投稿者アーカイブ:岡本全勝

アメリカの古書店

2016年9月4日   岡本全勝

先日本屋を覗いたとき、何かのテーマ展示で見つけ、気になったので、買いました。「まあ、読まないだろうけどなあ」と思いつつ。寝床と新幹線で、一気に読みました。面白いです。お勧めです
ローレンス&ナンシー・ゴールドストーン著「古書店巡りは夫婦で」(邦訳1999年、早川ノンフィクション文庫)です。
夫婦の作家が、古書集めに引き込まれるお話しです。初版本を中心に、ただし高価なものは選ばない。そのあたりが、私たちも「ついて」行けます。ピーター・メイルの「南仏プロバンスもの」の路線と言ってよいでしょうか。表紙も、それに近いです。
古書を知ろうとしたら、古書店事情とか古書の手引きなどの概説書やハウツー本の方が手っ取り早く、全体を知ることができるのでしょう。しかし、門外漢にとっては、生身の人間それも素人が苦労しながらその世界に入っていく小説(ノンフィクション)がわかりやすいですね。ノーベル賞級の研究の概説書より、その先生の回想録の方が取っつきやすく、わかりやすいのと同じでしょう。
もっとも、出てくる古書のいくつかは、ディケンズ、マークトウェインなど私にもわかるのですが、知らない作家が多く、またアメリカの古書店はちんぷんかんぷんです。アメリカの古書業界の事情がよくわかります。結構面白いですよ。インターネットが発達した現在は、少し変わっているかもしれません。
さて、そこは本を読んでいただくとして。本筋とは異なり、気になったか所を、備忘録として書いておきます。
・・・(古書店の)キャビネットの側面は鉛筆のようなかたちをしていた。二本の鉛筆には、それぞれ2B or Not 2Bと彫ってあった・・・p272
もちろん、シェイクスピアのハムレットの名文句、To be or not to be のもじりです。
離れて住む93歳の父親(?)と電話での会話から。
・・・わたしにとって最高のたのしみは、毎朝、仕立てのいいスーツに着替えることだな。サミュエル・ジョンソン博士いわく、衣服は人を作る。その言葉はたぶん正しいと思うよ、うん。だから、わたしは毎朝スーツに着替える。もう耳にたこができているかもしれないが、世の中には朝食の席に半ズボンで出てきたり、シャワーも浴びずに出てきても平気な人間がいる。それがまちがいというつもりはないが、ナンシー、きみならわかってくれるだろう。なによりも最高なのは、早起きをして、さっぱりした体になり、ドレスシャツとシルクのタイと仕立てのいいスーツに着替え、すてきな朝食をとること。量はさほど多くなく、コーヒーとオレンジ・ジュースとバターを塗ったトースト、それに卵をひとつ。食事のあと、ゆっくりと腰をおちつけて、ウィンストン・チャーチルの本を読む・・・p15

社会の課題に取り組むNPO

2016年9月3日   岡本全勝

日経新聞9月2日夕刊「パーソン」は、河野俊記者の「社会起業家が新公益連盟、分野の枠超え政策提言」でした。
・・・子どもや女性の支援、災害復興、地域活性化など社会が抱える課題の最前線で奮闘する、NPOの代表など社会起業家が「新公益連盟」を結成した。分野の枠を超えた政策提言や経営・人材育成のノウハウ共有を狙う。東日本大震災を機に社会貢献への関心は高まった。ただ個々の活動だけで社会を変えるには限界がある。そんな危機感を胸に、志を同じくする人たちが続々と集まった・・・
大震災の被災者支援、被災地の復興に際し、NPOは大きな貢献をしてくれました。拙著「復興が日本を変える」で紹介したとおりです。社会でもだんだんと認知されつつあります。
課題は、被災地だけでなく全国に広げること。被災者支援だけでなく、その他の社会の課題解決に広げることです。社会でもっと認知してもらうことです。参考、「復興がつくった新しい行政」の図3。
他方で、行政とどのように連携するかが課題です。社会の課題を解決するのが行政の任務であり、地域の課題を解決するのが市町村役場の任務です。私は、市町村役場に、「地域の課題解決のためのNPOとの連携窓口課」を作るのが一つの方法だと考えています。
河野記者、良い紹介をしてくれて、ありがとう。

