投稿者アーカイブ:岡本全勝

連載「公共を創る」第133回

2022年10月28日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第133回「市場経済への介入手法ーその特徴的な事例」が、発行されました。
財政支出以外の政府の手法について、近年の特徴的な手法を紹介しています。まず市場経済への介入手法で、今回は労働政策の変化、コーポレートガバナンス・コード、金融庁の新しい手法を説明しました。
労働政策は、労働者の賃金や肉体的労働条件の確保と向上から働き方改革に移っています。金融庁の監督は、規則を守らせることから、方向を示して金融機関に考えさせるものへと変わっています。

ところで、相手が事業者なら、このような手法も通じるのですが、国民の通念や考え方への介入は内容、手法とも難しい点があります。それを考えることが、行政の新しい課題です。

講演の準備1

2022年10月27日   岡本全勝

10月と11月は、たくさん講演に呼ばれています。11月予定分の講演資料をすべて完成させ、主催者に送りました。これで一安心。連載原稿執筆とともに、これが重労働なのです。未完成だと、心の重荷になります。

長年の経験で、1か月前、遅くても半月前に、次のように準備します。
・主催者の意図を確認し、聴衆の関心に合わせて、骨子と資料を作ります。
・骨子は、話す内容を聴衆に理解してもらうためです。最初に、「今日はこのようなことを話します」と説明します。内容は大きく3つか4つにします。多すぎると、聴衆の頭に残りませんから。
・投影資料を使う場合は、写真や簡単な図です。細かい資料を投影しても、聴衆は読むことができません。
・投影資料のうち持ち帰ってもらうものは、配付資料とします。

私の話は、職員研修、危機管理、地方行政、国家行政などです。それぞれに主張したいこと、写真や図は基本形ができていて、その中から講演内容に合わせて組み合わせます。また、実際に講演をして、うまくいったものと良くなかったものを反省して、内容を更新します。
・手持ちの骨子に、話す具体的な内容や投影資料の番号を、手書きで書き込みます。これで、内容と進行は問題なくなります。
講演の善し悪しは、ここで半分が決まります。

大学卒業後の進路を考える時期

2022年10月27日   岡本全勝

10月18日の日経新聞夕刊「就活のリアル」、栗田貴祥・リクルート就職みらい研究所所長の「卒業後の進路考える時期 日本は海外より遅く」から。

・・・日本では「新卒一括採用」という独自の就業システムが長く続けられてきた。そうした背景から、就職活動を始める時期が「自分の進路を考え始める時期」と重なっている学生も少なくない。では、世界の若者と比べ、進路を決める時期にはどのような特徴があるのだろう。
リクルートワークス研究所が2012年に行った「Global Career Survey」では、日本を含む世界13カ国の20代、30代の大卒者に「大学卒業後の進路を決めた時期」を聞いている。
日本は「大学生の後期」との回答が66%と他国よりも圧倒的に多く、「大学生の前期」は12%。「高校時代」は2.3%だった。一方、米国で「大学生の後期」と回答した人は21%、ドイツでは19.1%で、オーストラリアやインド、マレーシア、インドネシアなど多くの国で2割前後だった。
日本と比べて、「大学生の前期」「高校時代」に卒業後の進路を決定したという割合が多い。米国は32.5%が「大学生の前期」、20.2%が「高校時代」と回答。ドイツでは「高校時代」が33.6%を占めた・・・

・・・では、卒業後の進路について考え始めた時期は、働く意欲にどう影響するのだろうか。
リクルート就職みらい研究所では22年大卒生を対象に「卒業後の進路について具体的に考え始めた時期別の就職活動開始時点での働く意欲」を調査した(就職白書2022)。働く意欲が「十分ある」と答えた学生は、高校生以前に進路を考え始めた学生では36.5%、大学1、2年時に考え始めた学生は30.6%だった。大学3年前期になると23.5%、大学3年後期では16.8%と減少傾向にあり、早い段階から自分の将来を意識して学ぶ学生のほうが、より意欲が高くなることがうかがえる。
世の中にはどんな仕事があり、その仕事についている人はどんな勉強をしてきたのだろう。そう考え、早い段階から仕事についての情報に触れることで、学業と将来のキャリアを結び付けて考えられるようになるのではないか・・・

