年別アーカイブ:2018年

アマゾン社もパワーポイント禁止

2018年6月20日   岡本全勝

NHKウエッブニュース「失敗するなら早く! アマゾン成長の秘密」(6月20日配信)が、アマゾン社もパワーポイントを禁止していること書いています。

・・・プレゼンテーションで当たり前のように使われているこのパワーポイントをアマゾンでは一切使わないといいます。
代わりに使うのが「プレスリリース」と「6ページメモ」なのだそうです。もちろん、対外的に公表する正式なリリースではありませんが、公表するつもりになって、一読して概要を把握できる情報を書き込みます・・・

・・・「物事を簡潔に説明するパワーポイントは、都合のいいことだけを強調するので人をだますことができる。一方、プレスリリースは自分の考えをきちんと整理し、何を成し遂げたいか理解していなければ書くことができない。プレスリリースを書いたり読んだりすることは優れたアイデアを実現するために非常に有効だ」・・・

私が「庁内での案の説明に、パワーポイントを使うな」と言っているのと、理由は少し違うようですが。
原文をお読みください。

予防接種、副作用のある政策のジレンマ

2018年6月20日   岡本全勝

6月16日の朝日新聞オピニオン欄、「ワクチン後進国」、中山哲夫・北里生命科学研究所特任教授の発言から。

・・・日本のワクチン開発は1980年代まで、それほど遅れてはいませんでした。しかし70年代以降、天然痘ワクチン後の脳炎など、予防接種後の死亡や障害が社会問題になりました。国がその責任や補償をめぐり争ったため、各地で集団訴訟が相次ぎ裁判は長期化。国に損害賠償を命じた92年の東京高裁判決などで決着したのですが、国は予防接種に消極的になり、ワクチン政策は約20年間止まりました。
多くのメディアが被害者の悲惨な状況を報道したこともあって、子どもにワクチンを受けさせないという考えも広がりました。
ワクチンは国に導入の意思がなければ開発が進みません。政府は開発のみならず、海外から導入することもしませんでした。防げる感染症を防ごうとしなかった厚生行政の責任は重いのです。

欧米では感染症の発生動向を監視し対策を講じるという政府の戦略が明確ですが、日本はその姿勢が貧弱です。例えばおたふく風邪は90年ごろ、ワクチンによる無菌性髄膜炎の副反応が問題となり、自己負担で受ける任意接種になりました。その結果、接種率が下がり、15、16年の2年間で少なくとも348人がおたふく風邪による難聴になりました。国の調査ではなく、日本耳鼻咽喉(いんこう)科学会による調査で明らかになったのです。
おたふく風邪ワクチンが定期接種となっていないのは、先進国では日本ぐらいです。ワクチンによる無菌性髄膜炎の発生率は、おたふく風邪による発生率の25分の1という研究報告もあります。ワクチンの効果と副反応についてメディアの理解を深め、市民に正しい知識を普及させるためにも、根拠となるデータが重要です・・・

6月15日の読売新聞は、解説欄で「子宮頸がんワクチン勧奨中止5年」で、同様の問題を取り上げていました。

副作用を伴うワクチン接種を進めるのか、やめるのか。難しい判断を迫られます。しかし、伝染病のワクチンは、多くの人が接種することで、流行を防ぐことができます。個人の自由にするだけでは、目的を達しないのです。
この点については、手塚洋輔著『戦後行政の構造とディレンマ-予防接種行政の変遷』(2010年、藤原書店)が詳しい分析をしています。「行政の決断と責任

官僚機構改善論4―人事課長の育成

2018年6月20日   岡本全勝

官僚機構改善論3の続きです。
バックオフィスの管理の中でも、人事管理について述べています。前回は、人事政策が明示されていなかったことを書きました。今回は、人事政策を担う担当者についてです。

