カテゴリーアーカイブ:人生の達人

日経新聞に載りました

2017年5月19日   岡本全勝

今日5月19日の日経新聞夕刊2面が、内閣官房参与を大きく取り上げていました。「官邸主導支える助言役 。内閣官房参与、首相決定へ流れづくりも 」。その一人として、私もでています。
・・・浜田、藤井氏以外で個別政策を担当する参与は、首相との面会はそれほど多くない。
2016年6月に「復興再生」担当の参与となった岡本全勝前復興次官は「首相と会うのは被災地の現場視察のときだけ」と話す。岡本氏は週2日は東日本大震災の被災地、福島で過ごす。
政権にとって、被災地の復興・復旧は最優先課題。岡本氏は「復興担当の参与を置いたのは政権を奪取したときの首相の意向」と語り、「参与の肩書があれば、官邸の意向と被災地の考えをどちらもくみ取ることができる」と指摘する・・・

正確には、「最近は、首相との面会は少ない」です。復興の方向性が、次第に定まりました。また、しばしば現地視察をしていただくので、総理に官邸でご報告する必要が少なくなってきたのです。これは、良いことだと思っています。
この記事でも解説されているように、内閣官房参与でも、様々な「役割」「形態」があります。

今日は母校で講演

2017年4月29日   岡本全勝

今日29日は、母校・奈良女子大学付属高校の同窓会で、講演をしました。今年は、私たち昭和48年卒業生が幹事で、私と小吹君が「出し物」です。
私の役割は、官僚としてのやりがいを話すこと。小吹君が、NGOとしての活躍を話すことでしょう。で、私は、東日本大震災の対応と復興をお話ししました。割り当てられた時間は30分でしたが、実際は20分あまり。

このような場では、話より写真が効果があります。用意した写真は、半分だけを使いました。
いつものことですが、発災直後を思い出すと、大変だったときのことが頭をよぎります。「これを、若い人たちにも伝えておきたいなあ」と思い、ついついエピソードに脱線します。
皆さん、興味を持って聞いてもらえたようです。ありがとうございました。

「あなたの人生の意味」

2017年4月25日   岡本全勝

デイヴィッド・ブルックス著『あなたの人生の意味』(邦訳2017年、早川書房)が良かったです。副題に「先人に学ぶ「惜しまれる生き方」とついています。
著者は、人間の美徳には2つあると指摘します。一つは履歴書向きのもので、社会でどのような資格を得て、成功を収めたかです。もう一つは、追悼文向けのもので、あなたの葬式に集まった人たちの思い出話として語られるもの、親切、正直、誠実といったものです。その人たちと、どのような関係を築いていたかにもよってきます。生き様、人格といったものでしょう。
前者を「アダムⅠ」と、後者と「アダムⅡ」と名づけます。Ⅰは外向きです。高い地位と勝利、世間からの評価を求めます。Ⅱは内向きです。良き生き方を求め、心の中に道徳的資質を持とうとします。Ⅰは他人との競争、Ⅱは自分または神との約束とも言えます。
この本は10人の人を取り上げ、それぞれの人がどのようにアダムⅡで立派な人生を送ったかを書いたものです。

アイゼンハワー・大統領は、自己抑制の人であったこと。マーシャル・国務長官が自制心の人であったこと。二人ともアダムⅠとして成功していますが、ここでは大変な努力家として描かれています。そういう人を、周囲が放っておかず、大きな地位に就けるのです。
ほかに、自ら進んで恵まれない人への支援を行い社会改革に取り組んだ女性たちなど。それぞれに、簡潔な伝記として、彼らが自らを律した様、それもしばしば強烈な体験が書かれています。

人生とはなんぞや、どのように生きるべきかを考えている人には、良い本です。
取り上げられている人がアメリカ人がほとんどで、しかも私たちになじみがないこと。450ページを越える厚さであることが、難点です。
1か月ほど前に読んだのですが、ほかの記事を優先していたら、今頃になりました。私の研究課題は日本の政治と行政で、主にアダムⅠの世界ですが、たまにはアダムⅡについても書いてみました。

