参加型のオンライン授業

7月2日別刷りbeの「フロントランナー」、星友啓・スタンフォード大学オンラインハイスクール校長の発言「オンラインで学びを変える」から。

・・・米国の高校ランキングでトップ進学校に選ばれたこともあるスタンフォード大学オンラインハイスクールで、2016年から校長を務める。06年に開校し、世界40カ国ほどの中学1年~高校3年の生徒、約900人が学ぶ。3カ月に1回ほど、生徒らが対面で交流するイベントがある他は、原則オンラインで授業や課外活動を行っている。
慶応大学では講義の後も、学生たちと意見を交わした。柔和な表情で接する姿が印象的だ。「うちには仏頂面の先生はいません。オンラインだと、大げさに笑わないと伝わらないんです」・・・

・・・だが、立ち上げ期は苦難の連続だった。一般的にオンライン教育は受け身になりがちで修了率が低い上、生徒の社会性や情操を育むのには向かないのではと保護者から懐疑的な声も出た。
これらを解消すべく、心理学や脳科学の知見も採り入れ、従来の教育の「常識」を取り払った。教員が大人数に一方的に教える「授業」をなくし、予習をしてきた生徒が少人数でディスカッションや演習を行い、教員は生徒の学びと発話を促す「反転授業」を採用。生徒の積極性や社会性を高める工夫をこらした。更に、生徒1人につき3人の職員を配置し、心のケアや進路指導、学習支援にあたるようにした。年齢に応じた学年や画一的なカリキュラムはなく、生徒は関心や学習到達度に応じて学ぶ内容を決められる。
「オンラインでも良い教育は可能だと示せた。今後は能力や年齢、収入や地域を問わず幅広い人に質の高いオンライン教育を提供していきたい」。未来の教育の姿を、模索し続けている・・・

7月の3連休

7月半ばの3連休、皆さんはいかがお過ごしですか。
せっかくの休みなのに、天気がすっきりしませんね。先週から各地で大気の状態が不安定になり、大雨が降っているところ、雨が続いているところがあります。
「今年は梅雨が短かった。すぐに真夏になった」と思っていたら、その後に梅雨のような天候が続いています。楽しみにしている子どもたちも、観光業者も残念ですね。ビールとアイスクリームの売り上げが伸びないでしょう。
私も、いくつか外出を断念。まあ、その分、原稿執筆が進むのですが。肝冷斎は、屋根の下で楽しんでいるようです。

新型コロナウイルス感染拡大も、この春は収まっていたのに、この2週間ほどで爆発的に増えています。私の知人にも、感染した人がいます。気をつけていたようですが、どこかでもらったようです。「症状が軽かったので、助かった」とのことが、救いです。

知人から、きれいに咲いたアサガオの写真が送られてきました。お向かいのオニユリも、鮮やかな花を咲かせています。わが家のプランターのアサガオはまだ小さく、蔓がどんどん伸びています。上にばかり行かないように、支柱の枠に横に這わすのが日課です。

ゴルバチョフ大統領の役割

6月23日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」亀山郁夫・名古屋外国語大学学長の「教養なくして人動かず」から。亀山さんはロシア文学者です。

――現代において外国語を学ぶ意義を教えてください。
「私たちが判断に迷わず、嘘か真実かを見分ける能力を身に付けるためにも、外国語・外国文化の学びは不可欠です。将来的には英語に加えてもう一言語という能力が求められると思います。どれほどの高性能の自動翻訳機も、胸の中の外国語ほどの価値はありません。自動翻訳機では文化を知ることができないからです。文化を知るとは、歴史を知り、歴史の根底に潜むメンタリティーのコアを把握することです。言語を学ぶことなしには絶対に理解できない精神性、異なるメンタリティーというものがあるのです」

「世界は単一的なグローバル化の流れの中で順調に進んでいるように見えるが、それとは関係ない個々のうめきが世界中にあふれていることを知らなければいけません。それを知るのが外国語学です。日本に何十万人という学生がいるなら、何百人かは、一人ひとりがひとつの国の運命を見守っていくことが必要じゃないでしょうか。私がロシアを見守るなら、ある学生はカンボジアかもしれない。それが全部アメリカと英語の勉強で終わってしまうのは悲しむべきことです」

――ロシアの歴史上の人物で、模範となるリーダーはいますか。
「ゴルバチョフ元ソ連大統領です。彼には国民の良識を信じるオプチミズムがあった。ゴルバチョフはソ連を崩壊させましたが、本当はその役割は他の人に任せて、その後の国づくりのところで登場すべきだった。彼はヨーロッパの家という思想を持っていて、ヨーロッパの中にあるべきロシアを位置づけしようとしていた。そうすれば歴史はいまと違っていたかもしれません」

強い自民が、知事選分裂を誘う

7月12日の日経新聞に、斉藤徹弥・編集委員の「強い自民、知事選分裂誘う」が載っていました。今回の参議院選挙の結果を受けたものですが、それが知事選挙に与える影響です。このような分析もあるのですね。目の付け所が違います。

・・・参院選は自民党の地方基盤の強さを浮き彫りにした。ただその強さは自民党の地方組織に野党を気にすることなく権力闘争に走りやすい環境をもたらす。統一地方選が控える2023年にかけて各地で相次ぐ知事選は、自民分裂の激しい選挙が増えそうだ・・・
・・・今後しばらく国政選挙がないとみられることから、自民党内の関心は県議を中心とした地方組織の権力闘争に向く可能性が大きい。その舞台になるのが知事選だ・・・負けた県連はもちろん、勝った県連でも知事選に向けて県議の主導権争いが激しくなりやすい・・・

・・・地方政治に詳しい東北大学の河村和徳准教授によると、自民党の県議はもともと分裂傾向にある。理由の一つが県内の地域格差だ。地方では人口の県都集中が進む。都市部の県議は無党派を重視する傾向を強め、古くからの自民党支持層の多い郡部の県議と対立しがちになる。
小選挙区の定着で県議から国政への道が狭まったことも背景にある。当選回数を重ねるベテラン県議が増え、若手県議は不満を抱きやすい。県連運営の主導権を狙い、県連執行部とは別の知事候補を担ぐ例も目立つ・・・無風の国政選挙は激しい知事選のゆりかごである・・・

連載「公共を創る」第123回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第123回「政治参加の現状─主権者教育と地方自治」が、発行されました。国民の政府や政治に対する意識を議論しています。

民主主義国家における国民は、政府や政治に関して、政府を「信頼や失望」で評価する受動的な意識とともに、自分たちの意見を提案するなど政府を支え、必要に応じて変えていくという能動的な意識も持つことができます。ところが、日本では政治参加の意識が低く、行動も少ないのです。どのようにすれば、政治参加を増やすことができるか。
その一つが学校教育ですが、学校では民主主義の制度は学びますが、「政治的中立性」の名の下に、政治には深く立ち入らないようです。

もう一つは、地方自治です。「地方自治は民主主義の学校」とは、イギリスの政治家ジェームズ・ブライスの言葉です。その元となったのは、フランスの政治思想家アレクシ・ド・トクヴィルの『アメリカのデモクラシー』です。彼は、民主主義の三つの学校を指摘しています。自由の小学校としての地方自治、法的精神の学校としての陪審(裁判参加)、共同精神の学校としてのアソシアシオン(結社)です。