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年末の行事終了

年賀状を書き上げ、投函しました。元旦に間に合いますかね。日本郵便さん、よろしくお願いします。しかし、宛先には、北海道から沖縄までありますからねえ。
毎年、大晦日までかかって書いているので、今年は例年になく、早く終わりました。理由は土日に集中して書くことができたことと、もう一つは、書く枚数を減らしているからです。申し訳ありません。いただいていながら、返礼していない方が多くなって。
かつて一緒に仕事をした方、特に地方勤務時代の方には、年に一度の近況報告です。といっても「元気にしています」と、添え書きするだけです。お世話になった方にも、ご挨拶は礼儀ですし。その方々のおかげで、今の私があります。他方、後輩たちには、私がかつて先輩からもらったように、「がんばれ」と書いて出すと、少しは励みになるかなと思って。
そして、松飾りを門のところにつけて、準備完了。
紀伊國屋に行って、また、たくさん買い込んでしまいました。書評で紹介されていると、「なるほど、そう読むのか」と気づいて、読みたくなります。お目当ての本を探し出すと、その棚の近くには、また興味をひく本が並んでいます。で、ついついと・・。
パソコンの横には、読み終えてこの欄で紹介しようと思っている本があり、布団の横には、読みかけの本が山脈を作っているのに。

アメリカ型組織・人事と日本型組織・人事。3


才能があり意欲があって、常に上のポストを狙う人にとっては、アメリカ型の雇用制度が良いでしょう。しかし、そうでない普通の人にとっては、日本型雇用制度が安心できます。
ところで日本型では、労働者は職場で、仕事に関する知識と技能を身につけます。会社の方も、将来を見越して、若い職員に技能を身につけさせ、先輩や上司も指導します。大部屋で、皆と一緒に仕事をすることで、学びます。私も、そうして経験と技能を、身につけてきました。正直言って、職場外での研修より、職場での見よう見まねの方が、有用でした。
アメリカ型では、どのようにして、労働者は技能を身につけるのでしょうか。同僚や上司は、最も重要な技能は他人や部下には教えない、教えるとライバルになるから、と聞いたことがあります。すると、自ら技能を磨き、新しいポストに挑戦しない限り、ずーっと同じポストで仕事内容も給料も変わらず、昇進しないことになります。
それに比べると、日本型は、多くの労働者にとって、ありがたい仕組みです。職場で仕事を教えてもらって、技能を身につけ、昇進させてもらえるのですから。

御用納め、この1年の仕事

今日は多くの役所で、御用納め(仕事納め)でした。復興庁でも、今日で年内の通常業務は終わりです。とはいえ、総理と大臣の現地視察があり、何人かの職員はそちらに同行しました。
私は、留守番で仕事。職員と「良いお年を」と挨拶しながら、「御用納めができるのは、久しぶりだね」と話しました。去年一昨年も、そんな状態では、ありませんでした。もっとも、御用納めの式などはなく、今日の夕方も、私が帰るときには、多くの職員が、いつも通りに、忙しそうに仕事をしていました。
この1年、多くの仕事が進み、また新しい段階に入りました。津波被害地域では、高台移転の計画が全てできて、これから工事が本格化します。原発事故被災地域では、帰還の難易度に応じた区域の再編が行われ、帰還への支援と待つ人への支援の他に、新しい生活を選ぶ人への支援の方針が決まりました。来年は、その実行が本格化します。
そうしてみると、この1年間に、事態はかなり進展しました。もちろん、本格的な工事はこれからで、住宅や町並みの再建までには、まだ2年はかかります。
5年間の予定と実績表」で見ると、津波被害地では大まかに、1年目は応急復旧、2年目は復興まちづくり計画作り、3年目の今年はまちづくりに順次着工をし、4年目となる来年は本格的工事になります。
この1年間、がんばってくれた職員、協力してくださった自治体や企業、NPOの方々に感謝します。また、現地を見て事情を理解して、報道してくださったマスコミの方にも、お礼を申し上げます。そして、今なお不自由な避難生活を送っておられる方に、お見舞いを申し上げるとともに、なるべく早く本格住宅に移ってもらえるように、がんばります。
多くの職場では、明日から1月5日まで、9連休です。皆さんは、どのように過ごしますか。私は、新年を迎える前に、年賀状書きが待っています。