残業削減、やればできる

2017年4月24日   岡本全勝

4月24日の毎日新聞が「無駄省き「7時前退社」実現」という記事で、三井住友海上火災保険の取り組みを取り上げていました。
・・・大手損保の三井住友海上火災保険は4月、残業削減に向け全社で午後7時前に退社するルールを導入した。ホワイトカラー中心の社員2万人の大企業で、職場はどう変わるのか・・・
・・・「絶対できない、と思っていた」。3月まで所長代理だった鳥飼有子(とりかいゆうこ)さん(36)=現首都圏損害サポート部=は当初、冷めた目で見ていた。電話受け付けが終わる午後5時まで対応に追われ、それから社内報告の作成に入る。たいてい午後8~10時まで「残業ありき」だった。
だが、事故を減らすのは難しいが、通話時間の短縮は可能だった。相手からの電話を受けてから対応するのでなく、要点を明確にして自分から連絡すれば、効率よく、顧客満足度も高まる。「残業をして一人前の意識だったが、今は仕事の質が最優先」
生活も変わった・・・
・・・自動車保険部の商品業務チームは、昨秋に始まった社内改革に先駆け、業務見直しに取り組んだ。23人中18人が女性で、うち6人が育児中だ。
自動車保険引き受けの規定やその確認ルールについて約600種のマニュアルを作成し、年1回の商品改定にあわせ更新する。・・・全ての業務に明確な手引書があり、細かくスケジュール管理。誰かが急に休んでも支障がないようにしていた。
「だが、業務の中身を問う視点は抜けていた」。2014年にチーム長になった萬代さんはそこに踏み込んだ。例えば、契約者が従業員であることを条件に保険料を安くする「団体扱い」の点検業務。以前は年400件の契約を抽出しチェックしており、現場の負担となっていた。そこでマニュアルを改善することで不備を激減させ、16年度に廃止した。「不備のない体制作りが目的なのに、点検が仕事と思い込んでいた」。14年度に43あった点検項目は17年度は15に減り、現場から本社への報告も数を絞った。見直しは第一線の負荷を減らし、チームの業務効率化にもつながった・・・

やればできるんですよね。記事には、長時間労働を当たり前と考える「常識」が9項目載っています。
・・・かつては一生懸命働けば、企業は業績拡大、個人は高評価という見返りがあり、長時間労働をいとわなかった。だが、産業構造の変化や働き方が多様化しているのに、意識は変わらないまま、生産性への関心が低い。長時間労働是正は生産性向上と一体なのだ・・・
原文をお読みください。

社員のやる気をどのように高めるか

2017年4月23日   岡本全勝

4月17日の日経新聞経済教室は、若林直樹・京都大学教授の「社員のやる気 どう高める」でした。
「企業の人事管理にとって、社員の「やる気」を高める取り組みは最重要の課題だ。ところが国際比較調査を見ると、日本企業の社員が会社の仕事に対して示すやる気は欧米よりも低く、アジアの中でも劣る。やる気を表に出すことをはばかる文化が日本人社員にあるためなのかもしれないが、社員のやる気が高く示されないことは大きな経営課題だろう」として、現在の代表的な4つの論点が示されています。
1 金銭的報酬。しかし限界があり、社員がそれぞれ求める幸福のあり方に配慮して報いる方が、動機づけには効果的である。
2 社員が会社の職務に積極的に関わる要因に注目する「ジョブ・エンゲージメント」。具体的には、(1)会社との価値観の適合の高さ(2)職務に対する会社の支援の多さ(3)職務に自分がふさわしいと考える自己評価の高さ。
3 会社側から社員への業績評価のフィードバックのタイミング。タイミングが適切であれば社員がやる気を高めるという見方で、社員が良い仕事をしたならば、できるだけ早い時期に的確に評価内容を本人に伝えるのが良いというもの。
4 個人的成果主義によって損なわれがちな「チームワーク」に対する動機づけ。個人の動機づけも大切だが、チームや組織に貢献する意欲を社員が高く持つことを重視する。

連載「明るい公務員講座・中級編」第20回で、「意欲を持たせる指導」をお話ししました。仕事の出来の悪い職員をどう指導するか。彼ら彼女たちに欠けているのは、技能ではなく意欲です。意欲を持たせるにはどうすれば良いか。
一つは、仕事を面白いと思わせる。達成感、満足感を持たせることです。
二つ目は、褒めることです。
三つ目は、みんなと一緒に仕事を進める一体感を味わってもらうことです。
そして、やりがいの与え方について解説しました。(金銭的報酬は、公務員の場合はボーナスに反映されますが、飛び跳ねてもらえるるということはありません。出世によって、長期的に差がつきますが。)

私が書いていることと、世界の研究者の最先端議論は、ほぼ同じなのですね。私のは経験で得たことです。理論的に説明されると、難しそうに見えます。しかも、私の文章は、わかりやすいでしょ。
「何か私の知らないことが書いてないか」と、勉強のために読んだのですが。自説について安心するとともに、自信がつきました。