投稿者アーカイブ:岡本全勝

看板と学歴にこだわる

2023年5月21日   岡本全勝

川北英隆・京都大学名誉教授のブログは、しばしば鋭いことが書かれていて、勉強しています。先生の趣味の山歩きも楽しみです。5月19日は「上場企業のメリットとは」でした。

・・・上場にこだわる企業があるそうだ。不思議だ。上場にこだわる企業はむしろダメ企業である。その典型例が東芝だった。それはともあれ、学生に人気のある職業は何か。上場しているかどうかではなく、自分自身の能力や夢に近いかどうかではないのか・・・
・・・そんな中、東京証券取引所の上場市場の再編時(プライムとスタンダードの区分時)に、「東証第一部に上場していると優秀な学生が集ってくる」と発言した企業経営者がいたらしい。本末転倒である。学生を馬鹿にしている。
非上場のサントリー、竹中工務店、YKKなどに失礼ではないか。もっというと、農業や漁業に従事する者にも失礼である・・・

でも、一番紹介したいのは、次のくだりです。
・・・アメリカの大学で学んだ友人が言うには、何々大学卒業とか、学士か修士か博士かという学位は、アメリカでは数年は保つけれど、その後は何の意味もないと。むしろ「昔は勉強したのやろけど、その割に今は怠け、アホになったやん」と、落差に感心されるだけだとか・・・

石原信雄さん追想録

2023年5月20日   岡本全勝

日経新聞5月19日の夕刊追想録、「故・石原信雄さん(元内閣官房副長官) 官僚の矜持体現」に、私の発言が引用されています。

・・・国家運営を担う官僚の矜持を体現した存在だった。官僚トップの官房副長官として政治家に耳障りでも官僚としての正論を説く。政治が方向を判断すれば霞が関の声を踏まえバランスよくさばく。歴代首相は首相官邸の要として手放さず、支えた首相は7人を数えた。

「政治主導への過渡期という時代が石原さんを必要とした」。旧自治省で薫陶を受けた岡本全勝元復興次官はこうみる。
時は冷戦終結後、日本は市場開放や自衛隊の海外派遣など通商政策や外交安全保障政策の転換を迫られた。
今なら政治主導で決めることだが、当時の政治にその備えは十分でなく、石原氏は政治判断でも頼られた。湾岸戦争で米国に90億ドル拠出を求められた際は、海部俊樹首相に「やむを得ません」と決断を促し、小沢一郎自民党幹事長から了承を取り付けた・・・
追悼、石原信雄さん

「おもてなし」はもうおしまい

2023年5月20日   岡本全勝

5月7日の朝日新聞グローブ278号「川口市 日本一外国人が多い街」、鈴木暁子記者の「「おもてなし」はもうおしまい」から。

・・・「おもてなしの国だからか、日本は外国人をお客さん扱いしようとしてしまう。外国人が活躍できる環境を整えることができずにきたことが川口の一番の課題です」と市協働推進課の竹内和寿が話していた。「短期滞在で来た人に心地よく住んでもらって帰すのではない。共生しないといけないのに共存レベルで終わっていた」

外国人は地域社会に貢献している。税金だって納めているし、日本人が就きたがらない仕事を担ってくれている。川口市の外国籍住民の年齢構成を見ると、働き盛りの20〜40代が約68%を占める。一方、日本国籍の住民では同年代は約38%しかいない。日本の将来は外国人抜きには成り立たない。

私が生まれた西川口の病院では今日も様々なルーツの子どもが生まれている。同郷の子どもたちが差別やつらい目にあうことなく、夢を持って育ってほしい。「異次元の少子化対策」に必要なのは、誰もが家族と安心して、生きがいを感じながら暮らすことのできる環境をこの国に作ることだ。「なにじん」かは関係ない・・・

市町村アカデミー「政策の最先端」

2023年5月19日   岡本全勝

市町村アカデミーの研修の一つ「政策の最先端」が、17日から19日まで実施されました。内容は、リーフレット時間割をご覧ください。

この研修は、昨年度から始めました。本校の研修は、管理職研修のほかは、法令、地方税、福祉、産業振興など専門分野別が多いです。その点で、この研修はある主題を深く掘るのではなく、広く各種政策を学ぶというものです。
毎年、新しい課題が生まれ、新しい政策が試みられます。その動向を学んでもらおうという趣旨です。なので、講義の構成は、政府の動向とともに、自治体での動き、非営利団体の動きなどを組み合わせてあります。近年、公共政策立案は行政が独占するものではなくなりました。「図・公私二元論から官共業三元論へ(課題の認知)

それぞれの政策については、報道や解説があるのですが、全体の動向をつかむという機会・媒体は意外とありません。この研修は、政策の百貨店として、広く薄く知識や動向を得てもらいます。
今年の内容も、研修生からは好評でした。来年も開設する予定です。ご関心ある自治体や職員の方は、申し込んでください。

見なくなったストライキ

2023年5月19日   岡本全勝

5月9日の朝日新聞オピニオン欄、後藤洋平・編集委員の「パリのストと日本のメーデーで考えた 「便利さよりも大事なこと」」から。

・・・8年前に放送と兼務ながらファッション担当になり、コレクション取材のため、継続的にパリを訪れるようになった。流行ブランドのファッションショー取材といえば最先端の服を誰よりも早く間近で見ることができ、世界中からセレブたちも駆けつける。華やかな現場だと思っていたが、実際は過酷だ。朝早くから夜遅くまで、10近いブランドのショー会場を連日ハシゴする・・・

・・・しかし、落とし穴もある。たびたび行われるストライキだ。今年1月中旬から下旬に開かれたパリ・メンズコレクション期間中の同19日も、年金の受給年齢引き上げに反対する労働者たちが大規模なストを打ち、ほとんどの公共交通機関がストップした。
私はルイ・ヴィトンやヨウジヤマモトなど8ブランドのショーと一つの展示会取材、1件のデザイナーインタビューを予定していた。広場ではマクロン大統領を批判するデモが開かれ、封鎖された主要道路もあった。中心地を避けるルートの主催者バスと徒歩で乗り切ると、携帯アプリが記録した1日の歩数は2万3931。夜はもちろん即気絶した。
「こんな観光地で、世界中から人々が集まる時期に、なんでやねん……」
担当してから数回目のスト遭遇までは、そう思っていた。しかし、2018年に始まった「黄色いベスト運動」を含めて何度かストを経験し、パリに住む知人たちが「不便だけど、これは仕方ない。もっと大事なことがあるから」と理解を示していることも知って、考えが変わった。「労働者が団結して主張し、行動しているのは、うらやましい」と・・・

・・・いま47歳の私が幼かった頃、ストライキで電車の運行が止まることがたまにはあった。しかし、海外ではこの8年間で何度か直面しているのに、私は日本では数十年経験がない。厚生労働省に聞くと、21年の労働争議(経営側と労働組合などとの間で生じた紛争)の総数は297件で、うち実際にストなどの行為を伴ったものは55件だったという。
総数が最も多かったのは1974年の1万462件で、この年は紛争行為を伴った件数が9581件だったというから、ものすごい激減ぶりだ。
もちろん、労働環境が向上したという見方もあるだろう。だが、日本の会社員の平均年収は何年もの間、ほぼ横ばい状態だ。それでも争議件数は近年も減少傾向にあり、統計で最も新しい一昨年は19年に次いで過去2番目に少なかったという・・・