投稿者アーカイブ:岡本全勝

優秀なデータサイエンティストの共通点

2021年12月27日   岡本全勝

12月20日の日経新聞1面コラム「春秋」に、興味深い話が紹介されていました。

・・・「21世紀、最も魅力的な職業」。10年近く前、米ビジネス誌がそう呼んだ仕事がデータサイエンティストだ。IT(情報技術)の普及で集まる膨大な数字を解析し、確かな判断へ経営者を導く。ここに優秀な人材を得られるかどうかで企業の命運は大きく変わるという。
成長中の動画配信会社、米ネットフリックスもデータ分析の部署がある。新規採用候補者の中で最適な人材をどう選ぶか。ヒントを得ようと、すでに在籍する社員で特に優秀な人たちの共通点を探す・・・

答えは、音楽をこよなく愛する点でした。
論理的思考が軸になる業務だからこそ、創造性や感受性が発想の差を生むのだそうです。

支え合う社会

2021年12月27日   岡本全勝

12月23日の朝日新聞、論壇時評、林香里・東京大学大学院教授の「ケアの倫理 誰もが支えあう社会の基盤に」から。
・・・「ケア」という言葉には、家族内で閉ざされ、ともすると隠すべきもの、といったイメージさえある。しかし、政治思想研究者の岡野八代は、〈1〉の論考で、このイメージをひっくり返す。以下、岡野の論考を、私自身の解釈も交えて説明することをお許しいただきたい。人間は、この世に生を受けた時点で皆、世話をされる依存状態にある。その後も怪我や病気、孤独や悲しみを経験し、ケアを必要とする存在である。ケアを必要とする人々がいるのだから、社会はケアを与える人たちも必要とする。そしてさらに、社会には、ケアを与える人たちを支えるシステムも必要だ。つまり、ケアは誰もが必要とするがゆえに、必然的に社会に連鎖し、開放されていく営みであり、社会全体で実践を支えるオープンなしくみを作っていかなくてはならない。岡野は、ケアを社会に行き渡らせることは、民主主義の「中枢」的課題であると主張する・・・
〈1〉岡野八代「ケア/ジェンダー/民主主義」(世界1月号)

かつて買ってあった本

2021年12月26日   岡本全勝

執筆中の連載「公共を創る」第4章2(2)で、いくつかの本や新聞を紹介、引用しました。

デービッド・A・モス著『民の試みが失敗に帰したとき―究極のリスクマネージャーとしての政府』(邦訳2003年、野村総合研究所)、マリアナ・マッツカート著「起業家としての国家ーイノベーション力で官は民に劣るという神話」(邦訳2015年、薬事日報社)。もう、本屋には並んでいないでしょうね。
政府の役割の再検討が、私の勉強の主題なので、気になって購入してあったものです。その時は、目次とあとがき、冒頭部分を少々読んだだけで、本棚に置いてありました。原稿執筆の途中で思い出して、斜め読み(正確には、気になったところのみ飛ばし読み)しました。ゆっくりと全文を読むべきなのでしょうが、それだけの余裕がなく。
この本が出てきただけでも、良しとしましょう。たぶん、買ってありながら、山の中に埋もれている関係書物もあるのでしょう。

新聞記事は、日経新聞経済教室2013年4月1日付、岡崎哲二・東大教授執筆「産業政策を問う。新産業育成、世界的潮流に」。4月2日付、大橋弘・東大教授執筆「産業政策を問う。競争促進の視点が不可欠」です。
これも、かなり古い記事です。読んだときに気になって切り抜いて、半封筒に入れてありました。執筆に当たって本棚から半封筒を取り出し、その中から選び出しまし、後は捨てました。
こちらも、半封筒を忘れていなかったことを、褒めてやりたいです。

連載「公共を創る」は、さまざまな角度から、現在日本の行政と社会のあり方を論じているので、いろんな本や記事が参考になります。これまでの行政学の範囲に収まらないのです。
私の40年の公務員生活、その前の学生時代を含めると半世紀の勉強と体験が、反映されています。忘れていることも多いのでしょうが、それは頭に浮かんでこないので、数えようがありません。

