カテゴリーアーカイブ:人生の達人

キリンのイクメン研修

2018年2月28日   岡本全勝

NHKニュースのウエッブサイト「残業禁止と言われたら?イクメン研修に密着」(2月27日)を紹介します。
・・・「残業は禁止!働きながら子育てせよ」ーーー会社からこんな指示を出されたら。
ビール大手のキリンホールディングスが、仕事と子育て、介護を両立する働き方を疑似体験する研修で、実際にやっていることなんです。1か月間という期限つきではありますが、社員全員が対象となります・・・

登場している三宅清三郎さんは、営業一筋の49歳、40人の部下をかかえる管理職。日中は各地の営業担当からの問い合わせなどに対応し、夜は現場の営業担当と商談に同席することも多く、ふだんは午前7時前に出社、午後10時ごろに退社という生活。
4歳と11歳の2人の娘を持つパパ。しかし、仕事優先の生活で子育てや家事は奥さんに任せきり。平日に家族そろって夕食をともにしたことは1度もなかったと言います。それが、入社27年目にして初めて、午前9時から午後5時半までの定時で仕事を終える、いや終わらせなければならなくなったのです。
「平日に家族そろって夕食をともにしたことは1度もなかった」は、私より「ひどい」です(失礼、苦笑)。

では、どのように仕事を変えたか。本文を読んでいただくとして。私には、次の点が参考になりました。1と2は、「明るい公務員講座中級編」でお教えしたことです。
1 メール対応の効率化
2 会議の削減
3 本人が途中で抜けても業務に支障がないようにしておく

改革の進め方、松井忠三さん

2018年2月27日   岡本全勝

日経新聞私の履歴書、松井忠三・良品計画元会長、2月26日の「復活」から。
・・・そこで「30%委員会」を立ち上げ、34%の販管費を60億円削減し30%を目指すことにする。
だが半年やっても成果が出ない。そこで「他社に学ぼう」と指示を出す。課題となっていた値札の種類の削減では、しまむらを参考にした。無印は203で、しまむらは3だった。壁に貼りだして取捨選択するとすぐに97になった。「他社に学ぶ」には部課長クラスの交流がカギとなる。彼らが現場を知っているからだ・・・

・・・頑張る社員に疲れが見えてきたので残業禁止を打ち出す。「太い幹と太い枝を残して小枝はバッサリ捨てろ。午前中はメールを見なくていい」と指示を出す・・・

山極寿一・鎌田浩毅 著『ゴリラと学ぶ』

2018年2月24日   岡本全勝

山極寿一・鎌田浩毅 著『ゴリラと学ぶー家族の起源と人類の未来』(2018年、ミネルヴァ書房)を紹介します。面白くて、一気に読み終えました。

鎌田浩毅・京大教授が聞き手となった、山極寿一・京大総長との対談です。山極先生は、ゴリラ研究で有名です。本書の前半、どのようにしてこの研究に進んだか、現地調査での死の危険を伴う調査など、体験談は興味深いです。
多彩な経験をされた方、これまでにない業績を上げられた方の体験談とそれに基づく話は、面白いですね。学問や研究が、透明な空気の中でできるのではなく、ある人の営みの中でできあがることがよくわかります。若き研究者に読んでもらいたい本です。
後半では、ゴリラの家族研究と、それを通じた人類の起源やあり方の議論です。行動生物学や社会生物学との違いが、よくわかりました。なぜ人類は家族を持つようになったのか。副題に「家族の起源と人類の未来」とあります。

鎌田先生は、上手な聞き手です。相手の話を発展させ、あるときは本筋に戻しと。また、巻末の「講義レポート」もよいですね。単なる対談のしっぱなしではなく、これがついていることで、価値が上がります。

書店のホームページでは、次のように説明されています。
「〝知の伝道師〟鎌田浩毅が受け手となる講義形式で、斯界の第一人者の人生・思想に鋭く切り込むシリーズの第一巻。ゴリラ研究のパイオニア、山極寿一京大総長を迎え、第Ⅰ部でその半生に迫る。第Ⅱ部では霊長類学の世界へを踏み入れ、われわれ人類の起源と未来を縦横に語る。五感をフルに使い、研ぎ澄まされた直観がつかむ「曖昧なもの」に導かれた豊かな知が溢れる一冊」
ミネルヴァ書房は良い研究書とともに、人物評伝もたくさん手がけています。このシリーズも期待ましょう。

松井忠三さん、人を使う術

2018年2月16日   岡本全勝

日経新聞私の履歴書、2月は、松井忠三・良品計画元会長です。15日は「新人時代 現場で培った極意」です。
西友ストアに入社3年目、25歳の頃です。
・・・1975年3月、高円寺店勤務の辞令が出る。前の店と同じように学ぶことばかりの日々が続く。特にパートさんら現場を支える人たちとの信頼関係の構築にはバレー部や大学時代の学生運動、建設現場の作業員のアルバイトなどの経験がいかせた。学生運動のように自分の主張をストレートに言っても伝わらないことが身に染みていたからだ。
現場の人たちはいろいろな経験をしていて今、ここで働いている。酸いも甘いもかみわけた人たちだ。理不尽な人生を送ってきた人もいる。そんな人生の先輩に30歳前後の店長や私のような若造が、正論で頭ごなしに指示を出していてもうまくいくはずがない。私も本来の目標と違う職業・職場で働くことになったので現場の人の感情がわかるような気がしていた・・・

若い管理職に読んで欲しい内容です。

柳川範之・東大教授の独学勉強法

2018年2月14日   岡本全勝

柳川範之・東大経済学部教授の『東大教授が教える独学勉強法』(2017年、草思社文庫)が参考になります。
先生は日本の公立中学卒業後、父親の海外転勤などで、以後、独学を続けました。大学も、慶應大学の通信制です。そして、東大の教授になられました。

この本は、勉強とは何かを教えてくれます。知識や情報を覚えることと、考えて判断することの二つがあると、冒頭で強調されています。納得です。
それなら、独学でも身につく。いえ、先生が指摘するように、覚えるだけなら、大勢で授業を受けるより一人で取り組んだ方が効率的です。
もっとも、一人で目標と時間割を決めて勉強することは、かなりの精神力が必要です。学校で強制されても、サボるのですから。よって、凡人には学校で強制されるか、家庭教師がついて強制されることが必要でしょう。

この本を読むと、独学だけでなく、授業で学ぶ際や、本を読む際に必要なことやコツも分かります。勉強によって身につけるのは、知識と考え方です。授業を受けていても、結局は本人が身につけないと、効果がありません。 馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ますことはできないのです。
すると、知識と考え方を得る「方法」を身につけることが重要です。その方法がわかれば、あとは自分で勉強できます。

もう一つ、私が学校で学んだことは、友人や先生との対人関係であり、社会での身の処し方です。これは、家庭でのしつけや、テレビや小説を読むことでも身につくでしょうが、学校での集団生活が便利です。特に、引きこもりの問題が指摘されている現代では、対人関係をつくる能力は重要です。
先生の場合も、全く独学というわけではありません。経済学の道に進む際には、伊藤元重・東大教授との出会いがあるのです。