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博物館の国際化

先日の休みに、江戸東京博物館に行ってきました。お目当ては、発掘された日本列島展です。毎年行くようにしています。実は、子どもの時は、考古学者になるのが、夢だったのです。生まれた村では、どこかで発掘をしていましたから。どこでどう間違ったか、官僚になりました。
この展覧会は、毎年、全国で開かれています。かつては、1階の展示場を使うほど大きかったのですが、近年は常設展会場の中で開かれるほど、小さくなりました。でも、びっくりするようなモノが、展示されています。「よくまあ、こんなものが、土の中に埋もれていたんだなあ」と。
ついでに、北京故宮書の名宝展 も。私は字が下手なので、立派な書を見ると、自分の字が情けなくなりますね。
さて、今回の「思ったこと」は、これらの展示とは別で、常設展でのことです。
まず、外国人観覧者の多さに、びっくりしました。右でも左でも、英語や韓国語の話が聞こえます。この博物館でも、ガイド(ボランティアガイド)がつくのですが、英語はもちろん、ドイツ語も聞こえました。英語は横で聞いていると、面白いですね。「そうか、このように表現して解説するのだ」と。
でも、私たちがヨーロッパの博物館に行くように、外国の方が日本の博物館に来るのは、当たり前ですよね。何も、ヨーロッパだけが、美術と歴史の独占者では、ないのですから。東京が国際都市になり、日本が国際化すれば、外国の方が増えるのは、当たり前です。というより、どれだけ日本の博物館に外国人を呼べるかも、日本のソフト・パワーのバロメーターです。
私は、外国の方が来ると、上野の東京博物館を、お勧めしています。日本の美術の歴史が、わかります。これからは、江戸東京博物館も、お勧めに入れましょう。
もう一つは、美術品や模型の展示と、映像との、わかりやすさの違いです。江戸城の模型がありますが、その上部で、江戸城を復元したビデオを流していました。いくら模型に解説があっても、ビデオの情報量には、かないません。もちろん、ビデオは時間が拘束され、たくさんの人が自由に見ることはできませんが。書の名宝展も、「蘭亭の序」が飾ってあるだけでは、その位置づけがわかりません。入り口で解説ビデオを見ると、初めての人にも、書聖王羲之の書の意味がわかります。

増税時期を失した日本

16日の読売新聞「失速、最長景気」インタビュー、石弘光元政府税制調査会長の発言から。
・・景気拡大が続いているうちに、消費税を引き上げて財政再建の糸口を作るべきだった。日本経済は(雇用、設備、債務という)3つの過剰を解消し、増税に耐えうるだけの力がついていました。
小泉政権で消費税率引き上げを封印したのは、政治的には正解だったかもしれませんが、マクロ経済的には非常にまずかった。財政の構造改革をしなかった・・

2008.08.18

17日の毎日新聞は、社説で「国の出先見直し 首相は自ら火中のクリを拾え」を、また、全国知事へのアンケートを載せていました。18日の日経新聞は、「自治体、国のツケ回しに反乱」として、国直轄事業負担金に対する地方団体の不満を書いていました。東京新聞は、社説で「出先機関見直し 地方の熱意で加速を」を、また解説欄で清水幸孝記者が「国の出先機関見直し。国民目線の廃止・統合案を」を書いておられました。

1、2、3の次は、0

説明メモを作る際のコツを、「明るい係長講座」に書きました。ツバを飛ばしてしゃべるよりメモにせよ、メモは1枚にまとめよ、結論から書け、一目でわかる標題にせよ・・・。
最近気づいて、職員に指示していることがあります。
それは、「内容は箇条書きにせよ。3つ以上は書くな」です。箇条書きの方が、長い文章より、読んで(一目で見て)わかりやすいことは、説明しなくてもわかるでしょう。
「3つ以上は書くな」は、説明が必要ですね。理由は簡単。私は、3つを越えると、覚えられないのです。
職員は、1度にたくさんのことを説明しようとするのですが、私の頭の中のカウンターは、1、2の次は3ですが、3の次は4でなく、0です。振り出しに戻ります。2にも、戻りません。すなわち、3つ以上のことを聞くと、頭の中が混乱して、全部忘れてしまうのです。
「聞いている時はわかっているが、聞き終わると何も頭に残らない」というのが、正確でしょう。たくさん書いてあると、最初から読む気もしない、という場合もあります。「お前が、頭が悪いのだ」と言われれば、そうです。

