年別アーカイブ:2026年

ネクタイ、8割減

2026年6月25日   岡本全勝

6月19日の読売新聞夕刊に「ネクタイ苦境、クールビズやコロナでノータイ定着し需要激減」が載っていました。革靴は6割減、スーツは3割減とのこと。

・・・6月の「父の日」で贈り物の定番だったネクタイ。クールビズの定着やコロナ禍などで需要が落ち込み、流通量はバブル期から8割も減少するなどし、その座を追われつつある。苦境を克服しようと、新たな商品の製造に乗り出す生産者も相次いでいる。

ネクタイ製造業者らでつくる「東京ネクタイ協同組合」によれば、国内流通量はピークの1991年には5645万本に達した。だが、2000年代以降、夏場のクールビズが進み、米アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏のようなカジュアルな服装が注目されるようになった。さらに20年からのコロナ禍で在宅勤務が広がったことも重なり、22年の流通量は1107万本まで急減した。
同組合の和田匡生理事長(68)は「最近の猛暑で夏場のノータイが定着し、父の日のプレゼントに選ばれることが減った」と嘆く。

一般社団法人「日本皮革産業連合会」(東京)のまとめでは、2024年の革靴の生産数量は765万足で、この15年間で6割近くも落ち込んだ。また、帝国データバンクによると、25年度の紳士服大手7社のスーツ事業の売上高は計3386億円と、17年度(4697億円)から3割ほど減少した。
市場調査会社「矢野経済研究所」(同)の調査では、靴分野ではスニーカーやスポーツシューズなどの需要は堅調だといい、同研究所は「機能性や快適性を重視する消費傾向が定着している」とみている・・・

人工知能で見えてくる仕事の意義

2026年6月24日   岡本全勝

人工知能、私は使っていないのですが、使っている人の話を聞くと、便利なようです。「××のような文章を作ってくれ」と入力すると、それなりの文章を作ってくれます。不足している部分について、再度指示を出すとよくなります。数回繰り返すとよい文章になります。「壁打ちを繰り返す」と表現するそうです。
本人の頭にはぼやっとした考えしかないのですが、機械と対話することでよい文章ができます。もちろん、機械が作った文章を見て、欠けている点を見つけ、追加の指示を出すことと、最後にこれでよいと判断する能力は必要です。

過去の資料や文章を踏まえて文章を作成するのには、人工知能は向いているようです。過去の文章をたくさん読み込ませ、そこから文章を作る(抽出する)機能を発達させたのですから。

では、人工知能は社員や職員に入れ替わるのか。私は、あくまで補助道具だと考えています。その理由は次の通り。
1 先に書いたように、人工知能が作った文章や資料を見て、欠けている点を指摘し、完成かどうかを判断しなければなりません。それは、人間がするのでしょう。
2 まず、作業を機械に発注する人が必要です。それは、人がするのでしょう。完成品を検査するのは、発注者である人です。
3 採用されたばかりの社員が、文章を発注し完成品を検査することができるか。できません。私たちは、職場で経験を積んで、良い内容の良い文章をつくることを覚えます。
4 すると、駆け出しの社員がやっている仕事は、上司に指示された内容のものを作る(成果を出す)こととともに、自らの技能を磨いているのです。オンザジョブトレーニングです。一定の能力を備えた社員でないと、人工知能は使えないのです。
5 もう一つ、人工知能の弱点は、新しい政策の検討、これまでにない問題への対応でしょう。機械は、定例的なもの、前例があるものについては強いのですが、新しい発想は組み込まれていないようです。ただし、人工知能は嘘もつくので、適当な案は出すのでしょう。

職場に居場所ある人が減少

2026年6月24日   岡本全勝

6月9日の日経新聞に「職場に居場所ありますか 「ある」と言える人、10年で5割に減少」が載っていました。

・・・職場に「居場所がある」と言える人が減っている。背景には雇用の流動化に加えて、働き方やコミュニケーション手段などの変化がある。孤独感が強まると、退職にもつながりかねない。働く人の気持ちが職場から離れたままでは、幸福度だけでなく、生産性が低下する懸念もある。

インディードリクルートパートナーズリサーチセンターが全国の15〜64歳の就業者を対象に実施した調査によると、「職場に自分の居場所がある」との回答が2024年に54.9%と13年比11.3ポイント低下した。年代別では30〜50代の働き盛り世代の落ち込みが目立つ。テレワークなどの広がりで、対面での会話や雑談が減っている会社員もいる。
「日本の会社員は上司や同僚など周囲から必要とされ、役立っている実感を求める傾向がある」。筑波大学の中村准子・准教授は指摘する。「職場に理解しあえる人がいる」「職場で私はあてにされている」と感じられない社員の心理状態は、孤独感が強まっているかどうかの尺度になるという。

職場に居場所がなく孤独感を強める社員が増えることは、企業の経営に影響を与える。パーソルキャリア「Job総研」の調査では、孤独を感じたことのある人のうち、約2割が退職していた。
オランダの人材サービス大手ランスタッドが主要35カ国で実施した労働者約3万人を対象にした25年調査では「職場をコミュニティとして感じたい」割合は世界平均83%に対し、日本は57%と24年比17ポイント低下した。社員の気持ちが職場から離れる背景には、「心理的安全性の低さも無視できない」(担当者)・・・

