現代の技術は、米国が革新し、中国が模倣し、欧州が規制する

12月20日の日経新聞ファイナンシャルタイムズからの転載、ジョン・ソーンヒル氏の「欧州のAI法、革新を阻害」から。

・・・現代の技術は大抵、米国が革新し、中国が模倣し、欧州が規制するという構図になっている。人工知能(AI)では間違いなく、そうなりつつあるようにみえる。

何カ月もの激しいロビー活動と40時間近い夜通しの交渉の末に、欧州連合(EU)の疲れ果てた政策立案者は8日夜、AIを包括的に規制する「AI法」について大筋合意に達した。そして、大きな変革をもたらすAI技術を規定する世界で最も包括的な法案だと賞賛した・・・だが、大西洋の向こう側からは、AI法をあざ笑う声が聞こえてきた・・・

情報通信技術が急速に進化し、便利になり経済を活性化する反面で、多くの災いも生んでいます。どのように規制するか。難しい問題です。しかし、遅れると被害が拡大します。
他方で、この記事が指摘するように、技術開発と規制は、各国の競争とも関係します。規制しすぎると、緩やかな国に負けてしまう恐れもあるのです。
この記事の冒頭には、日本は出てきませんが、どのように進めるのでしょうか。

冬も元気な肝冷斎の各地調査

毎日、古典漢文を解説している肝冷斎。野球観戦がない冬場は、各地の調査に精を出しているようです。
普通の人が行く観光地ではなく、玄人好みの場所が多いです。しかも、詳しい解説付です。これは、勉強になります。
年末には、八丈島まで行っています。さて、この3連休は、どこに行っているのでしょうか。

子育て支援、施設整備からきめ細かな支援へ

12月16日の日経新聞「データで読む地域再生」は「子育て支援 ソフト磨く」でした。
・・・少子化が加速するなか、子育て支援の充実で「選ばれるまち」をめざす自治体が広がる。保育施設などハード整備には一定のメドがつき、出産・子育て世帯の要望にきめ細かく応えるソフト施策を重視する動きが目立つ。日本経済新聞社と日経BPの情報サイト「日経xwoman」が主要都市のサービス内容などを調査・採点したところ、2023年は千葉県松戸市が2年ぶりにトップとなった・・・

・・・松戸市は妊産婦向け支援や保育の質など多くの項目で高得点だった。親子で遊んだり、専門知識のある職員と話したりできる「おやこDE広場」などの整備が代表的な取り組み。孤立しがちな妊産婦も気軽に訪れて様々な悩みを相談できる。駅周辺などに28カ所展開する。
保育所などを利用していない2歳未満の子どもがいる家庭や妊婦を対象に家事支援サービスも8月に始めた。ヘルパーが家庭を訪ねて家事などを支援すると同時に育児の相談にも応じる。児童1人につき年40時間を上限に1時間500円で利用できる・・・

詳しくは記事を読んでいただくとして。
困っている人への支援は、金銭支援、施設サービス、介助などの支援、話を聞くなどがあります。これまでは、金銭支援と施設サービスが主でした。これらは「定型的」な支援です。
そして、行政側からの「提供」とともに、困っている人の「声を聞いて対応する」ことが重要でしょう。すると、施設サービスだけでは対応できないことが見えてきます。
自治体が、国の決めた行政サービスを実施するだけでなく、住民の声を聞いて課題を拾い上げる。自治体の機能が発揮されているということです。

スマートフォンの多様な副作用

40肩顛末記」の続きです。
40肩にしろぎっくり腰にしろ、運動不足と同じ姿勢を長時間続けることが原因の一つだと言われています。電車の中で、スマートフォンに熱中している人がいます。猫背になって、目を近づけ、その姿勢を長く保っています。この人たちも、40肩やぎっくり腰の予備軍ですね。

私はスマホを「猫背・近眼製造器」「脳力低下装置」「時間泥棒」「周りが見えない人製造器」「気配り破壊器」と呼んでいますが、「将来のぎっくり腰・40肩製造機」も付け加えましょう。

スマートフォンは、子どもたちにとって有害であることが報告されています。分別ある大人への悪影響とは違い、笑い話ではないので、ここには含めないでおきましょう。

若い女性の地方からの流出

12月14日の日経新聞夕刊に「ジェンダー平等へ動く地方 若い女性の流出に危機感強く」が載っていました。
・・・若い女性の流出をどうすれば止められるのか―。地方がその解決の糸口としてジェンダーギャップ解消に乗り出している。伝統的な価値観が色濃く残り、女性に魅力的な仕事の少ないところもある。ただ現状に甘んじていては男女の人口比は崩れて未婚率が高まり、人口減は加速する。地元企業や地域住民を巻き込んだ試行錯誤が始まった・・・
詳しくは記事を読んでください。

地方から東京への人口移動が止まりません。大きな原因は、大学に進学したり就職したりした若者が戻ってこないことです。特に女性が戻ってこないのです。
10年近く前に地方の方と話していて、消防団員の減少が話題になりました。私が「この時代、男性だけでなく、女性にも声をかけないといけませんよ。どの程度、女性団員がいますか」と聞いたら、あきれられました。「岡本さん、若い女性は戻ってこないので、声をかけようにも地域には一人もいないのです」とのことでした。

男性に比べて女性の若手流失率が多い都道府県の数値が載っています。北陸、北海道、北関東などが、女性の流出が多いようです。
住みやすさ指標で高い順位の県で、なぜ女性の流出が多いか。この問題に詳しい天野馨南子さんに聞いたら、「そこに住むのがいやな人が出ていき、住みたい人が残っているので、住んでいる人を調査すると「住みたい人」が高くなる」という趣旨のことを教えてもらいました。納得。
この件については、また日を改めて議論しましょう。