投稿者アーカイブ:岡本全勝

アメリカで増える絶望死

2020年2月11日   岡本全勝

2月7日の朝日新聞オピニオン欄、ニューヨークタイムズ、ニコラス・クリストフさんの「米国で増える「絶望死」 責任は社会に、投資を人に」が、勉強になりました。詳しくは、原文を読んでいただくとして。

・・・ナップ家の5人の子どもたちは賢く有能だった。しかし、ファーランさんは何年もの薬物とアルコールの乱用で亡くなり、ジーランさんは酒で酔いつぶれている間に家が燃えて亡くなった。ネイザンさんは覚醒剤を精製中に爆死し、ロジェーナさんは薬物使用による肝炎で亡くなった。キーランさんが生き残れたのは、オレゴン州の刑務所に13年間いたおかげでもある。
彼らのような労働者階級の男性と女性は、肌の色を問わず、薬物やアルコール、自殺といった「絶望死」で死ぬ人が増えている。米国の平均寿命がこの100年で初めて3年連続で短縮したのはそのためだ・・・

・・・貧しい黒人が多いフィラデルフィア北部で生まれた新生児の平均寿命は、4マイルしか離れていない、白人が多く住む市中心部の新生児より20年短い。これは一方の赤ちゃんが「弱い性格」だったからではない。
英国では、ブレア元首相のもとで子どもの貧困が半減した。赤ちゃんが突然、自己責任をより示すようになったからではない。政府が責任を果たしたのだ。米国では子どもの貧困を半減させるため、全米科学、工学、医学アカデミーが青写真を描いたが、議会とトランプ大統領は何もしない・・・

・・・ナップ家の人たちが間違いを犯したのはその通りだ。だが彼らは、戦後豊かに生きてきた両親や祖父母よりも賢明さや才能、勤勉さが劣っていたのではない。
変わったのは、いい職を得る機会が減り、人的資本へ投資する公約が少なくなり、依存性のある薬物が蔓延し、取り残された人たちを中傷する無情な社会の声が高まったことだ。労働者は尊厳と希望を失った。自己治療と自己破壊、孤独と絶望の悪循環が、スクールバス6号車を席巻した・・・

・・・よりよい社会の声とはどのようなものか。自己責任だけでなく、子どもたちを支援するような、集団としての社会的責任を認めるものだ。指をさして非難し合うよりも救いの手を差しのべるような、共感と「恩寵の倫理観」に満ちているものだ。国民の大多数が自身の潜在力を生かせていなければ、国もその潜在力を生かし切れていないということを認めるものなのだ・・・

今日のアメリカは、明日の日本です。そうならないように、対応しなければなりません。

早朝の車窓から

2020年2月10日   岡本全勝

今朝は仕事の都合で、6時12分東京駅発の新幹線で、福島へ。
東京駅を出るときは、外はまだ真っ暗でした。荒川鉄橋を渡る頃から、東の空が明るくなり始めました。薄雲があるので、雲が白から、徐々にピンク色に染まっていきます。
西の空の雲も、ピンクに染まり、雪をかぶった富士山がきれいです。その上には、満月に近い月が、雲の間に浮かんでいます。
富士山は、荒川から大宮駅までの間が、大きく見えます。
大宮駅を過ぎた頃から、東の空に太陽が昇り始めました。
4時に早起きしただけの、ご褒美がありました。

ニュースでは、南極で18度を記録したとか。福島は氷点下だったのに。

日本の地政学的グランドデザイン

2020年2月10日   岡本全勝

2月4日の朝日新聞オピニオン欄、出口治明・立命館アジア太平洋大学学長のインタビュー「日米安保改定はや60年」が、簡潔でわかりやすいです。
・・・日米安全保障条約が改定され60年、人間でいえば還暦を迎えた。最初の30年が冷戦下。次の30年は旧ソ連という対抗軸がなくなった一方、経済力軍事力を強化した中国が台頭してきた。さて、これからの30年の見取り図はどうなるか。60年の評価と、押さえておくべき論点は何か・・・

出口さんは、次のように整理します。
1 黒船来航と明治国家
老中阿部正弘が、アヘン戦争などを研究し、彼我の軍事力や経済力の違いを認識していました。そして、開国して、国民国家を作り、富国強兵を断行するというグランドデザインを描きます。維新の後は、大久保利通が、阿部のグランドデザインである開国・富国・強兵を採用して、日本の近代化を進めます。