アメリカ型組織・人事と日本型組織・人事。2

ということで、専門家に教えてもらって、清家篤著『雇用再生ー持続可能な働き方を考える』(2013年、NHKブックス)を読みました。わかりやすく、勉強になります。こんなに内容のある本が、1,000円+消費税で買えるのです。お勧めです。
今の日本では、働く人の9割が、企業に雇われている雇用者です。かつて原稿を書くために調べた頃は、8割でした。さらに進んでいます。農業や自営の商店主などが、廃業しているのでしょう。
雇用の状況やあり方は、その国の政治、社会、会社、そして家族と本人にとって、重要な関心事です。労働力は、経済学では生産要素の一つですが、そのほかの要素と違って、簡単に切り捨て(解雇し)たり、短時間に養成できません。それぞれの労働者にとって、死活問題であり、労働者をお金やモノのように扱うことはできないのです。またそれぞれに能力が異なり、リンゴが高くなったらミカンを代わりに買う、というように取り替えるわけには、いきません。社長から見れば、私もあなたもたくさんいる従業員の一人かもしれませんが、私やあなたそして家族にとって、突然の解雇や処遇(例えば勤務地、経験のない業務)の変更は、人生設計を狂わせます。
そして、前回書いたように、いきなり企業の雇用制度を変えても、社会の仕組みや各人の意識が変わらないと、うまく行きません。今ある仕組みは、それなりに合理性があって続いており、またそれぞれの制度が、お互いに連関しています。
この本では、日本の雇用制度の特徴である、新採一括採用、終身雇用、社内での人材育成、年功賃金、定年退職、退職金制度などに、どのような意味があるか、どうして続いているかを、わかりやすく解説しています。
もちろん、批判されているように、この日本型雇用制度にも欠点があります。従業員を守るために、若者が非正規雇用に追いやられ、労働力の調整弁にされたこと。正規職員と非正規職員の格差。正規職員に求められる超勤などでワークライフバランスが難しいこと・・。
繰り返しになりますが、アメリカ型と日本型のどちらが優れているかではなく、それぞれに長所短所があります。そしてそれぞれの雇用制度(採用と解雇、給与、昇進、職員教育)は、国民の意識や社会の仕組みに深く組み込まれていて、簡単には部分的な改変は難しいのです。革命的な改革も難しいです。では、どのようにして、問題を解決していくか。詳しくは、本をお読みください。

アメリカ型組織・人事と日本型組織・人事

佐藤俊樹著『社会は情報化の夢を見る』(12月22日)の続きです。読み返していて、もう一つ再発見した(読んだのに忘れていた)ことがあります。
それは、日米の組織と人事の違いです。よく言われているように、アメリカでは、組織の各参加者の役割が明確に決められている場合が多いようです。職務明細書・職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)によって、あらかじめ決められています。他方、日本の場合は、共同作業にあたる参加者の間での役割分担が、明確に決まっていない場合が多いです。その都度その都度、お互いに調整しながら、柔軟に分業していきます(p163)。
この違いは、組織内でのコミュニケーションの違いとなって現れます。さらに、この違いは組織の外の社会構造にも、違いをもたらします。労働市場や教育制度が、違ってくるのです(p173)。アメリカ型では、労働者の組織間の移動が起きやすく、日本型では終身雇用になります。終身雇用だから、職務記述書がなくてもすむのです。
私がこの労働市場の違いに、「そうだったんだ」と再認識したのは、次のようなことからです。
復興庁は、10年の期限付きの組織です。最初は、各省から職員に出向してもらって、職員をそろえました。しかし、それだけでは足りません。また、市町村でも職員が不足しているので、他の自治体から応援職員を派遣してもらっています。民間企業にも、お願いしています。こんなことは、初めてです。
しかし、これも限界があります。派遣元団体も、職員が余っているわけではありません。大量になると、無理があります。そこで、民間から公募して集めています。期限付きですから、採用しやすいと思ったのです。
ところが、これがそう簡単ではないのです。自治体に「退職した職員がいるでしょ。その人たちを紹介してください」と、お願いしてみました。しかし、たいがいの人は再就職しておられます。想像してみてください、工事現場に必要な知識と経験を持った若くて元気な人が、労働市場にたくさんいますか。たくさんは、いません。勤めながらより条件の良い職を探している人はいるのでしょう。しかし、例えば3年間、市町村役場で働いても、次の就職先が保証されていません。そして、申し訳ないですが、そんなに高い給料は払えません。このような条件の下で、未経験者を募集するのならば、応募はあります。しかし、それなりの経験と技能を持った人を、期限付きで探すことは、難しいのです。
それでも、復興庁では、幸いなことに、経験と意欲を持った人たちがいて、かなりの職員を集めることができました。皆さんに、活躍してもらっています。ありがとうございます。
結論。アメリカ型は、仕事のポスト(席)が先にあって、それに応募する人を探します。日本では、職員の集団がいて、その人たちに仕事を割り当てます。アメリカ型では、経験と技能を持った人は、組織間の移動は簡単です。そして、またその次の職場も探せます。日本型では、組織内で経験と技能を身につけ、組織内で昇進していきます。どちらが良いかは別として、組織内がそうなっていると、組織外の労働市場も各労働者も、それに応じた状況になります。日本では、労働市場に、次の仕事を探している有能な人は、大規模にはいないのです。
そこで、もう一つ本を読みました。この項続く。