公務員の評価・続き

職員に対し職務内容書を示さない、達成すべき目標を示さないので、その職員の業績評価はできません。学校でたとえるなら、習得すべき学習内容が示されないのです。よって、試験による成績はつけられません。例えば、3年生で覚えなければならない漢字とかかけ算とか、100点の内容が決まっていないのです。達成度試験はできません。すると相対評価になります。クラスの中で、よくできるかできないかです。テストでなくコンクールです。
(仕事の単位は人でなく課・係)
官庁の場合、大部屋で仕事をしています。個人ごとに達成すべき職務内容を示さず、たいがいは課や係単位で仕事が決められています。例えば、ある人がひとまず割り当てられた仕事を片付けたとします。その人は、帰って良いのでしょうか。これが、先に提起した問題です。その場合、まだ終わっていない人の仕事を手伝ってあげるのが、いい人なのです。組織として達成すべき仕事があるなら、みんなで協力して早く終わることが望ましいでしょう。大部屋主義は、融通が利くのです。これが日本型経営の、優れた点であったのです。
しかしそれは、各人の職務内容が明確でないことの裏返しです。各人の職務に融通が利くということは、各人の達成すべき仕事が伸び縮みするということです。物差しが伸び縮みすると、評価は難しくなります。このように、大部屋主義であることと職務内容書がないこととは、裏表なのです。