新卒一括採用の限界

管理職、中間管理職、職員の区分、2」の続きにもなります。

2月4日の日経新聞が「足りぬサイバー防衛官僚 人材獲得 高報酬の民間に遅れ」を書いていました。
・・・国や自治体がサイバーセキュリティー人材の確保に苦しんでいる。サイバー攻撃に対抗するシステムの設計・構築や運用に関わる人材は引く手あまたの売り手市場。高額報酬などの好待遇を示す民間に官の領域が競り負けている・・・

詳しくは原文を読んでもらうとして。
ここでは、日本型の新卒一括採用の限界を取り上げます。日本の役所では、職種別採用は一部の技術職だけで、その他は一括採用します。そして、その後に配属を決めます。また、専門家としてでなく、どんなところも経験させることが多いです。その方式の限界が書かれています。

・・・獲得競争で後れを取る日本の政府・自治体は危機感を募らす。防衛省はサイバー攻撃に備えた「サイバー防衛隊」を持つ。20年度に70人増やして290人にする予定だが、すでに米国は6000人、中国は10万人、北朝鮮は7000人のサイバー部隊があるとされる。他国と圧倒的な差があり、人材を内部で育成する時間も予算も乏しい。外部からの人材獲得が課題だ。
防衛省でサイバー人材の採用に関わる官僚は「民間の専門家を年収2000万円超の事務次官級の待遇で任期付きで採用することも考えている」と漏らす。民間との競争を意識して従来の人事体系とは違う高額報酬を準備する。

とはいえ公務員は報酬以外でも忌避される要素がある。
埼玉県警は17年度からサイバー犯罪などに対応する人材採用を始めた。18年度は3人を募集したが採用はゼロだった。募集時に「警察官としての素養を養うために最初は現場にも出てもらいます」と説明している。採用担当者は「すぐにサイバーのノウハウを生かしたい、という希望とギャップがある」と話す。
防衛省や警察などではサイバー人材が定期異動で他の任務を経験することもある。実務や政策、世界情勢を理解した方がより戦略的に動けるのは確かだが、こうしたキャリアプランは回り道にも映る。

米国では1月、国土安全保障省でサイバーセキュリティーを担当していた女性幹部がグーグルに移籍した。オバマ政権ではグーグルやツイッターの幹部が政府の技術戦略の責任者になっている。官民の交流は頻繁で政府のキャリアも評価される。日本も柔軟な処遇を考えなければ、官の人材確保は難しいかもしれない・・・