投稿者アーカイブ:岡本全勝

塩野七生さん、この頃の官僚

2018年5月4日   岡本全勝

塩野七生さんは、しばしばハッとするような、分析をされます。食を巡るエッセイに、次のような文章があります。『想いの奇跡』(2018年、新潮文庫に再録)p131「イタリアを旅する」。この文章は、2008年に書かれたものです。

・・・一昔前は、高級官僚にも政治家並みの健啖家が多かった。政治家は始終人と会っているためか食欲の旺盛な人が多いが、官僚も政治家同様に健啖家であったのだ。それがこのごろでは、なぜか食の細い人が多くなった。それに比例して、仕事もできない人も多くなった気がする。
昨今の官僚タタキも、仕事ができるがゆえに権勢もある官僚だからタタくのではなく、真の力がないために既得権益を守ることしか頭にない官僚に、国民が愛想をつかしたからではないかと思っている。こんなへっぴり腰の集団に自分たちの運命を左右されたのではたまったものではないとは、私だって感じているのだから・・・

塩野さんの眼力が素晴らしいとともに、イタリアから見ていると、日本にいるより、日本が見えるということでしょうか。

公文書館の将来

2018年5月4日   岡本全勝

公文書館に行って、考えました。多くの人は、公文書や文書と聞くと、紙の書類を思い浮かべるでしょう。ハンムラビ法典やロゼッタストーンのように、石に刻まれた文書もありますが。

公文書の電子化が進んでいます。まずは、紙の文書を電子化しています。次に来るのは、文書そのものが、電子媒体でつくられる時代です。すると、紙はありません。
利用者が「公文書館に行って、お目当ての書類を申請して、書類を出してもらう」という風景はなくなり、自宅でパソコンで検索し、お目当ての書類をダウンロードすることになるのでしょう。
公文書館も、古い書類が棚に並んでいるという風景でなく、コンピュータが静かに動いている風景になるのでしょうね。

日経新聞夕刊コラム番外編1

2018年5月3日   岡本全勝

日経新聞夕刊コラム「あすへの話題」は、6か月の連載予定のうち、4か月が過ぎました。既に17本が掲載されました。早いものですねえ。
5月3日は祝日なので、夕刊はお休みです。私のコラムもお休みです。で、コラムの執筆に関した話を書きます。

朝日新聞の名物コラム「天声人語」の執筆者の一人は、有田哲文記者です。このホームページでも、紹介しました。
天声人語は、603文字(改行なし)です。私が書いている「あすへの話題」は、改行ありの684字です。天声人語の方が短いのですね。天声人語は、もっと長いと思っていました。それだけ、内容が豊富であり、詰まっているということでしょう。
しかも、有田記者は、書きためずに毎日の勝負とのこと。すごいです。いえ、天声人語と勝負しようと思っているわけではありません(苦笑)。

このコラムを書いていて、思いました。
次のような要素のいずれかを入れることができたら、と考えつつ書いています。
・へえ=読者が知らないこと。
・なるほど=読者に共感を持ってもらえること。
・クスッ=少し笑える話。
そして、岡本全勝ならではの独自性も、必要です。とはいえ、行政の話は「固くて」、夕刊コラムには難しいです。
・ウルウル=涙を誘う話は、そんなにはありませんし、
・季節の話題は、私には期待されていないでしょう。

話の運びとしては、起承転結、序破急も重要ですが、最後の締め(オチ)をどうするか。それが重要です。テーマ(主題)選びとともに、締めに悩んでいます。
これまでの17本をお読みになって、どう感じられたでしょうか。
残りは8本です。乞うご期待。

慶應大学、公共政策論第4回目

2018年5月2日   岡本全勝

公共政策論も、第4回目の授業です。46人の学生が出席しました。皆さん熱心です。
東日本大震災のスライドは、発災直後から復旧までを見てもらったので、レジュメに沿って、何が課題だったか、政府はそして私は何をしたかを説明しました。
すべてを流された町で、町を復興するためには、何が必要が。それを考えることで、町とそこでの暮らしが、どのような要素でできているかが、わかります。
インフラだけでは町は復旧せず、サービス提供とともに働く場がないと暮らしていけません。さらには、つながりがないと、人は孤立します。
その3つを、どのようにして再建するか。行政がお金でできることと、できないことがあります。それを考えてもらいました。

こちらの方も、早々とレポートを提出した学生が数人いました。
レポートの内容についても、助言しました。
授業を受けた後、記述式の答案を書く際やレポートを提出する際に、2つの水準があります。一つは、教授に教わった内容を書きます。もう一つは、教授の授業を理解した上で、独自に考えたことを付け加えます。
私が学生の時、これで満点だと思う回答を書いたのに、良い点をもらえなかったことがあります。その際に先生がおっしゃったのが、このことでした。
「私の授業を受けて、「右受け取り候」といった受領証のような答案では、及第点しかあげられない。授業を踏まえて、自ら考えたことを書け」とです。
大学入試までは、教えられたことを正しく書けば満点です。しかし、大学になれば、教えてもらったことの上に、自分で考えたことを加えなければなりません。

授業で紹介した、日本が「一億総中流」ではなくなっていることを明らかにしたのは、佐藤俊樹著『不平等社会日本―さよなら総中流』(2000年、中公新書)です。

慶應大学、地方自治論Ⅰ第4回目

2018年5月2日   岡本全勝

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅰ、第4回目の授業でした。連休の谷間でしたが、171人もの学生が出席しました。
前回から、地方自治の意義を説明しています。統治の観点から、権力の分割について、中央政府と地方自治体との垂直的分権と、それぞれの中で水平的分権があることを、理解してもらいました。
また、ドイツの自治制度を紹介して、議会と首長との関係にはいくつもの型があること、また変えることができることを理解してもらいました。
制度とは人間が作るものであって、現在の制度が唯一のものでないことを知ってもらうためです。

2週間前に課した小レポートも、連休明けを待たずに提出した学生も。そうですね、早く片付けた方が安心して、連休後半を過ごすことができますね。
授業中に紹介したスウェーデンの教科書は、『あなた自身の社会』(1997年、新評論)です。図書館などで読んでください。