在宅勤務やインターネット検索では出てこない企画案

4月20日の日経新聞夕刊「Bizワザ」は、「企画案が浮かぶ思考整理法」でした。

・・・企画・アイデアを提案したいのに、考えがまとまらないときがあるだろう。リモートワークで出会いや雑談が減り、ヒントも得にくい。そんなとき一定の手順に沿って思考を整理し、新たな発想につなげる手法が知られている・・・
・・・連想ゲームのようにマス目を埋めながら考えを整理していく「マンダラート」は気軽に取り組める代表的なもの。まずは縦横3マスずつ、計9マスからなる表を用意する。中心のマスに何かキーワードを書き込み、そこから連想される言葉で周囲の8マスを埋めていく。さらにその8マスの言葉を別の9マスのそれぞれの中心に転記し、再びそこから連想を展開する・・・
図も載っています。

出社するのと在宅勤務とは何が違うか。新規事業・アイデア創出に詳しい東京大学教養学部特任教授の宮沢正憲さんの説明です。
――なぜリモートワーク中はアイデアが浮かびにくいと感じるのでしょうか。
「無意識のうちに通勤中や勤務の合間の雑談からアイデアの種を得ている人が多いからだと思う。家にこもると、そうした情報源が一気になくなってしまい、何もひらめかないと感じるのではないか。リモートワーク環境においては自ら意識的に情報を取りにいく姿勢が重要になる」

――リモートワークをしていると、雑談での情報収集がしにくくなります。
「リモートでの会議は決められた仕事をこなすという面では非常に効率がいい。ただ一見無駄にみえる雑談のような時間は削られてしまいがちだ。意図的に雑談の時間を設定するのも大事だと考える。例えば雑談だけ1時間する会合を定期的に設けたり、会議中に雑談のための時間をつくったりするのもいい」

――雑談以外でどのように情報収集するといいですか。
「情報収集というと、インターネットでの検索が思い浮かぶと思うが、あまりおすすめできない。ネットでみつかるものは既にある程度広まっている場合が多いからだ。リモートでも何でもいいので、他人と話すなど手軽でない、手間がかかる情報収集に挑んでみてほしい。そうすることによって、自分の頭の中になかった新たな発見や情報が集まってくることになる。自ら動くこと。徹底的に情報を取りにいくことがアイデアを生む早道になる」

新型コロナウイルス感染症、諸外国比較

4月27日の日経新聞に、諸外国の感染者数とワクチン接種率がグラフになって比較されていました。「感染封じ込め、世界で優劣鮮明
・・・新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、ワクチン接種や行動制限など政策の巧拙が各国の明暗を分けている。早期の接種で社会経済活動の正常化に踏み出した国がある一方、インドでは新規感染者数が過去最高になっている・・・
グラフは、3つの型に分けられています。
1 接種が進まず、感染者が増加している国。ドイツ、インド
2 接種は進んだが、感染者の減少は鈍い国。アメリカ、チリ。
3 接種が進んで、感染を封じ込めた国。イスラエル、イギリス。

日本はというと、別の欄にグラフが載っています。接種が遅れ、感染者数が増えています。
ところがよく見ると、日本のグラフだけが、メモリが違うのです。他国の接種率は100%まで目盛りがあり、日本は同じ大きさですが目盛りは5%までです。新規感染者数も、他国は10万人あたり100人まで目盛りがありますが、日本は5人までです。すなわち、諸外国と20倍の違いがあるのです。
同じ目盛りで作図すれば、日本の違いがよくわかったでしょうに。

日経新聞ウエッブサイトでは、世界との比較のグラフもあります。「人口あたり感染者数」「ワクチン接種率
ここからは、次のようなことが見えてきます。
・感染者数は非常に少ない(アジア各国を除く)。自粛や「鎖国」で、押さえ込みには、成功しています。でも、なぜ医療逼迫が起きるのでしょうか。
・ワクチン接種率も、非常に遅れている。

土地の管理、国家と私人の権利義務のあいまいさ

4月21日の日経新聞オピニオン欄、斉藤徹弥・論説委員の「「土地は公共財」原点に戻れ 国家が担う所有不明の対処」が、参考になります。所有者不明の土地が増えていることに対処する法案についてです。

・・・所有者不明の土地は海外ではあまりみられない日本特有の問題で、その根底には日本の土地制度に起因する土地の細分化と所有権の分散化がある――。3月の衆院法務委員会では、司法書士総合研究所の石田光広・主任研究員がこんな問題提起をした。
日本は小規模な土地を多くの人が所有しているという特徴がある。明治の地租改正で1筆の土地に所有者は1人の一地一主とした。当時の総筆数はおおむね1億筆だ。
その後、経済成長と人口増で土地の資産価値が高まり、相続税対策も重なって土地の分割や共有が進んだ。日本の土地は今、2億筆を超える。国土が本州ほどの英国は1500万筆、日本とほぼ同じドイツが6000万筆、1・5倍のフランスは1億筆とされ、日本の土地は細分化が著しい。

石田氏によると、日本のように土地の分割や所有権の共有が簡単にできる国は少ない。世界では土地の分割は景観や農地の保全を妨げ、土地の価値を変えてしまうとして許可制が主流だ。同様の理由で安易な所有権の共有も制限する国が多い。
ドイツでは自治体が域内の土地利用を都市計画で厳しく規制している。緩い規制で開発を広げて空き家を生み、コンパクト化もままならない日本の自治体とは対照的だ。都市国家だった歴史的経緯もあるが、底流には「土地は公共財」という公地思想がある・・・

・・・その理由を慶応大学の松尾弘教授は「国家としての土地管理が行われてこなかったことが最大の原因だろう。土地に対して国家がもつ権限・責務と私人がもつ権利・義務の関係は曖昧だ」と東京財団政策研究所の論考で指摘する。
人口減少時代に引き取り手のない土地は公的に管理するのが妥当だ。欧州の例をみても公共財としての土地に責任を持つべきは自治体だろう。知恵を絞り土地の価値を高めて税収増を探るのは自治体の本来業務と言ってよい・・・

戦後民主主義の罪、2」で、私権の制限が進まないことを述べました。

連載「公共を創る」3年目に

連載「公共を創る」の掲載が、3年目に入りました。第1回が、2019年4月25日でした。
当初、骨格を考えたときは、「まあ、1年はかかるなあ」と想像はしていたのですが。こんなにかかるとは。読んでくださっている読者に、感謝します。

たくさんの人に、お世話になっています。事実の確認や図表の作成などもです。特に、文章に目を通してくれる右筆たちに、感謝しなければなりません。読みやすく加筆したり、間違いの指摘だけでなく、私の主張について異なった見方を示してくれます。これは、ありがたいです。そして指摘を受けて考え直すと、その異論の方が正しいのです。

それにしても、良く続いたものです。随筆のように、そのときそのときに思いつくことではなく、全体構成の下で書いています。微修正は加えつつも、この構成で書き続けているのは、褒めてやりたいです。
執筆は、まとめに入っているので、もう半年ほどで完結すると思います。