連載「公共を創る」第20回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第20回「哲学が変わったー成長から成熟へ 非正規雇用があぶり出したこと」が、発行されました。

前回まで、4回にわたり「主体と手法の拡大」を解説しました。今回からは、「変貌した社会への対応」として、日本社会の新しい課題について解説します。
被災地復興で見たように、従来とは違う支援が求められました。それだけでなく、日本社会が大きく変わりました。
経済成長を達成し、世界一豊かで平等で安全な国であると自信を持ちました。ところが、平成時代に入って、経済の停滞ととともに、様々な社会の課題が噴きだしてきました。

今回は、まず、再チャレンジ政策について説明します。これは、安倍第一次政権で取り組まれた政策で、私は担当室長でした。
非正規雇用の問題が大きくなりました。ところが、非正規社員に責任はなく、会社や社会の側に課題があったのです。

このホームページにも、「再チャレンジ」という分類を作って、気になるニュースなどを載せています(大分類「行政」の下に、ぶら下がっています)。

岩手県被災地視察、その2

今回の視察は、新しくできた追悼記念施設も見てきました。

陸前高田市には、国と県がつくった追悼記念施設が、先月できたばかりです。奇跡の一本松の近くにあります。それぞれのホームページをご覧ください。
高田松原津波復興祈念公園東日本大震災津波伝承館
祈念公園は、高さを抑え、海に向かって「祈りの軸」がある、なかなか良くできた意匠です。展示施設のほか、道の駅も併設されています。たくさんの人で賑わっていました。

釜石市では、鵜住居地区に市がつくった追悼記念施設ができています。
うのすまい・トモス
こちらも、祈りの場と展示施設と売店があります。鵜住居駅前なので、駅前広場とにぎわいの場を兼ねています。ラグビーワールドカップ試合場となった、鵜住居スタジアムの近くです。

宮古市では、災害遺構となった田老観光ホテルを見てきました。ガイド付きで、壊れた防潮堤とホテルを案内してもらえます。ホテルは2階までが津波にぶち抜かれて、鉄骨だけになっています。ホテル6階の元客室で、そこから撮影された津波の様子を見ることができます。毎日、たくさんの観光客が勉強に来ています。

津波被災地では、インフラや住宅の復旧が進み、被害の痕がわからなくなっています。このような施設を巡ってもらうと、あの怖さを知ってもらうことができます。
広島の原爆ドームと同様に、学生の教育旅行や観光の場所になるとよいですね。皆さんも、機会があれば行ってください。

外国人の子供、2万人が不就学

日本に住む外国人の子ども、約2万人が就学していない可能性があること、各紙が報道していました。9月28日付け朝日新聞

・・・ 調査は、今年4月に外国人労働者の受け入れを増やす改正出入国管理法が施行されたことなどを受けて実施。全国の教委を通じて、今年5月時点で住民基本台帳に記載がある外国人の子らを対象に調べた。
その結果、保護者に面会するなどして不就学と確認された子は1千人、戸別訪問時に親が不在などで就学状況を確認できなかった子は8768人、台帳に記載はあるが教委が状況を確認していない子が9886人に上った。不就学の可能性がある子は、東京や神奈川、千葉、愛知、大阪など都市部に多かった。
外国人の子がいる家庭に就学案内を送っていない自治体も4割近くあった・・・

・・・一方、文科省の別の調査では、日本語指導が必要な小中高校の児童生徒らが昨年度、2年前から6812人増えて過去最高の5万759人(外国籍4万485人、日本国籍1万274人)に上った。このうち2割以上が補習など特別な指導を受けていなかった。一般の高校生と比べて中途退学率が7・4倍と高く、非正規就職率も9・3倍、進学や就職していない人の割合は2・7倍だった・・・

この問題は、かなり前から指摘されていたことです。教育委員会は、学校に来る児童生徒を相手にすることが、主たる任務でしょう。すると、この子供たちは、取り残されてしまいます。
かつては、「学校に行きたいのに、貧しいなど家庭の事情で行けない」ということが、問題でした。しかし今は、登校恐怖症やこのような日本社会から取り残された子供たちが、重要な課題になってきました。

重宝するウエットティシュ

ポケットティッシュは、皆さんも使っておられますよね。服のポケットや鞄に入れておくと、便利です。
私が子供の頃は、こんな良いものはなく、ちり紙を折ってポケットに入れていました。そのうちに、よれよれ、粉だらけになって、使い物にならなくなりました。そもそも、箱入りのティシュもありませんでした。
職場でも、印鑑の朱肉を吹くときに活用しています。買わなくても、駅前でいろいろ配ってくれるので、不足することはありません。

もう一つの優れものが、ウエットティッシュです。
大学で、黒板にチョークを使うと手が汚れるので、たくさん入った容器を持って行っていました。
今よく活用するのは、出張の折です。時間が経つと、顔に油が浮いてきますよね。家や職場なら顔を洗うのですが、新幹線の中ではなかなかそうも行かず。そのときに、ウエットティッシュが便利です。ポケットティッシュの大きさのウエットティッシュを鞄に入れておいて、使っています。

岩手県被災地視察

9月30日、10月1日とかけて、岩手県沿岸部の被災地を視察してきました。毎年この時期に、復興状況を確認するために行っています。(2018年

昨年反省したので、今年は三陸自動車道を使わず、国道で移動しました。自動車道を使うと早いのですが。山の中を直線で通っているので、沿岸部の集落を通らないのです。
市町村役場には早く到着するのですが、集落の状況がわかりません。山の中を通っているので、初めて訪れる人は「なぜここで津波災害が起きたのだ」と思うでしょう。

集落は沿岸部にあり、そこを国道がつないでいました。町中を過ぎると上り坂になり、峠を下りて、次の集落に入る。そのくり返しです。車は、上下と左右に揺れます。それに比べ、高速道路は揺れもなく、早いです。トンネルと橋が続きます。
車で通過する人や荷物には便利になったのでしょうが、交通量の減った集落は、寂しくなるでしょうね。

今回は、宮古市、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市です。インフラの復旧は、防潮堤を除いて、ほぼ終わりました。山田町、大槌町、釜石市鵜住居など、町の中心部の復旧が遅れていた地区にも、住宅や商店が建ちつつあります。町の中で重機やダンプが動いている姿を見ません。
陸前高田市だけは、かさ上げ面積が大きかったこともあり、まだ町中に重機が動いていて、土がむき出しのところがあります。これも、あと1年半でほぼ片付く見込みです。
ただし、防潮堤の建設は、まだいろいろなか所で工事が続いています。それを除けば、津波の痕跡を探すのが難しくなりつつあります。
8年半の時間を感じ、よくここまで来たなあと、感慨にふけりました。

課題は、産業振興です。主力である水産業が、振るいません。魚が捕れないのです。サンマも、鮭も、ウニやアワビも。海水の水温上昇が、原因のようです。漁港も水産加工場も復旧したのですが、魚が揚がらないことには、仕事になりません。養殖に力を入れる漁協も増えています。

天気は快晴に恵まれました。昼は25度を超え暑いくらいですが、朝は15度を下回ります。東京とは違います。稲穂が黄金色に実った田んぼ、刈り取りが終わり「はざかけ」してある田んぼが広がっています。紅葉はまだですが。