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日本の政治・内閣と与党

郵政民営化法案について、自民党内での議論が報道されています。「内閣と与党との関係」「政党の党議拘束」など、政治学の良い勉強材料だと思います。
いくつも解説が書かれていますが、15日の東京新聞は「時代を読む」で、佐々木毅学習院大学教授(前東大総長)の「郵政法案と国会審議の新しい形」を載せていました。
「首相が国民に公約した重要な法案が党内審議の結果として葬り去られるという事態は、首相のリーダーシップや国民との約束という観点からして決して好ましいものではない」
「与党内に根強い反対があるような法案を国会に提出するのは、内閣にとって大きな政治的リスクである。しかしながら、国民に対する約束を根拠とするにせよ、あるいは、内閣の政治的・政策的信念に基づくにせよ、そうしたリスクに挑戦する自由を初めから与党内で封殺するという慣習は安定した国会運営にとってはメリットがあるかもしれないが、それ以上の積極的な意味を持つわけではない」
「内閣と与党とが基本的に政治的一体性を保つことは議会制の大原則であるが、時には両者の間で一定の緊張関係が露わになることをすべて排除しなければならないわけではない。その場合、国会が決着の場になることには何の不都合もないし、むしろ密室で処理されてきた議論を公開の場で吟味する機会を国民に提供することができる」

社会の変化と行政

今日、参議院総務委員会で「迷惑メール規制法改正案」が審議可決されました。実はこの元法は、平成14年に参議院総務委員会の委員長提案(議員立法)で作られた法律です。
13年の4月から6月までの3か月間に、電話事業者に寄せられた苦情や相談は、29万件でした。それが、法施行後の14年7月から9月までの3か月では、6万件まで減りました。しかし、最近、手口が巧妙悪質になり、増えてきたので、新たな対策を盛り込んだのです。
興味深いのは、日本が法律を作ったあと、アメリカが日本の法律を参考にして、同様な法律を作ったことです。アメリカの議員が、日本の法案作成の中心だった世耕参議院議員に教えを請うたとのことです。アメリカでは2004年1月から施行されました。今回の法改正では、このアメリカの法律も参考にしましたが。
通信だけでなく、アメリカが日本の法律を参考にすることは、珍しいことと思います。いつも、学ぶのは日本の方でしたから。日本が先進国へ法律を「輸出」した例をご存じの方は、教えてください。
もっとも、法律を作っただけで迷惑メールがなくなるほど、簡単なものではありません。
①迷惑メールを拒否する技術や、身元を偽った発信者を特定する技術の開発
②国外からの迷惑メールを減らすための、国際間の協力
③通信事業者による、迷惑メール送信者への利用停止
など、いろいろな対策が必要です。
法案審議を聞きながら、「いろんなことを考えさせる法律だなあ」と、勉強しました。

公共

10日から、日本経済新聞「経済教室」で、「公共性を問う」の連載が始まっています。10日は田中直毅さんが、企業と公共性や日本社会の公共性の変化について書いておられました。11日は林敏彦先生が、国家・市民・市場の三角形を解説し、インターネットなど超国家空間での公共性を説いておられました。拙著では、「第8章公の範囲は」で、官・共・私の三つで説明しました。

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昨夜は、省庁改革本部時代の同僚(減量班)との懇親会でした。ワシントン、宮古市、山口県から帰ってきた職員の歓迎会です。今夜は、富山県時代の同僚(各省からの出向者、「でるくい」のメンバー)の懇親会でした。これも、九州大学、北海道からの帰京歓迎会です。みんな、それぞれの場所で活躍中です。いろんな話題で、話が盛り上がります。ありがたいですね、こうして集まってくれるのは。

伝道師活動余話

かつてこのHPで、私の「副業」=地方財政の伝道師活動に関して、鎌田浩毅京大教授の文章を紹介しました。先生から、メールをいただきました。
鎌田先生は、「科学の伝道師」と名乗っておられるのです。先生の活動は、一般の方や小学生まで、出版物もたくさんです。私の活動とは、比較になりません。私の活動は、「同業者」「関係業界」相手が多いですから。
「自分の講演を録画して、講演術を自らを磨かれた」ことも、尊敬します。私も試みたことがあるのですが(といっても、自分では見たくないのに、撮ってくださる方も多いので)、とても見られたものではありません(反省)。