投稿者アーカイブ:岡本全勝

ジョブ型が迫る管理職改革

2023年5月16日   岡本全勝

平等社会の負の機能3」の続きにもなります。5月3日の日経新聞オピニオン欄、半沢二喜・論説委員の「ジョブ型が迫る管理職改革」から。

・・・「管理職はつらい」という声を以前にも増して聞くようになった。働き方改革などへの対応で仕事は増え、パワハラを恐れて若手との接し方も難しくなっているという。ストレスを抱え、悩む管理職は少なくない。
リクルートマネジメントソリューションズが2022年6月に実施した調査では、組織の課題として「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」と答えた人が、管理職と人事担当者の双方で約6割にのぼった。背景には役割が曖昧な日本独特の管理職像がある。
産業能率大学総合研究所が21年に行った上場企業の部長・課長へのアンケートによると、9割超が営業などの実務をこなしながら労務管理も手がける「プレーイングマネジャー」だった。部下の育成が主体の欧米企業とは異なる。

「管理職に求められる能力は高度化しているが、実際は能力のない上司が増えている」。人事経済学が専門の早稲田大学の大湾秀雄教授は指摘する。「日本企業は給料よりも昇進を主なインセンティブにしてきたからだ」という。
平社員として活躍し貢献した人には管理職への昇進で報いる。プレーヤーと管理職では、必要な能力や役割が大きく異なるにもかかわらずだ。長期雇用を前提にしたこの仕組みは、かつては働き手のモチベーションを維持するうえで効果はあったが、必然的に多くのプレーイングマネジャーを生むことにもなった。

管理職の能力を見極め、負担を軽減するためにも、役割を再定義する必要がある。ジョブ型人事制度の導入はそのきっかけになる。職務ごとに必要なスキルを明確に定め、働き手にキャリアを自律的に考えてもらうのがジョブ型の狙いの一つだ。上司は今まで以上に部下の育成に力を注ぐ必要に迫られる。
「部下のキャリアの導き方やモチベーションの上げ方が分からない」「時間・権限・リソースが不足している」。ジョブ型人事を導入した日立製作所が管理職にアンケート調査したところ、こんな声が上位に並んだ。「自分たちはそういう育て方をされておらず、かなり悩みはある。管理職への支援が重要になる」と田中憲一執行役常務は話す・・・

日本の平等志向は、管理職教育をしてきませんでした。

『人類とイノベーション』

2023年5月15日   岡本全勝

マット・リドレー著『人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する』(2021年、NewsPicksパブリッシング)を読みました。読みやすく、面白くて勉強になります。お勧めです。

エネルギー(蒸気機関、電球、シェールガス)、公衆衛生(予防接種、水道殺菌、ペニシリン、マラリア抑制の蚊帳)、輸送(機関車、内燃機関、飛行機)、食料(ジャガイモ、アンモニア、小麦)、ローテク(インド数字、ゼロ、下水、ブリキ波板、コンテナ、キャリーバッグ)、通信、コンピュータなどが取り上げられています。その幅広さも、この本の特徴です。あわせて、偽物や失敗例も。ここも面白いです(失礼)。

それらの技術がどのように発展してきたかを解説し、技術発展の要素を分析しています。
技術革新を生むのは、自由な社会での失敗の積み重ねであること。一人の発明家が生み出すのではなく、何人もの人の改良によって進むことが説明されています。
特許が進歩を阻害すること、政府は失敗することも指摘されています。

原発被災地での農業復興

2023年5月15日   岡本全勝

仙台の有名企業アイリスオーヤマと仙台の農業法人舞台ファームが、原発被災地での農業復興を支援してくださっています。今年も、田植えが始まりました。
福島中央テレビニュース」をご覧ください。
鮎の稚魚の放流も行われました。

平等社会の負の機能3

2023年5月14日   岡本全勝

平等社会の負の機能2」の続きです。戦後の平等社会思想が生んだ負の機能に、エリートをつくらないことがあります。

平等はよいことです。しかし、組織を動かすときには、全体を考える幹部と、与えられた役割を実行する構成員とで、役割分担することが機能的です。そのような関係をつくらず、全員が同等という組織もあります。同好会や議会です。ホラクラシーと呼びます。「階統制組織と平等的組織

日本人の勤勉さに変わりがないのに、バブル経済崩壊後に日本の経済が停滞したのは、企業幹部、政府幹部、官僚に責任があるのでしょう。社員は、上司に言われたことを実行しているのです。彼らが突然、働かなくなったわけではありません。社員が従前通りに働いていて会社の業績が悪くなった場合は、経営陣に問題があります。

「平等思想」では、管理職と社員の仕事と責任のあいまいさを生みました。なるべく、全員が納得して仕事を進める形がよいとされました。しかし、その組織の進むべき方向を決めたり、新しい仕事の目標と期限を決めたりする場合には、管理職が責任を持って、時には部下全員の同意を得ることなく、決める必要があるのです。ところが、平等思想で育ってきたサラリーマン幹部は、それができませんでした。
平等思想は組織がうまくいっている、売り上げも利益も伸びている条件の下では機能しますが、うまくいっていない場合には機能しません。内向きの論理でしかないのです。「組織構成員の分類その3。階級の区別

管理職教育を受けていない従業員が、選抜されて管理職になります。しかし、よき従業員の能力と、管理職に求められる能力とは異なります。それを、自らの体験で身に付けよというのが、これまでの日本の職場でした。ここに書いた業績低下の問題以外にも、管理職教育を受けていない管理職が部下の指導に困る場合が増えています。従来型の管理職選抜の仕組みに限界が出てきています。

必要な新しい技能

2023年5月14日   岡本全勝

5月2日の朝日新聞オピニオン欄「リスキリングの圧」、小島慶子さんの発言「自ら家事するスキルが先」から。

・・・私は、いま日本社会に「家事を自分でする」というスキルが欠けていると思っています。家事ができなければ衛生を保てず、おなかもすきます。それでは元気に働けません。家事や育児を私的な雑用とみなし、仕事よりも価値が低いとする考え方が今も根強い。特に男性は、母親や妻がやってくれるものと思いがちです。この発想を捨てなければ日本は変わりません。
加えて、「他者のケアをする」というスキルも大切です。ケアには自身の育児や身内の介護だけでなく、病気や障害のある人と共に働く、子育て世帯を社会で支えるなど、様々な形があります。人には支えが必要で、そのための仕組みが必要だという合意形成が重要です・・・