連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第109回「倫理や慣習への介入」が、発行されました。
前回から、政府の役割として「この国のかたちの設定」を説明しています。今回は、差別禁止の次に、倫理や慣習への介入を取り上げます。
社会倫理を定める例として、生命倫理(何を持って死とするか、尊厳死を認めるか)、風俗の罪(わいせつや賭博)を挙げます。他方で、憲法が定めていながら、政府が積極的に行動していないこととして、第27条第1項の労働の義務があります。
これらが突然出てくることに、皆さん違和感を持つでしょう。ふだん社会倫理は議論されず、議論する仕組みがないのです。
政府の社会慣習への介入例として、公共の場での喫煙禁止、夏の軽装(クールビズ)があります。電車の駅での整列乗車やエスカレーターの片側空けは、政府でなく会社が呼びかけたものです。エスカレーターの作法は、現在では2列で立ち止まって乗るように誘導されています。