3年を見通す経営

2021年12月26日   岡本全勝

12月22日の日経新聞夕刊「こころの玉手箱」、志藤昭彦・ヨロズ会長の「3年手帳」から。
・・・3年間のスケジュールを書ける手帳が重宝している。最近は、日本能率協会マネジメントセンター(東京・中央)の「NOLTY」ブランドで3年連用のタイプを使っている。経営を担う中で最も重要なもののひとつは「3年先」を見通す力だ。社長になってから身にしみて感じている。
1998年6月に社長に就任したが、早々に経営危機を迎えてしまった・・・
・・・日産リバイバルプランは3年間で20%の調達コストの削減も示した。当社からすれば2割値引きで利益がごっそりなくなるが、最大顧客の危機だから協力せざるを得ない。2002年3月期から2期連続で最終赤字になったが、私は3年先の黒字転換を考えていた・・・

・・・04年3月期には最終損益が19億円の黒字に転じた。会社経営において「3年」という時間軸が重要であることを身をもって経験した。一般に企業の中期経営計画も3年間でつくることが多い。3年は会社が変わるために必要な年月ともいえるのではないか。
3年連用手帳は1年ごとに繰り返す「年中行事」を把握しやすく、月単位のスケジュールを組みやすい。3年先を見通す経営のために、この手帳は欠かせない・・・

討論にならない国会の仕組み

2021年12月25日   岡本全勝

12月21日の朝日新聞オピニオン欄、山本龍彦・慶応大学教授の「「政治オペラ」の構造、切り込んで」から。
・・・先の衆院選以降、野党のあり方に関する議論が熱い。読者からも、「野党は批判ばかり」論に賛同する声、批判ばかり論を批判する声など、多くの意見が寄せられている・・・

・・・私が専門とする憲法学の観点から見ると、野党のあり方、野党と政府との関係性は、国会の統治構造によって強く規定されている。もちろん議員個人の性格にもよるが、審議手続きなど、現在の国会の統治構造上、野党は批判や対決に傾斜せざるをえない事情があるのだ。
例えば、国会運営に長く関わった元衆院事務局議事部長の白井誠氏は大日本帝国憲法下から形成されてきた、(1)内閣が提出した法案を野党が質疑で追及する「質疑応答型」の審議形式(2)与党事前審査制(法案提出前に与党が法案内容を審査し、承認を与える制度)(3)厳格な党議拘束、という「三位一体の統治構造」が党派を超えた議員間の自由な討論を妨げてきたという。審議は、構造上必然的に、与党多数派の承認を既に得ている法案の、「政府の都合による野党向けの説明会」となるから、野党議員は結論を承知のうえで「批判ぶり」を国民に向けアピールするほかない。また、会期中に議決に至らなかった議案は次の会期に継続しないという「会期不継続の原則」もある。この原則により、与党は会期中の法案成立を急ぎ、野党は会期切れの廃案を狙うという、およそ熟議からはかけ離れた政治が常態化する。

こう見ると、実質的で協働的な議員間の「討論」ではなく、硬直的で党派分断的な、さらに言えばショー化した政府・野党間の「対決」が行われるのは、国会が帝国議会だった時代から議事堂の内部で構築されてきた強固な統治構造のためでもあるわけだ。とすれば、仮に立憲民主党が「政策提案型」を取り込もうとしても、「構造」自体を変革しない限り、結局は「対決型」、それも劇場的対立型へと逆戻りする。
衆参各院と政府による内輪の取り決めや先例などから成る、こうした統治構造は、もちろん日本国憲法には書かれてはいない。しかしそれらは、わが国の議会制民主主義のあり方を根底において拘束してきた実質的な「憲法」といえる。しかしわが国の新聞は、このインフォーマルな「憲法」を明るみに出そうとせず、岩盤化した舞台の上で延々と繰り広げる「政治的オペラ(人間劇)」ばかりを報じてきたのではないだろうか・・・