数詞が、1、2、3の次は「たくさん」、という文明もあるとのことですが、私の頭の中もこれと同じです。漢字だって、一、二、三の次は、横棒が4本ではなくなります。ローマ数字も、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの次は、縦棒が4本ではありません。
手の指は5本あるのですが、人間の頭の中での数の基本形は、3までのようです。3を越えると、あとは、「たくさん」なのです。
かつて、私がお仕えした上司にも、同じ考えの方がおられました。政治家に説明に行く際、持っていく資料です。その作成を指示されれる時は、「1枚の紙に、3つ」。しかも、「それぞれ1行で、合計3行まで」でした。
「それじゃあ、説明できません。もう少し書かせてください」と申し上げても、「だめ。それ以上書くと、相手の頭に入らないから」と、認めてくださいません。
当時は「理不尽な」と思いましたが、自分が説明を受ける立場になると、よ~くわかります。しかも、大臣や政治家は、今の私より、はるかに忙しいのです。
4つ以上になる時は、どうするか。その時は、大きな見出しを3つにし、その中に小見出しをつくるしかないですね。そして、別紙にする。
繰り返します。上司の頭のカウンターは、1、2、3の次は、0です。4つ以上書くと、1つも2つも残らず、0に戻ります。あなたの苦労と上司の理解は、比例しません。それどころか、全く無駄になります。(2008年8月16日、17日)

「上司の頭、3の次は0」についての反響。
Aさんほか多数:おっしゃるとおりです。
Bさんほか何人か:そんなに、覚えられないのですか?
Cさん:私の上司は、3つくらいの案ではダメで、100くらい用意していかないと、納得してもらえません。

今日、言いそびれた回答です(お笑い的回答なので、まじめに受け取らないでください)。
Bさんへ:これは、私の場合を書いたので、一般的ではないかも知れません。でも、ニコニコしている上司が、あなたの言ったことをすべて納得し、覚えているとは、限りません。
もし、あなたに勇気があるのなら、たくさん説明してわかってもらえたと思った翌日に、その上司に、「昨日ご説明したあの件の4番目ですが・・」と聞いて、上司が覚えているか、試してみましょう。ただし、私は、このような実験を、お勧めしません。もちろん、結果について、責任は持ちません。
Cさんへ:私が書いているのは、「明るい係長講座」であって、「とても素晴らしい上司講座」でも、「とんでもない上司講座」でもありません。申し訳ありません。
さて、蛇足のアドバイスですが、そのような立派な上司に出会ったら、2度は反論しても良いですが、それ以上は辛抱するか、辞表を書くか、いずれかを選択してください。あなたは、上司を変えることはできないのです。もしあなたに、住宅ローンが残っているのなら、我慢することをお勧めします。
愚痴を言っても、状況は変わりません。将来、あなたが上司になった時に、あるいは現在の部下に対して、同じようなことをしないように、心がけましょう。今日も、あなたの部下は、あなたの悪口を言っているかも知れません。
ところで、あなたには信じがたいでしょうが、その「優秀な」上司は、あなたのことを、「なんで、できが悪いのだろう」と、思っているはずです。人間は、すべからく天動説ですから。
もっとも、あなただけでなく、部下全員がそう思われているので、心配はありません。

残暑お見舞い

暑い日が続いています。夏休みの人も、多いと思います。私は、今週5日間休みをいただいて、9連休を目指したのですが。2回出勤することになり、飛び飛びの連休になりました。
休みの日は暑いので、家で原稿書きをしています。でも、歳のせいか、暑さが身にこたえますねえ・・。(8月15日、16日)
と、猛暑を嘆いていたら、17日の東京は最高気温が25度という、とんでもない涼しさになりました。小雨が降り続き、これまた元気が出ませんねえ。