2 敗戦後
吉田茂が、もう一度、開国・富国・強兵を並べて、考えます。そして、強兵を安保条約でアメリカに代替させて、開国・富国で日本の再建を目指します。

3 これから
安全保障を考える際、自分で防衛力を強化するか、どこかと軍事同盟を結ぶか、基本はこの二つしかありません。同盟相手は、日本より経済力が大きい国でないと無理。すると、アメリカ、中国、ヨーロッパ連合EUしかない。EUは遠すぎる。中国を選ぶという選択肢もありますが、これまでの経緯を考えて、疑問符がつきます。消去法で、日米同盟を大事にしていくしかない。

途中に、戦後の日本とアメリカとの関係を、次のように書いておられます。
・・・戦後の日本は、米国というお父さんのスネをかじり尽くした息子で、鉄鋼、自動車、半導体と米国の主要産業を全部潰して成長してきたようなものです。普通の国だったらボコボコにされるところが、ボコぐらいで米国は済ませてくれました・・・
ご指摘の通りですが、鉄鋼の前に、テレビなど電機製品もあります。その前には、繊維もありました。

ハンガリーの姓名

2020年2月9日   岡本全勝

ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年」に行った際に、「どう表記してあるかな」と、確認してきました。作者の氏名です。

ハンガリー語(マジャール語)は、日本と同じで、姓名の順に並べます。では、絵画の解説の際に、作者の氏名をどのように表記するか。
最初に出てくるドイツ人や、後から出てくるフランス人は、名前が先で苗字が後ろ。
で、ハンガリー人はと見ると、姓名の順に表記してありました。その際に、苗字は大文字で、名前は最初の文字だけ大文字で後は小文字です。

展示品の中に、作曲家フランツ・リストの肖像画があります。ムンカーチ・ミハーイ画「フランツ・リストの肖像」です。
このページの7番を開いてもらうと、次のような説明があります。「ハンガリー出身の高名な作曲家でピアニストのフランツ・リスト(ハンガリー語ではリスト・フェレンツ)・・・」。
そうだったのですね。正式には、リスト・フェレンツだったのです。

よく見ると、このホームページの冒頭に「本展では、ハンガリーの人名は原則として「姓・名」の順で表記します。」と表記があります。

新卒一括採用の限界

2020年2月9日   岡本全勝

管理職、中間管理職、職員の区分、2」の続きにもなります。

2月4日の日経新聞が「足りぬサイバー防衛官僚 人材獲得 高報酬の民間に遅れ」を書いていました。
・・・国や自治体がサイバーセキュリティー人材の確保に苦しんでいる。サイバー攻撃に対抗するシステムの設計・構築や運用に関わる人材は引く手あまたの売り手市場。高額報酬などの好待遇を示す民間に官の領域が競り負けている・・・

詳しくは原文を読んでもらうとして。
ここでは、日本型の新卒一括採用の限界を取り上げます。日本の役所では、職種別採用は一部の技術職だけで、その他は一括採用します。そして、その後に配属を決めます。また、専門家としてでなく、どんなところも経験させることが多いです。その方式の限界が書かれています。

・・・獲得競争で後れを取る日本の政府・自治体は危機感を募らす。防衛省はサイバー攻撃に備えた「サイバー防衛隊」を持つ。20年度に70人増やして290人にする予定だが、すでに米国は6000人、中国は10万人、北朝鮮は7000人のサイバー部隊があるとされる。他国と圧倒的な差があり、人材を内部で育成する時間も予算も乏しい。外部からの人材獲得が課題だ。
防衛省でサイバー人材の採用に関わる官僚は「民間の専門家を年収2000万円超の事務次官級の待遇で任期付きで採用することも考えている」と漏らす。民間との競争を意識して従来の人事体系とは違う高額報酬を準備する。

とはいえ公務員は報酬以外でも忌避される要素がある。
埼玉県警は17年度からサイバー犯罪などに対応する人材採用を始めた。18年度は3人を募集したが採用はゼロだった。募集時に「警察官としての素養を養うために最初は現場にも出てもらいます」と説明している。採用担当者は「すぐにサイバーのノウハウを生かしたい、という希望とギャップがある」と話す。
防衛省や警察などではサイバー人材が定期異動で他の任務を経験することもある。実務や政策、世界情勢を理解した方がより戦略的に動けるのは確かだが、こうしたキャリアプランは回り道にも映る。

米国では1月、国土安全保障省でサイバーセキュリティーを担当していた女性幹部がグーグルに移籍した。オバマ政権ではグーグルやツイッターの幹部が政府の技術戦略の責任者になっている。官民の交流は頻繁で政府のキャリアも評価される。日本も柔軟な処遇を考えなければ、官の人材確保は難しいかもしれない・・・