱えないでください。
電車の車内広告で、新採社員向けに「悩まず先輩に相談しましょう」「先輩も相談されることを待っています」というものがありました。その通りです。一人一人にとって初めてのことであり大きな悩みですが、経験者にとって「みんなが通ってきたこと」です。その基本を『明るい公務員講座』に書きました。

「若い人に『明るい公務員講座』を渡したいので、署名してください」との依頼もありました。お役に立てればうれしいです。不安そうな新人を見かけたら、拙著を紹介してください。
『管理職のオキテ』も、売れているようです。連載している「公共を創る」でも書いているように、各職場での管理職研修(といっても、ほとんどが「先輩を見て覚えよ」であり、管理職の育成は特段のことをせず優秀な職員から選んでいます)が、現実の変化に追いついていません。こちらの本も、管理職になって悩むことに対して助言をしています。

管理職を目指さない日本の社員

2024年3月31日   岡本全勝

3月18日の日経新聞夕刊に「管理職は「なり損」?」が解説されていました。

・・・管理職は責任も伴う役割です。その部署が進む方向を決断し、成果を上げなくてはいけません。それを自分では担えない重責だと感じる人もおり、日本では特に管理職を敬遠する風潮が顕著になってきています。
パーソル総合研究所がアジア太平洋地域(APAC)の14カ国・地域を対象に実施した働く人の意識調査によると、管理職を目指す人の割合は日本は男女平均で21.4%でした。14カ国・地域中、最下位です・・・

理由として、処遇が責任に見合っていないことが挙げられています。戦後日本の平等志向で、諸外国と比べ管理職の給料が高くないのです。
そして、私が指摘している「管理職に必須の職場管理知識」が増えていることも原因としてあげられています。
・・・一方で役割は広がるばかりです。1999年以降、セクハラ、パワハラなどへの法的な対応が企業に課せられました。65歳までの継続雇用も始まり、年上の部下を持つケースも増えています。働き方改革で残業削減にも目を光らせなくてはいけません。
いずれも大切な取り組みですが、その役割は現場を預かる管理職が主に担います。管理職に必要なマネジメントスキルはますます複雑化し、難易度が上がっています・・・

記事では、各国の「管理職を目指す人の割合」が図になって載っています。インド、ベトナム、フィリピンなど東南アジア各国では男性も女性も7割から8割です。日本の低さ、特に女性の低さが目立っています。
これは、社員に原因があるのではありません。職場が魅力のない管理職を作っているのです。会社側に原因があります。
対策はそんなに難しくありません。
・給与を引き上げ、社員と差をつけること
・できる社員を管理職に昇進させるのではなく、管理職を意図して育成すること。
・管理職研修をしっかりやること