・・・JTBコミュニケーションデザイン(東京・港)のワーク・モチベーション研究所と筑波大学の中村准子・准教授の共同調査は、職場での「居場所感」が働きがいを示す「ワークエンゲージメント」と相関していると指摘している。例えば居場所感を構成する「役割感」が高いと「自分の存在価値を認識し、もっと頑張ろうと活力が湧く」(中村准教授)。

家庭や職場に次ぐサードプレイス(第三の居場所)があるのか。マイナビが2025年11月に実施した調査では、20〜59歳の正社員でサードプレイスがある人は48%に達した。具体的には飲食店や温泉・銭湯、車・バイクに乗ることが多かった。ある人の方が、ない人より仕事・私生活どちらも満足している割合が12.5ポイント高い。居場所は大切にしたい・・・

福島民報新聞に載りました

2026年6月23日   岡本全勝

6月21日の福島民報新聞に、私の発言「「基本法」制定を提案」が載りました。私が主張したのは、次のようなことです。

・地震津波災害と原発事故災害では復興の国の責任の在り方で大きく異なる。国の立場は、自然災害では「支援」だが、原発事故については「責任を果たす」ということ。
・津波被災地の経験もあって、すぐに大きなインフラを整備する手法を見直し、人が戻る場所に徐々に戻すという方式を採用した。例えば復興拠点。全域避難した自治体が持続的な発展を成し遂げるには、人や賑わいの戻りを見極めながら時間をかけて施策を進めなくてはいけなかった。
・今後の復興庁のあり方として、原子力災害対策本部、経済産業省の被災者支援チームなども一体となった組織とし、原発事故復興に力を入れる態勢が望ましい。
・避難指示を解除できない地域がある上、廃炉作業完了の見通しは立たない中、「東電福島第1原発事故復興基本法」の制定を提案したい。原発事故の収束と復興についての東電と政府の責任の明記、行うべき作業の全体像と計画の作成、予算と財源の措置などを法で定めることが必要と考える。それによって、地元を安心させてほしい。

コンサルのち、すし職人

2026年6月23日   岡本全勝

6月7日の朝日新聞に「コンサルのち、すし職人 AI時代、現場で働く」が載っていました。

・・・東京・銀座にある高級すし店「はっこく」。ひのき板で作られた三つのカウンターの一つを任されているのは、駆け出しのすし職人、深澤宏樹さん(30)だ。
慶應義塾大学を卒業後、米大手コンサルティング会社のアクセンチュアに入り、日本法人でテクノロジーを担当。港区のオフィスでIT戦略や経営戦略を語っていた。順調なキャリアに見えるが、物足りなさを感じるようになった。「ITやテクノロジーを分析する分野では世界に自分より優れた人がたくさんいる。自分の強みは何だろう、と考えるようになったんです」

学生時代にアルバイトをした時、海外の観光客にとってすしのブランド力が圧倒的だったことを思い出し、「海外ですし屋をやってみたい」という新しい目標ができた。会社勤めをしながら、すし職人養成の専門学校「東京すしアカデミー」に通った。
アカデミーの福江誠校長(58)によると、コロナ後、社長や、ITやコンサル企業に勤める会社員など、いわゆるホワイトカラー層の受講が一気に増えたという。その背景について、福江校長は「技術を身につけることが魅力的な『生存戦略』に見えるのでしょう」と語る。
5800人の卒業生のうち、およそ1割が海外で開業したり、就職したりした。「欧米の一流店で働くと年収は約2千万円に達するケースもある」と福江校長は話す・・・

・・・AIの普及で働き方はどう変わるのか。「ホワイトカラー消滅」(NHK出版新書)の著者で日本共創プラットフォーム(JPiX)会長の冨山和彦さんに聞いた。

短期的には、AIの浸透でプログラマーや総務や営業などの仕事が削られるだろう。会計士や弁護士であっても、過去の判例や学説を探すような2次情報の検索・分析はAIの独壇場になる。「中間管理職」も、AIと競合するため非常に厳しい立場に立たされる。
生き残っていける働き手には、大きく分けて二つのタイプがある。
一つは、AIを「スーパー部下」として使いこなし、プロンプト(指示)を出してグローバルな判断、的確な意思決定ができる一握りの「優秀なボス」。もう一つは、現場で自らの身体と感情、技能を使って「1次情報」を取りに行くブルーカラー的な働き手だ。人手不足なので、すでに建設現場の高度な重機オペレーターや高所作業員などは、年収1千万円を超える業種もある。
今後はエッセンシャル産業やブルーカラーとホワイトカラーの中間領域の仕事で特殊な資格、技術を持つ人びとが新たな「中産階級」を形成していくだろう。対人サービスや現場労働の集約型産業に富が集まってくる。歴史の必然とも言える。
大企業の歯車として誰に感謝されているか分からない内勤仕事より、目の前のお客さんの役に立ち、直接「ありがとう」と言われる対人労働の方が、仕事としての充実感は圧倒的に高い。人間がやるべき仕事の本質をもう一度見つめ直す、良い機会になるだろう・・・