元気なアサガオ

少しずつしか花を咲かせなかった、今年のアサガオ。先週から、たくさんの花を咲かせています。去年より、遅いです。
実は、お向かいの園芸のお師匠さんに、「去年の花から取った種では、元気ありませんね」と言ったら、肥料をまいてくださいました。その成果かもしれません。
ツルはやたらと伸びて、低い支柱の中はジャングル状態になっています。数本のツルが絡み合って、(支柱なしで)自分たちの力で空に伸びています。

去年の日記を見たら、11月まで咲いていたようです。でも、これでは、夏休みの絵日記の題材には不適切ですね。

連載「公共を創る」第15回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第15回「哲学が変わったー成長から成熟へ 成熟社会に入った日本の行政」が、発行されました。

大震災の被災者支援と復興の過程で、これまでの行政の成功と限界がわかりました。前回に続き、日本社会の変化に従って、行政も変わらなければならないことを議論します。
明治以来、理想的な国家、理想的な国民を作るために、努力してきました。そして、それに成功しました。ところが、そこから漏れ落ちた人への対応は十分とは言えません。
漏れ落ちた場合の「安全網」の整備や、その教育をしてないのです。理想は教えますが、それに乗らない人や失敗した場合の生き方を教えないのです。
「坂の上の雲」を見上げていて、「坂の下の影」を見落としていたのです。

行政の目的も、生産者視点から、生活者視点に変える必要があります。
例えば公営住宅は、かつては住宅のない人に対し、数を増やすことが目的でした。現在は、住宅は数だけなら、余っています。他方で、入居者の孤立や孤独死が問題になっています。これは、建設部局の任務ではありません。そして、孤立は社会福祉の範疇を超える課題でしょう。「公営住宅」といっても、行政の任務が変わってきたのです。

国際セミナーで講演

今日は、裏磐梯で開かれている国際研修交流協会国際セミナーに、基調講演に行ってきました。
今年も、福島の着実な復興状況を、スライドを使ってお話ししました。
昨年の反省を踏まえ、スライドを英語で用意しました。語りは日本語で、同時通訳です。通訳が追いつくのをイヤホンで聴きながら、お話ししました。

日本の近現代150年をどのように分析するか。最近の政治外交史研究

東京財団政策研究所の「政治外交検証研究会レポート ―政治外交史研究を読み解く― 第1回 日本政治外交史研究の動向」を紹介します。
・・・政治外交検証研究会は、日本政治外交史研究と、国際政治史研究の近年の研究動向を回顧しながら、最先端の研究により何が明らかになり、どのような課題が残されているのかを考察する研究会を行いました・・・

・・・戦前「形成期」・戦後「形成期」を五百旗頭が、戦前「展開期」と戦後「展開期」を奈良岡さんが執筆するというもので、著者の個性を通じて、四つの時期の個性も浮かび上がり、150年を一望する一つの試みにはなっただろうと楽観しております・・・
このように、150年をどのように区切るか。それ自体が、歴史をどう見るかという視点の反映です。この見方だと、現在は「転換期」でしょうか。

次のような、最近の研究動向の整理もあります。
・・・一つ目は、「利益政治(注:地方への利益誘導を引き換えに集票するという営み。同著p.196より)の前史をいかに位置付けるか」という問いです。戦前史を研究する多くの研究者の動機の一つに、自民党長期政権に象徴される戦後の利益政治の起源を理解したい、ということがあります。しかし昨今、この利益政治が弱体化しています。とすれば、前史としての戦前の捉え方はいかに変容してきたのか、考えるべき時だろうと思います。
二つ目は、政軍関係に関する近年の研究動向です。というのも、冷戦崩壊後の国際情勢の中で、北朝鮮や中国をめぐる安全保障問題がより強く意識されるようになっています。この問題に対処する基盤として、政軍関係の歴史を理解することが一層、重要になっています・・・

その中に、次のような指摘もあります。
・・・先に利益政治をめぐって取り上げた政党政治についても、科学や技術の視点が組み込まれつつあります。法科出身者中心、内務省中心の官僚制が地方利益に応答していたのが、1920年代の政党内閣期に各省のセクショナリズムが強まり、統制が難しくなったことは、既に知られていました。若月剛史『戦前日本の政党内閣と官僚制』(東京大学出版会、2014年)はさらに一歩踏み込み、各省がどのように内務省に離反するようになったかを、逓信省などの現業官庁に着目して明らかにしています。こういう研究も、現代との対話の所産ではないでしょうか・・・
原文をお読みください。

山は登るものでなくつくるもの

8月25日の日経新聞、石井裕・米MIT教授の「山は登るものではなくつくるもの」から。

・・・石井裕・米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ副所長(教授)が米国計算機学会(ACM)のコンピューター・ヒューマン・インターフェース(CHI)会議で最も著名な「生涯研究賞」を受賞した。ヒトとコンピューターの接し方について従来にないビジョンを提示しまったく新しい研究領域を創出したことが高く評価された。「100年後にも廃れないビジョンこそ大事だ」と石井さんは力説する。

生涯研究賞は、単一の発明や研究成果を対象に贈られるものではない。多くの研究者を魅了し研究に駆り立てるような新しいビジョンを示し長きにわたって先駆者として活躍してきた研究者に与えられる。過去にはマウスやグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)の先駆けとなる技術を発明したダグラス・エンゲルバートら時代を画する研究者が受賞している。石井さんは日本を含むアジアから初めての受賞だ・・・

・・・「MITに来たとき、これから頂上の見えない高い山に登るものだと思っていた。しかしそれは間違いだった。山に登るのではなく、山をつくるのが仕事だと気がついた」と石井さんは述懐する。だれも気がつかない領域を見いだし後進の研究者が挑戦し続ける大きな研究分野をつくりあげる。エンゲルバートら、石井さんが尊敬するコンピューター科学の先達たちが歩んできた道を自分もまた歩まねばならないことを自覚したそうだ・・・