年別アーカイブ:2026年

経済同友会提言「人口減少時代の地方自治」

2026年8月28日   岡本全勝

8月17日に、経済同友会が「人口減少時代の地方自治 ―単独・自前型から連携・分業型への転換―」を提言しました。

・・・本会では、2024年11月に公表した報告書「地方創生の加速に向けて~近隣地連携・遠隔地連携のさらなる推進を~」において、人口減少下で地域の持続可能性を確保するためには、自治体間連携が必須である旨を指摘しました。その後、引き続き、地域共創委員会を設置し、地方自治体等との意見交換を重ねる中で、自治体間連携の必要性は広く認識されているものの、具体的な連携像の共有や連携を後押しする財政制度、企画・実装を担う人材の不足といった課題を確認しました。

本提言は、こうした課題に対して、自治体間連携を実装段階へと進めるための制度改革を示すものです。人口減少時代の地方自治に求められるのは、各自治体が全ての機能を抱え続けることではなく、住民に必要なサービスを地域全体として安定的かつ効率的に提供することであるとの考の下、「単独・自前型」からサービスごとに最適な主体・規模・手法を選択する「連携・分業型」へと地方自治のあり方を転換することを提言しています。そのための第一歩として、行政サービスごとの連携モデルとコストの可視化、地方交付税制度の改革、自治体間連携や官民連携を企画・実装する半官半民の「公務・公共サービス法人」制度の創設を求めています。また、「連携・分業型」への転換の基盤として、「地域の未来予測」の策定の義務化、人材健全化指標の導入、ローカル・ルールの見直しと業務標準化を進めることを求めています。・・・

経済界が地域の課題について関心を持ってくださるのは、ありがたいことです。できれば、地域の疲弊を招いている東京一極集中、大企業の本社が東京に集中していることにも、取り組んでほしいです。「東京一極集中「学」の勧め」

連載「公共を創る」第268回

2026年8月27日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第268回「これまでの議論ー人間らしい生き方とは」が発行されました。
前回から、第1次安倍晋三内閣で取り組まれた、再チャレンジ政策について説明しています。私が、格差や社会生活問題など「人間らしい生き方への被害」に関心を持ったのは、これに従事したことからだったのです。古典的なリスクとは違った対応が必要でした。しかし、行政はそれを全体として把握していませんでした。

再チャレンジ政策に取り組んでいると、弱者や困っている生活者を生んでいる原因として、日本社会の特性も見えてきました。どこにも明文はないのですが、国民の多くが信じている(あるいは信じていた)「通念」です。
一つ目の問題は、日本社会は「単線型社会」であり、標準型に乗らないと負け組になると考えられていたことです。日本社会の問題の二つ目は、「外部に冷たいムラ社会」ということです。 三つ目は、「仕事優先社会」「会社優先社」だということです。

再チャレンジ政策に取り組んだころは、その背景にある単線型社会、外部に冷たいムラ社会、会社優先社会という「この国のかたち」を変えることは、とてもできることとは思えませんでした。ところが私の予想に反し、この20年間に社会は大きく変わりました。
一つ目の単線型社会については、転職が増え、中途採用も普通になりました。 二つ目の外部に冷たいムラ社会については、疑似ムラであった会社が、従業員の家族を含めて面倒を見ることができなくなりました。三つ目の仕事・会社優先社会も、急激に変化しました。それを崩したのは男女共同参画の進展だと、私は考えています。
男女共同参画も働き方改革も、政府が方向性を示し、法律をつくったりして誘導しました。それは国民の意識改革を後押しする効果がありましたが、何といってもその原動力になったのは、女性の社会進出です。働く女性が増え、男社会の昭和の職場が変化せざるを得なくなったのです。

憲法には男女同権が定められましたが、半世紀の間、実態は変わらず、この20年間に急速に進みました。これは驚異的なことです。
「夫は会社、妻は家庭」という「この国のかたち」を崩したのは、政治の力や指導者層というよりは、国民、特に女性の行動であったように見えます。社会の指導者層は単線型社会での勝者であり、ムラ社会を取り仕切る側であり、仕事優先社会の代表であり、何より男性でした。そのように見ると、これは「男性支配」「男社会」を崩した「革命」なのです。

コンビニの存在

2026年8月27日   岡本全勝

8月9日の朝日新聞「コンビニと:1」「人々の暮らし 社会のニーズ映す鏡、変幻自在」から。
・・・米国を起源とするコンビニエンスストアが日本で誕生してから半世紀余り。全国に約5万6千店を数える現在、その機能は物販にとどまらない。コンビニとはいかなる存在か。建築、ファッションなどの視点から、全5回で考える。

コンビニジャーナリストとして長く業界を見つめてきた吉岡秀子さんは「コンビニは日本社会を映す鏡」だと語る。
セブン―イレブンを率いた鈴木氏は、顧客目線や変化対応を提唱した。吉岡さんによると、「小さな商店主の集まりであるコンビニでは、地域や時代ごとの細かなニーズが、商品ラインアップや機能の拡充といった形で反映されてきた」。

