年別アーカイブ:2022年

連載「公共を創る」目次5

2022年10月2日   岡本全勝

「目次4」から続く。「目次1」「目次2」「目次3
全体の構成」「執筆の趣旨」『地方行政』「日誌のページへ

第4章 政府の役割再考
2 社会と政府
(3)社会をよくする手法
10月6日 131社会と政府ー政府の「大きさ」をめぐる論点
10月13日 132社会と政府ー政府による市場経済への介入手法
10月27日 133社会と政府ー市場経済への介入手法ーその特徴的な事例
11月10日 134社会と政府ー政府の社会への介入─その新たな動き・手法
11月17日 135社会と政府ー「大きな政府」から「小さな政府」へー行政改革
12月1日 136社会と政府ー行政改革の分類ー目的別・効果別の歴史
12月8日 137社会と政府ー「小さな政府」「官の役割変更」ー行政改革の分類
12月15日 138社会と政府ーガバナンス改革─行政改革の分類
(2023年)
1月12日 139社会と政府ー行革を巡る近年の動き
1月19日 140社会と政府ー政治主導を巡る近年の状況
1月26日 141社会と政府ー近年の行政改革における問題点
2月2日 142社会と政府ー行政改革から社会改革へ
2月9日 143社会と政府ー「新しい課題」への対処法
3月2日 144社会と政府ー政策を体系的に示す─内閣・府省・自治体
3月9日 145社会と政府ー「新しい課題に対する新しい行政手法」とは?
3月16日 146社会と政府ーサービス提供における官民関係の変遷
4月6日 147社会と政府ー「新しい行政手法」─その特徴と課題
4月13日 148社会と政府ー「新しい行政手法」─NPOとの関係
5月11日 149社会と政府ー対立軸の変化
5月18日 150社会と政府ー現代日本の新しい対立軸
目次6」へ続く

連載「公共を創る」執筆状況

2022年10月2日   岡本全勝

恒例の、連載原稿執筆状況報告です。8月末に書いたように、第4章2(2)「政府の社会への介入」が思いのほか長くなったので、後半を(3)「社会をよくする手法」として独立させることにしました。

(2)が9月29日で終わり、10月6日から(3)が始まります。それで、目次のページを新しくしました。
このあと、(3)の中をどのような構成にするか、いろいろと悩んでいるのですが。原稿を書いていくうちに整理できるだろうと、見切り発車しました。行政手法については、行政学の教科書にも詳しく載っていないのです。
右筆の意見と加筆のおかげで、原稿は10月13日号までゲラになっています。

縮む日本経済、30年前に戻る

2022年10月2日   岡本全勝

9月19日の日経新聞1面は「止まらぬ円安 縮む日本 ドル建てGDP、30年ぶり4兆ドル割れ」でした。

ドル建てでみた日本が縮んでいる。1ドル=140円換算なら2022年の名目国内総生産(GDP)は30年ぶりに4兆ドル(約560兆円)を下回り、4位のドイツとほぼ並ぶ見込み。ドル建ての日経平均株価は今年2割安に沈む。賃金も30年前に逆戻りし、日本の購買力や人材吸引力を低下させている。付加価値の高い産業を基盤に、賃金が上がり通貨も強い経済構造への転換が急務だ。
経済協力開発機構(OECD)によると日本の今年の名目GDPは553兆円の見込み。1ドル=140円でドル換算すると3.9兆ドルと1992年以来、30年ぶりに4兆ドルを下回る計算だ。現時点での期中平均は127円程度だが、円安が進んだり定着したりすると今年や来年の4兆ドル割れの可能性が高まる。

ドルでみた経済規模はバブル経済崩壊直後に戻ったことを示す。世界のGDPはその間、4倍になっており、15%を上回っていた日本のシェアは4%弱に縮む。12年には6兆ドル超とドイツに比べ8割大きかったが、足元で並びつつある。