良い学校に進学することが人生の目標になっていたことが、この問題の背景にあると思います。かつては、良い学校を卒業すれば良い職業に就けるという人生が読めたのですが、高校進学率がほぼ100パーセント、大学進学率が50パーセントになると、良い学校を出ると良い職業に就けるとはならなくなりました。原点に戻って、各々の人生を考え、どのような職業に就きたいのかを考え、それから学校を選ぶ形に変える必要があります。

地域以外の選挙区はないか

2022年10月26日   岡本全勝

国政と中間集団」の続きにもなります。
憲法では、国民は国政・国会と直接つながりますが、選挙の単位は全国一つではありません(かつて参議院議員選挙に全国区がありました)。
衆議院議員は小選挙区と比例代表、参議院議員は選挙区(都道府県単位、ただし鳥取県と島根県、徳島県と高知県でそれぞれ一つ)と比例代表です。地理的単位と比例代表で選ばれます。ここで、選挙区内での争いとともに、選挙区間での代表(1票の格差など)が問題になります。

地理的単位でない、選挙単位はないのでしょうか。
一つ思いつくのは、年齢別選挙区です。例えば10歳ごとに投票し議員を選ぶのです。選ばれる議員数は、年齢階層別人口に比例させます(1票の格差がなくなります)。議員はその年齢階層に属するものとする場合と、必ずしもその年齢階層でなくてもよい場合が考えられます。すると、「私は、若者のために頑張ります」といった選挙公約が主張されるのでしょう。
その年齢階層別に、男女別に選出する(男女同数を選ぶ)とすると、国会議員は男女同数になります。

議会は、国内の対立を集約してまとめる機能があります。どのような単位でそれを代表させるか。地理的区分以外に、何か良い選挙区はないでしょうか。

職員の心の健康

2022年10月26日   岡本全勝

10月15日の日経新聞オピニオン欄、村山恵一・コメンテーターの「社員の気分を上げる経営」から。心の健康には、病気にならないだけでなく、積極的に仕事に打ち込むこともあります。

・・・従業員のメンタルヘルス(心の健康)に気を配っているか。そう問われれば、イエスと答える日本企業は多いだろう。ストレスチェックやEAP(従業員支援プログラム)があると。それでは足りないと訴えるシンガポール企業が9月、日本に上陸した。2019年創業のインテレクトだ。
スマートフォンアプリを介し、主に企業の従業員にメンタルケアを提供する。ストレスや不安への対処法、睡眠の質や自己肯定感を高める方法が学べ、コーチングも受けられる。アジアを中心に300万人以上が利用する。科学的な根拠を重視し、大学などとの共同研究にも熱心だが、売りはアプリ経由というカジュアルさだ・・・

・・・わが社の従業員はいま何を思い、欲しているのか。経済学だけでなく心理学の視点もないと、経営は回らない。米国を見てみよう。
セクハラ問題に対する会社の対応が手ぬるいと、グーグル従業員が各地でストライキに踏み切ったのは18年だ。19年にはアマゾン・ドット・コムの従業員たちが環境保護を徹底せよと会社に株主提案した。この年のある従業員アンケートでは、75%が「自分たちには雇用主の方針に反対する声を上げる権利がある」と答えている。
経営者が直面するのは「物言う従業員」に限らない。「物言わぬ従業員」からも目を背けられない。米ギャラップが9月に公表した調査によると、米国では働く人の半数が「静かな退職者」だ。
実際に会社を辞めるのではない。行動を起こすほど強い不満はないが、仕事への熱意もない。最低限の業務をこなすだけ。コロナ禍で在宅勤務が広がり、薄れた会社との結びつきが背景にある・・・

・・・教科書に正解が書いてあるような問いではない。アプローチはいくつもあり、模索が会社を鍛える。ソフト開発のコンピュータ技研(大阪市)はヒントになる。
約130人が働く同社は、社員が自分の給与(年収)を自己申告して決める仕組みを20年から段階的に導入してきた。社員はまず、自分が業務や社風にどう貢献できるか、人生の目標とどう関わるかなどを専用シートに記載する。そういう自分に対する会社からの「投資」として給与額を求める。
シートの中身について社員とマネジャーが対話した後、松井佑介代表取締役とマネジャーによる投資準備委員会で各社員への投資の可否を判断する。認められれば松井氏と役員からなる投資委員会で最終決定だ。準備委員会を通るまで、社員はマネジャーと対話して納得のいく着地点を探す。
制度の導入後、社員の7割で年収がアップし、全社の人件費は三千数百万円増えたが、手応えもある。ずっと1~2%台だった営業利益率が4%を超えた。離職率も下がった・・・