経済成長下の1970~80年代、黎明期のコンビニが提供したのは「時間」という価値だった。長時間労働が広がる中、深夜まで営業するコンビニは働く人に重宝され、社会に定着していく。
バブル崩壊後は、各社は「質」の追求にかじを切る。セブン&アイのプライベートブランド「セブンプレミアム」のように、価格を抑えながらも高品質な商品が人気を集める一方、店舗はATMやコピー機、宅配の窓口など生活を便利にするサービスを次々に実装。2000年代以降、自治体と包括連携協定を結ぶ動きも広がり、社会インフラ化した。
11年の東日本大震災ではライフラインとしての機能に注目が集まり、近年は、こども食堂の支援や過疎地への出店といった地域社会の課題をビジネスチャンスと捉える動きが加速している。

公的な性格を強める背景には、ドラッグストアやホームセンターといった競合との競争激化もある。ただ吉岡さんは、その社会的責任の範囲を考え直す段階に来ているのではないかと指摘する。
「大型スーパーとの差別化を目指して登場したコンビニは、今や縮小する街や行政の機能の多くを肩代わりし、人々の『居場所』にもなる存在へと変化した。ただし過剰な期待はオーナーや従業員ら現場の負担にもなりかねない。何をどこまで任せるべきか、改めて考える必要がある」

ではこの半世紀、コンビニの「便利さ」は、人々の生活感覚にどんな変化をもたらしたのか。
不便益システム研究所代表で、京都先端科学大学の川上浩司教授(システム工学)は、「食の外部化」が与えた影響を次のように説明する。
「かつてコンビニ弁当やおにぎりは、あくまで自炊を補う手段として存在した。だが今は選択肢が反転し、出来合いの弁当や総菜がデフォルト(規定値)という人も少なくない」
最近、学生が初めて自炊した時の感動を語るのを聞いて驚いたという。
「コンビニ弁当が当たり前だったから、自炊の価値に気づく機会も与えられなかった、と。便利さがデフォルト化すると、手間のかかる他の手段や価値は不可視化されていく。コンビニがなかったらと想像することすら難しい時代を、私たちは生きているのかもしれません」・・・

連載「公共を創る」を本にすると2

2026年8月26日   岡本全勝

「連載「公共を創る」を本にすると」の続きです。
連載が完結したら、本にしたいなとは思っているのですが、まだまだ先のことです。そして、本にするには、分量を10分の1以下にしなければなりません。分冊にする方法もありますが、誰も読んでくれないでしょう。

それよりも、現在の「これまでの議論の振り返り」を書くに際して、過去の記事を眺めて、何を書いたか、どのように振り返るかを考えなければなりません。単純な要約なら人工知能でもできます(人工知能に要約させたらどんな文章になるのか、見てみたい気もします。怖いもの見たさ)。
「時代は進む」で、次のように書きました。
・・・「公共を創る」も、書き続けているうちに、内容や主張に変化を加えなければならなくなりました。今、これまでの議論を振り返り要約しているのですが、構成なども変える必要があるなあと考えています・・・
この夏の間に、このようなことを考えていました。

「連載「公共を創る」を本にすると」で、「様々な内容に言及したので、こんなことになったのでしょう」と書きました。ただし、気の向くまま好きなことを書いたのではありません。連載を始めるに当たって、主旨と構成をつくり、それに沿って書き進めました。

「執筆の趣旨」
なぜ、いま、公共を考えるか。それは、次のような理由です。
1 日本が、大きな転換期にあること。
2 公私の区分が、揺らいでいること。
3 その結果、行政(中央省庁と地方自治体)も、取り組むべき課題と手法の転換を迫られています。
これからの行政のあり方を考えるために、広く公共の中で行政を考えます。

「全体の構成」
第1章 大震災の復興で考えたこと
1 想定外が起きたー政府の役割を考える、2 町を再建するーまちとは何か、3 哲学が変わったー成長から成熟へ
第2章 暮らしを支える社会の要素
1 公私二元論から官共業三元論へ、2 社会的共通資本
第3章 日本は大転換期
1 成長から成熟へ、2 成熟社会の生き方は
第4章 政府の役割再考
1 社会の課題の変化、2 社会と政府、3 政府の役割の再定義

執筆はこの構成を外れていないのですが、それぞれの章や項の中が膨れ上がったのです。特に第4章2は53回、第4章3は官僚について書いたので102回にもなってしまいました。私の関心の中心はこれからの行政のあり方なのですが、行政の役割が変わったこと、変わるべきことを考えるためには、広く社会の変化を考える必要があるのです。それが、本稿のミソなのですが、それ故に考察が広がりました。

都心のカラス、25年で8割減

2026年8月26日   岡本全勝

8月8日の日経新聞に「都心のカラス、25年で8割減 野鳥の生態系にも変化」が載っていました。
・・・かつて社会問題化するほどいた東京都心部のカラスがこの25年で8割以上減り、スズメの存在感が増している。全国では急減している野鳥も少なくなく、生態系が変わってきた・・・

民間の研究会が都心3か所で実施した調査では、カラスの数は一番多かった2000年に比べ、2025年では84%減ったとのこと。東京都による40か所での定点調査でも8割減です。理由は、生ゴミの管理が徹底され、食べ物が減ったことだそうです。

確かに、我が家の周りでも、減ったと思います。しかし、まだ残党がいて、電柱の上で鳴いています。餌になる生ゴミがあるということですね。