カテゴリーアーカイブ:人生の達人

朝日新聞「日曜に想う」に載りました。

2018年12月30日   岡本全勝

今朝12月30日の朝日新聞「日曜に想う」、曽我豪・編集委員の「自省と覚悟 2人の問い今も」に、私が載っています。文章は、今年お亡くなりになった仙谷由人、園田博之両先生についてです。その中で、次のような文章があります。

・・・東日本大震災が起き仙谷氏は官房副長官に就いた。官房長官、党代表代行に続く起用は「降格」人事だったが、気にするそぶりはなかった。平服で異例の認証式を済ませ、すぐさま被災者支援の難題に立ち向かった。そして支援体制づくりの事務方のとりまとめ役に起用したのが、総務官僚から自治大学校の校長に転じていた岡本全勝氏だった。
永田町の常識でいえば非常の人事である。岡本氏は麻生太郎自公政権で筆頭格の首相秘書官を務めていたのだから。だが人脈をたどり旧自治省出身で地方財政に経験の深い岡本氏に行き着き、起用にあたって麻生氏に仁義を切ったと聞いていかにも仙谷氏らしいと思った。
大災害を前に民主党も自民党もない。使える人材や知恵を総動員して対応にあたらせたいと願ったのだろう。やがて復興庁が出来、岡本氏はその事務次官になって仙谷氏の思いを受け継いでゆく・・・

仙谷官房副長官から、被災者支援の事務方責任者の指示を受けた際のことは、鮮明に覚えています。日経新聞夕刊コラムの第1回にも、その話を書きました。

なお、曽我さんの文章の結論部分について、思うことを書いておきます。
政治とは、試行錯誤の積み重ねです。前例通りなら、行政(官僚)が上手に処理します。これまでにない事態、これまでにない事件の際に、どのように対応するかで、政治の力量が問われます。
結果を出すことが必要ですが、失敗した時もそこからどれだけ学ぶかが、政治家、政党、国民の値打ちだと思います。

曽我さんの指摘の通りです。「平成の30年は危機や失敗に学んで一つずつ古い政治を手直しした歴史だった」
国民は、政権交代と災害対応を学びました。自民党も政権交代について学びました。行政も災害対応を学びました。
すると課題は、我々は何を学んでいないかです。

人生相談

2018年12月30日   岡本全勝

読売新聞のくらし欄に「人生案内」の欄があります。読者が、生活上の悩みを投稿し、回答者が助言をします。
私は若い時は関心がなかったのですが、ある頃から「世の中には、こんなことで悩んでいる人がいるんだ」と、目を通すようになりました。
相談内容の多くは、夫婦、親子、兄弟、友達間の悩みが多いです。友達がいないという悩みも。中には、「ほんまかいな」「作り話ではないか」と思うものもあります。「そんなことで悩まないでください」とか「あなたが悪い」と言いたいものもあります。

相談を読んで、私ならどのように回答するかを考えてみるのです。それから回答者の助言を読んで、プロの考えと比べてみます。
しかし、回答者は、「そんなことに悩むな」と言ってぶった切るのではなく、相手の身になってやさしく助言しておられます。これが、勉強になるのです。人生の、そして管理職の勉強になります。

12月24日の紙面に、回答者7人による(全員で12人)この1年を振り返った座談会が載っていました。それによると、
・若い人の相談が増えた。(まあ、悩むことは昔らか若者の特権でしたが)
・単身世帯が増えて孤独の相談が増えた。人生100年時代の悩み。
・男性からの相談が目立った(かつて、男は悩みは外に出さないという世間常識がありました)

悩み相談は、世相を映す鏡でもあります。それを読むことは、社会を理解する一つの方法です。

白猫黒猫論、白犬黒犬論

2018年12月29日   岡本全勝

汽車と新幹線、漱石と鄧小平」の続きです。

鄧小平の有名な言葉に「白猫であれ黒猫であれ、鼠を捕るのが良い猫である」という「白猫黒猫論」があります。共産主義であれ、資本主義であれ、人民を豊かにするならどちらでもよいという趣旨です。当時それを聞いて、わかりやすい表現だなと思いました。

後に、次のようなもじりを考えました。
「白い犬でも黒い犬でも、しっぽを振る犬はかわいい」です。
どれくらい役に立つ犬かはわかりません、またどちらが美しいかは分かりません。しかし、しっぽを振って寄ってくる犬はかわいいのです。たくさん肉をもらえます。それに対し、しっぽを振らない犬は、かわいくありません。肉を少ししかもらえません。
職員も、仕事の出来不出来はひとまずおいて、愛想よく近づいてくる人は憎めません。上司の評価が高くなります。

この「ことわざ」は、白猫黒猫論に比べ低級ですが、私たちの日常では、こちらの方をよく体験します。ゴマスリ人間は尊敬できませんが、上司から見ると、しっぽを振る犬はかわいく見えるのです。
ニコニコしていることが楽しく仕事をするコツだと、お教えしました。無理してごまをする必要はありませんが、時に上司に合わせることも出世のコツです。
物事をきちんとまじめに考える人には、この話は通じないので、読み飛ばしてください。

労働生産性国際比較、今年も変わらず

2018年12月26日   岡本全勝

日本生産性本部が、「労働生産性の国際比較2018」を発表しました。

それによると、2017年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、47.5ドル。アメリカ(72.0ドル)の3分の2程度の水準で、OECD加盟36カ国中20位(昨年と変わらず)です。主要先進7カ国でみると、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いています。

日本の1人当たり労働生産性(就業者1人当たり付加価値)は、84,027ドル。アメリカ(127,075ドル)の、これも3分の2程度です。OECD加盟36カ国中21位(昨年と変わらず)です。

「常に考え続ける人間」の育成

2018年12月25日   岡本全勝

12月17日の朝日新聞夕刊「凄腕つとめにん」は、ストレッチトレーナーを育成する橋誠さんでした。これまでに育てたストレッチトレーナーは、約2000人だそうです。

・・・筋肉を伸ばしたり関節の可動域を広げたりする同社独自の技術は約90種類に及び、研修生に1日約6時間、1カ月にわたり教え込む。ただ、最も重要なのは「常に考え続ける人間」の育成。客の生活背景や習慣を聞いて体の不調や悩みを把握し、その都度最適なストレッチを提案する仕事だからだ。

研修では、具体的な接客場面を想像させる工夫をこらす。「デスクワークで肩に不快感を感じるお客さんいるでしょ」。前腕のストレッチ後、研修生に切り出した。座り仕事で、大胸筋が縮み僧帽筋が突っ張る。これが原因にみえるが、パソコンを打つ腕の負担が影響している可能性もある。「『だから腕も伸ばしましょう』と提案したら、お客さんの心をつかめるかも」。こんな助言を通じ、考え続けることの重要さを伝える。

「心遣い」の大切さも教え込む。手首をつかんで腕を持ち上げるのと、下から支えて持ち上げるのでは、相手の印象は全く違う。「ストレッチの効き方にも影響する」という。研修の終盤、合否を決める検定では自ら研修生のストレッチを受ける。「俺の心に響いたか。最後はそこで判断します」・・・