日本の革新勢力がリベラルだという誤解

2016年9月3日   岡本全勝

読売新聞8月30日「リベラルとは何か」、井上達夫・東大教授の発言から。
・・・リベラリズムは歴史的に啓蒙と寛容の伝統に根ざす。その哲学的基礎は単なる自由ではなく、「他者に対する公正さ」という意味での正義の理念だと私は考える。自分の政敵に対してもフェアに振る舞うことで、政治社会を暴力的な無秩序の状態ではなく、言論と言論が戦う世界にすることだ。かつての革新が名乗る今のリベラリズムはリベラリズムに背反している。その典型が「護憲派リベラル」だ。
リベラリズムは、対立する諸勢力がフェアな政治的競争のルールを互いに守る姿勢の中に、法の支配や、憲法で権力を統制する立憲主義の基礎を求める。
ところが、護憲派リベラルは、自分たちの特定の安全保障政策を政敵に押しつける道具に立憲主義を利用している。専守防衛ならば自衛隊・日米安保条約は合憲だとする解釈改憲や、違憲だけど容認するというご都合主義に居直っている・・・
・・・9条改正の是非を「リベラル対保守」の対立と結びつけるのは的外れだ。
憲法に盛り込むものは、統治構造と基本的人権の保障だ。一方、非武装中立で行くか、個別的自衛権にとどまるか、集団的自衛権へ行くか、などは安全保障政策の問題であって、特定少数者の人権と関係ない。政策論争の問題だ。
ただし、国民の無責任な好戦的衝動や政治的無関心から、政府が危険な軍事行動に走らないよう、戦力統制規範を憲法に盛り込むべきだ・・・最低限、軍隊の文民統制と、武力行使に対する国会の事前承認は憲法で明定すべきだ。この最低限の戦力統制規範すら現憲法が欠くのは、9条により、戦力が存在しない建前になっているからだ。「9条が戦力を縛っている」は護憲派のうそ。9条のため憲法は戦力統制ができない・・・
佐伯啓思・京大名誉教授の発言から。
・・・日本では戦後、歴史と伝統の一貫性を強調しつつ、現実には日米同盟を中心に国益の実現を目指す保守と、社会主義に共感しながら労働者階級の利益を目指す革新が対立した。自由より社会主義を目指す点で、革新はリベラルとはいえない。米国型リベラルが重視した福祉や平等を現実に実現したのは自民党だ・・・
原文をお読みください。

アジアの発展に負けた大陸アフリカ、社会的共通資本の重要性

2016年9月2日   岡本全勝

朝日新聞8月27日のオピニオン欄は、シルビー・ブリュネルさん・パリ大学教授の「アフリカのいまと未来」でした。
「アフリカは遅れてきた分、格差も少ないと思っていました」との問に。
・・・実際には、アフリカ諸国は1960年代に独立した際、都市や産業化にばかり関心を抱いて、田舎をほったらかしにしてきたのです。その路線は成功しそうに見えました。アフリカは輝かしい可能性に包まれていたのです。「世界のお荷物」となるのはむしろアジアだと、当時は思われました。
幼児死亡率や平均寿命、1人あたり国民総生産(当時)などの指標を総合した場合、70年代に西アフリカのコートジボワールは韓国と、ナイジェリアはインドネシアと、ほぼ同レベルでした。冷戦の影響から韓国は発展せず、コートジボワールこそ希望が持てると世界銀行などは考えていました。
ただ、その冷戦の最前線にいたことこそが、アジアに発展をもたらしたのです。ソ連や中国と向き合った日米は、資本主義社会の結束を強めようと、韓国や台湾、東南アジア諸国に積極的に投資して発展を促しました。貧困の中にあったアジア各国も上昇への道を学び、労働力を改善し、新興産業国から新興国、先進国へと、わずか1世代の間に成長できたのです。特に韓国は、日本の経験から多くを学びました・・・
・・・民主主義の基本は、一人ひとりが平等な1票を持ち、自由に投票できることです。でも、アフリカでは肌の色や出身地域、性別や家族内の役割などで、自らの地位や行動が決まります。極めて不平等な社会で、51%が49%に勝つ西洋型民主主義の原則をここに適用するには、無理があります。
植民地支配から独立したアフリカ諸国は、民主主義を一度も経験しないまま国家を建設せざるを得ませんでした。その結果、強権的な政治が確立され、メディア支配や野党への脅迫が常態化し、選挙が骨抜きにされました。民主主義の名に値する選挙を実施している国はほとんどありません・・・
・・・アフリカで機能するのは、むしろ「長談義」のシステムでしょう。話し合いを延々と続けながらコンセンサスを形成する政治です。
国内のすべての政党や政治勢力、すべての民族がテーブルを囲んで議論をする。時間の制限を設けず、みんなが受け入れられる結論が出るまで話し合う。これが「長談義」です。選挙とは異なる方法です・・・
原文をお読みください。

いかにも怪しいメール

2016年9月2日   岡本全勝

今日、携帯電話にメールが届きました。差出人は、見るからに変なアドレスです。表題は「メールアドレスを変更しました」で、文面は「お久しぶりです。また、食事したいですね。返事ください」です。
こんなメールに、返信する人がいるのでしょうか。笑い。直ちに削除しました。私とメールのやりとりをしている誰かの、携帯電話かパソコンが「汚染」されたのでしょうね。
復興庁の私のパソコンには、標的型メールと思われる「怪しいメール」がしばしば来ました。政府機関は狙われているようです。でも、個人携帯電話に来たのは、初めてです。