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日本広報学会・基調講演

今日は、東京経済大学で開かれた、日本広報学会研究発表大会で、基調講演をしてきました。主催者からの指示は、「政府の情報提供に限らず、今回の大震災対策で何をしたか、どんな点に苦労したかを話せ」ということでした。
ということで、これまでの私たちの仕事を、お話ししました。新しい組織を緊急に立ち上げた際の、苦労についてです(4月2日の記事など)。
もちろん、情報発信についても、お話ししました。苦労したのは、「誰に、どのような情報を、どのような媒体で伝えるか」です。もっとも、ほとんどは、内閣広報官が考えてくださったのですが。
「誰に何を」では、避難所にいる人たち、広く被災者、国民や企業、マスコミやオピニオンリーダー、政府関係者や自治体、支援を考えている人たちに対して、何を伝えたかです。
「どのようにして」では、被災地では停電し、インターネットももちろん使えません。新聞も届かないところもありました。避難所以外でも、仮設住宅や借り上げ住宅に入った人たちにどう届けるか。居住地を離れ全国に散らばっておられる避難者に、どう伝えるかです。

講演会でしゃべるのは、準備が大変です。しゃべること自体は、そんなに苦痛ではないのですが。ふだんやっている仕事や、考えていることを整理する、良い機会です。特に「異業種」の方にお話しするのは、勉強になります。どのような素材をどう話したら、伝わるか。それを、考えなければなりませんから。このような機会を与えてくださって、ありがとうございました。

今日は金曜日

今日は、金曜日。今週も、怒濤の日々が過ぎました(笑い)。今週は、福島県との協議会、そこでもらった宿題の整理、臨時国会に提出する法案の準備と関係者への説明などなど。たくさん仕事がありました。それなのに、夜には、異業種の方や同業他社の方と「意見交換会」を入れて(苦笑)。
昨日から、臨時国会が始まりました。最近は臨時国会がしばしば開かれ、その間の休会期間でも、閉会中審査があって、国会担当班は、ほぼ年中休みなしです。質問通告がなかなか出なかったりで、夜遅くさらに朝早くまで残業が常態化しています。申し訳ありません。来週は、大臣所信表明に対する質疑から始まります。

続・法律の輸出

(続・法律の輸出)
先日、日本が明治維新の際に、ヨーロッパから法律を輸入しながら、その後、輸出をしなかったことを書きました(10月8日の記事)。このページでは、かつて「社会の制度・インフラの輸出」を書いたこともあります(2011年1月10日)。
政府のインターネットテレビが、アジア各国に対する法制度整備支援を、紹介しています。少し役人らしい言葉遣いもあり、分かりにくい点もありますが、あまり知られていないことなので、ご覧ください。

日本の家を輸出する

10月9日の日経新聞文化欄に、原研哉さんが「日本の家を輸出する」を書いておられました(古くなってすみません)。
・・日本の家を輸出する。こう言うと、狭くて画一的な住居が世界の人々の興味を引くのだろうかと、怪訝に思われるかもしれない。
しかし、玄関で靴を脱ぐ暮らし方は、身体と環境が直ちに触れあい対話する未来型住環境として大きな可能性を持っている。また、住空間を自分の暮らしに合わせて自在に作り直そうという今日の機運は、日本の伝統とハイテクを掛け合わせた新たな住環境の出現を予感させるのである。
・・風呂やトイレなど生活機器については、繊細・丁寧・緻密・簡潔を旨とする日本の美意識が、これをさらに進化させるだろう。シャワー付き便座もクリーム状の泡風呂も、清潔・爽快な住環境の高度化を加速しそうである。
・・お隣の中国は都市化が加速し、旺盛な住宅建設に沸き返っている。しかし出来上がる集合住宅は、まだまだ粗い。ここに、未来型の日本の「家」を持ち込めばどうなるか・・
ものづくりは今日、アジア全域に広がり、単体の家電を独占的に輸出する時代は、終焉を迎えつつある。日本の資源は石油や鉱物ではなく、「美意識」である。千数百年の伝統を持つ生活文化大国として、いかなる産業ヴィジョンを見出し、世界にどんな価値を提供できるかが、今まさに問われている・・

なるほど。私は、家は各民族の文化の結晶であり、そう簡単に輸出や輸入はできないと考えていました。畳にしろお風呂にしろ。しかし、現在の集合住宅(アパートやマンション)を考えれば、日本の最先端の住宅は、輸出するだけの価値はありますね。それは、電化製品などとセットになった、住みよい空間です。ものを単体で輸出するのではなく、セットで輸出する。その際に、家は良いパッケージでしょう。
日本の伝統的民家を輸出することは、難しいでしょう。日本の都会でも建てることは、庶民には困難です。しかし、現在の日本のマンションや一戸建ては、狭い中に工夫をして、住み良さを追求しています。安全であり、快適です。欧米の大邸宅とは違った良さがあります。車で言えば、大型のアメ車(これも古い言葉になりました)と違う、コンパクトだけど運転性能と居住性に優れた日本車です。
欧米の建築を輸入するとか、大きなビルや記念碑的建物を設計することも重要ですが、日本の家を輸出することは、重要な戦略です。日本は、輸入と模倣、国内での成熟の時代を過ぎ、輸出の時代に入っています。どの程度、日本の家が輸出されているのでしょうか。建築家とハウスメーカーの奮起を、期待したいです。

国と福島県との協議会

今日は、福島市で、第2回目の国と県との協議会が開催されました(資料はこちら)。県から要望のあった財政支援・基金について、第3次補正予算に盛り込んだので、その報告。先日、緊急時避難準備区域を解除したので、その報告と、帰還に向けての課題。東電の賠償金請求手続の問題など。県や市町村からは、次の課題が提起され、今後解決していくことになりました。
地元で、国の関係者が集まって議論することは、良いことだと考えています。東京に来てもらうのでなく、地元ですから、地元の方は発言しやすいと思います。そして、言いっぱなし聞きっぱなしでなく、次回には回答しなければなりません。