1ドル=140円なら平均賃金は年3万ドルと90年ごろに戻る計算だ。外国人労働者にとって日本で働く魅力は低下している。今年の対ドルの下落率は円が韓国ウォンを上回り、ドル建ての平均賃金は韓国とほぼ並ぶ。11年には2倍の開きがあった。物価差を加味した購買力平価ベースでは逆転済みだが、市場レートでも並ぶ。

尚絅学院大学、公共社会学フォーラム出演

2022年10月1日   岡本全勝

今日は、尚絅学院大学の公共社会学フォーラム「震災復興と公共社会学」で基調講演をするために、仙台に行ってきました。
題は「震災復興と公共社会学」です。尚絅学院大学では、公共社会学専攻の大学院設置を予定しています。その一環として「続フォーラム(全3回)を開催するのですが、第1回目が今日でした。

先日も書いたように、長谷川公一先生が勧進元になっておられます。
私はかねがね、社会学が欧米の理論の輸入や「説明の学」にとどまっていることに不満を感じていました。最近では、格差、非正規雇用、子どもの貧困、若年介護者、孤独と孤立などなど実社会の問題を取り上げる研究「実用の学」が増えていることは喜ばしいことです。公共社会学は、まさにそれです。応援の意味を込めて、話をしてきました。

国会の役割、審議

2022年10月1日   岡本全勝

9月17日の朝日新聞オピニオン欄「形骸化する国会審議」、野中尚人・学習院大学教授の「多様な意見、討論してこそ」から。

いまの与党、具体的には自民党の事前審査制度は、日本政治の大きな問題です。
法案が国会提出される前に、細かく各省庁と自民党が調整し、細部まで法案を固めます。ほとんどの場合、審議スケジュールをめぐる野党による抵抗はあっても、その法案が最終的には修正されずに可決、成立します。それが、国会、特に与党による討論を不活発にしている要因だと指摘されてきました。
そもそも、国会、議会とは何でしょう。ほかの組織とは異なる議会の本質的な特徴とは何なのでしょうか。
例えば「話し合いをする」という機能を持つ場は他にもありますが、議論をした上で、社会の全構成員を拘束するルール、つまり法をつくるのが議会です。さらに、そのプロセスで、意見の異なる人が同じ場所で公開のディベート、討論をすることが決定的に重要だとされています。

1955年の保守合同で自民党が誕生し、55年体制が成立して以降の国会では、与野党によるこうした討論が実質的に行われていません。国会は与野党ではなく、政府と野党が対決する場になっています。政府を代表する閣僚は、関係部局と調整した答弁をしますが、与党は法案を固めた後は、中身について国会では消極的な役割しか果たしません。日本の国会は、与野党の討論や熟議ではなく、政府が悪いことをしないかと野党が監視する場になっています。

自民党の政治家から聞き取りをしたり、逆に声をかけられて事前審査の何が問題なのかを説明したりといった機会がありました。異口同音に言われたのは「事前審査なしでは、とても国会を運営できない」ということです。
決してそのようなことはないと思います。ヨーロッパでも議会内で、超党派で行う立法前審査の制度があります。しかし民主主義国では、政府が提出する前の段階で完全に結論を出すような形で与党が審議をすることは、日本以外では実例が見つかりません。
特定の政党が長く与党になっている国でも、議会制民主主義国では事前審査のような制度はありません。政権交代を経ても日本で残っているのはなぜでしょう。55年体制成立前、早くも明治時代末期から、議会といった公的な場ではなく、直接政権などに要望を伝えたり、影響力を行使したりするのが与党の役得だと考えられてきた歴史もその背景にありそうです。

厳しい課題に直面するであろうこれからの日本政治では、時には厳しい決定が求められるでしょう。試練を乗り切る合意を形成するためには、多様な意見を持つ国民の代表が討論と熟議を行う国会への転換が欠かせません。そのためには事前審査の見直しが避けて通れないでしょう。