投稿者アーカイブ:岡本全勝

時給の額だけでは、仕事は選ばれない

2014年5月20日   岡本全勝

日経新聞インターネット版5月20日「消える明かり「すき家」、バイト反乱で営業不能」が、興味深かったです。
・・景気低迷に覆い隠されていた日本経済の弱点が、白日の下にさらされた。労働力の供給が細る中、景気が回復して構造的な人手不足が露呈している。その影響をもろに受けたのが、牛丼チェーンの「すき家」。店舗が相次いで営業時間の短縮や休業に追い込まれた。人手が足りない上に業務量の増加が追い打ちをかけ、アルバイトが逃げ出した。多くの小売りや外食企業に、採用難の問題は野火のように広がる・・
・・それは異様な光景だった。
4月中旬の午後7時、東京都世田谷区にある牛丼チェーン大手の「すき家」桜新町駅前店。周囲の飲食店やコンビニエンスストアの照明が煌々と夜空を照らす中、この店だけは電気が消え、暗闇の中に沈んでいた。もちろん本来は年中無休・24時間営業の店舗だ。
「本日の営業は終了しました。申し訳ございません」。入り口の自動ドアに目を凝らすと、殴り書きのような貼り紙の文字が浮かび上がった・・
詳しくは本文を読んでいただくとして、p4に、商店街のアルバイトの時給が並べてあります。これも興味深いです。

市場を機能させる政府の役割

2014年5月20日   岡本全勝

青木昌彦先生の『青木昌彦の経済学入門―制度論の地平を拡げる』(2014年、ちくま新書)から。この本は、先生の制度論の入門書になっていますが、それについては別途書くことにして。ここでは、2000年に行われた、フリードマン教授との対話から。
・・社会主義体制が崩壊した時、ロシアは、国営企業を民営化し、市場の自由化に踏み切りました。しかし、ロシアの経済改革は難航し、10年間で国民総生産(GDP)が約40%も低下しました。失敗の原因は明らかです。市場経済においても、政府には果たすべき重要な役割があるのです。ロシアでは政府が契約や知的財産権の保護という基本的な機能において無力となり、マフィアがそれにとって代わりました。
20世紀後半の10年から導き出される重要な教訓は、政府も市場機能を高める重要な役割を担っているという点にあります・・
政府の役割を、私なりに再検討したことがあります。「行政構造改革」。経済学の教科書は、このようなことは書いてありません。政治学や行政学の教科書も、触れていません。時間ができたら、もう一度挑戦します。そのために、本を読んだり、メモを作ったりしているのですが・・。
復興における政府の役割の変化も、その一つです。宗教との関わりも、そうです。社会の変化によって、公助の範囲が広がりつつあります。「社会のリスクの変化と行政の役割」。他方で、公の担い手が広がっている(政府の独占ではない)ので、旧来の行政の役割(の観念)は、変更を迫られています。

今日も、職員に感謝する会

2014年5月20日   岡本全勝

昨日は、仙台でのシンポジウムの後、、宮城復興局で、職員との意見交換会でした。新年度になって、新しい職員を迎えました。民間からもたくさん来てもらったので、悩み事がないかも、聞きました。仕事の流儀が違いますからね。夕方からは職場で議論。その後は国分町に出かけて、市場調査とあわせて、ささやかな景気刺激と、さらに濃密な懇談会でした。
今日は放課後に、職場のある班の打ち上げに、参加しました。いつものように、職員が「岡本統括官に、部下職員に感謝する機会を与えてあげるので、参加しなさい」とのことでした。
何人かの職員には、ビールをついで回ったのですが、なにせ人数が多くて、みんなに回ることができませんでした。それでも、上司は早く帰った方が良いので、途中で中座。
職員が「もう帰るのですか」と問い詰めるので、「あんたたちと違って、これからホームページを加筆せにゃならん」と答えました。すると、「統括官のホームページで、優秀な部下を誉めてくださいよ~」との指示。
これで良いかな、小川君、柿沼君、石川さん、倉井君、広瀬君、吉次君・・。明日、「私の名前が載っていません」と、他の職員から、しかられそうです(笑い)。

災害時の宗教の役割、行政との関係

2014年5月19日   岡本全勝

今日5月19日には、世界宗教者平和会議日本委員会円卓会議(仙台)に、講演に行ってきました。被災者支援活動において、宗教の役割や宗教と行政の関係について、考えることがたくさんありました。私は被災現場にはいませんでしたし、宗教の専門家ではありません。そのときの悩みと考えたことを、お話ししました。他の方の発表は、勉強になりました。追って、紹介しましょう。

新聞は社会参加を育てる。中央か地域か

2014年5月18日   岡本全勝

5月18日の読売新聞、廣瀬英治・ニューヨーク支局長の「米新聞、地域密着の道へ」から。
・・経営的には収入の多くを広告に頼るため、景気の変動を受けやすい。2008年のリーマン・ショックでも廃刊が相次ぎ、米新聞協会によると、日刊紙の数は2009年には1387紙と、2007年から35紙も減った。
新聞が公益を担うとすれば、廃刊で新聞が減った都市では市民の社会参加にも影響が出るはず―。米ポートランド州立大学(オレゴン州)のリー・シェーカー准教授(33)は今年、国勢調査を基に2008年と2009年で市民の社会参加にどんな変化があったか、全米の主要都市を比較した。
「公的な役員を引き受けたか」や「何かのボイコットに加わったか」など5項目の参加率を調べたところ、2008年に地元2紙中1紙が廃刊したコロラド州デンバー市とワシントン州シアトル市は、それぞれ4項目と2項目で大きな落ち込みがあった。
両市と規模などが似た8都市を見ると、大きな落ち込みは1都市の1項目を除いて見つからなかったことから、シェーカー氏は「新聞廃刊の影響が明らかだ」と結論づけている。新メディアが台頭しているが「紙で配られる新聞ほどには情報が届かないし、特に地域ニュースの発信源は今でも新聞」なのだという。
米国の新聞にそんな「公益」があったとしても、経営の難しさは変わらない。その中で、後年「あれが転換点だった」と言われるかもしれない動きがある。
米新聞協会の最新の統計(2012年)をみると、全体の発行部数が減り続ける一方で、日刊紙の数は前年より45紙も増え、ほぼ2007年並の1427紙に回復したのだ。どの新刊紙も、小さな地域紙として新しい役割を見つけようとしているようだ・・
この背景には、日本とアメリカとの新聞事情の違いがあると思います。日本では、大部数を発行する全国紙が主要な地位を占めています。一方、アメリカでは小さな地域紙が多いのです。日本では、1面は東京の中央政治と全国経済ニュースが占め、他のページでも多くは中央からの配信記事です。市町村での暮らしの近くのニュースは、載らないのです。
このことによる「意識の中央集権」について、拙著『新地方自治入門』p317以下で指摘しました。さらにここで指摘されているように、意識の中央集権だけでなく、地域での社会参加・政治参加をも育てないという弊害を生んでいるのだと思います。
どちらが良いとは、簡単にいえません。しかし、この新聞の状況が、国民の意識を作り再生産します。私は、他人に任せることができる中央の情報を「消費」するより、地域の情報に「参画」することほうが大切だと思います。しかし、参画はしんどくて、消費は楽です。この意識や習慣を変えることは、大変な作業です。