各省に人事課があり人事課長がいますが、これまで人事政策のプロを組織的・制度的に育成していたとは思えません。人事課長は、人事異動をすることが、主たる業務になっていたのではないでしょうか。
政策系の部局から優秀な職員を引っ張ってきて、人事課職員とします。特に上級職にあっては、この傾向が強かったでしょう。では、彼らに、人事政策や人事行政のあり方を、きちんと教育していたか。例えば、人事課長を育てる人事課長研修はあるのでしょうか。

「門外不出の秘伝」はあるのかもしれません。しかし、一般の職員が見ることができるような、書かれたものは見ません。また、人事課長たちが書いた「書物」も見ません。これまでは、口伝による名人芸に頼っていたようです。
地方自治体にも、当てはまると思います。適当な教科書や参考書がないのです。私が知らない事例、参考になる文書があれば、教えてください。参考にします。
これは、実際に担当している人でないと書けないでしょう。学者や研究者では、難しいと思います。この場合に、教育と教科書は2種類必要です。職員向けとそれを担当する課長向けです。研修を受ける人と研修をする人と言ったらよいでしょう。

戦前の陸軍にも無かったようです。陸軍は、人の大集団です。そして、中央において人事管理を行うとともに、出先組織(師団、連隊など)で構成員の人事管理をしていました。では、師団長や連隊長は、人事管理の原則を教えてもらっていたか。どうやら、そうではなかったようです。戦術はみっちり教え込まれるのですが、組織管理や人事管理は経験に頼っていたようです。戦術は陸軍大学校と海軍大学校でたたき込まれますが、戦略は学びません。例えば、藤井非三四著『陸軍人事』(2013年、NF文庫、潮書房光人社)。アメリカ軍、自衛隊は違うようです。

不勉強な点もあるので、意見をいただければ、うれしいです。「官僚機構改善論5」へ

 

世界史の中の明治維新、そして150年。

2018年6月19日   岡本全勝

東京財団の連載「明治150年を展望する」第5回は、「世界史と日本史のサイクル」でした。
1868年が世界史的にどのような時代であったかが、簡潔に述べられています。
当時、先進的な国民国家を実現していたのは、イギリスとフランスだけです。
日本が明治維新で近代国家への道を歩み始めたのが、1868年。ところが、西欧でも、同じような動きが進んでいたのです。ドイツが国家統一を成し遂げたのが、1871年。イタリア王国の成立が1861年、国家統一が1870年。アメリカが南北戦争で国家分裂を回避したのが、1865年でした。
日本史では、「アジアで唯一」という「日本特殊論」に自尊心をくすぐられて(それはそれで良いことなのですが)、世界で同様なことが起きていたことを忘れがちです。

連載でも指摘されているように、これら新興国が、先進大国イギリスとフランスに挑戦します。ドイツ、日本、イタリアは、戦争によってもです。
アメリカは、2度の戦争ではイギリス・フランス側につきますが、経済的に凌駕します。
(西)ドイツ、日本、イタリアは、第2次世界大戦で敗戦国になりますが、今度は経済で躍進し、アメリカを追います。
しかし、アジア各国がベトナム戦争後、特に中国が文化大革命後に、経済発展路線に転換し、追い上げてきます。そして、20世紀末から21世紀初頭にかけて(つい最近、そして今です)、これら先進国を脅かすようになりました。

この連載は、以前に紹介したことがあります。「東京財団、明治150年の分析」。その他の回も、お読みください。

平成時代、先送りされた増税

2018年6月19日   岡本全勝

6月17日の朝日新聞連載「平成経済」は、「目を背けた不都合な真実。消費増税、官僚が語った舞台裏」でした。

・・・国家財政の面からみると、平成はその収支バランスが崩れ続けた時代だった。なぜ財政再建はできなかったのか。朝日新聞は今回、財務省(旧大蔵省)の歴代幹部が在任中の政策を振り返った「口述記録」を情報公開請求で入手した。開示された1982~2001年の25人分、1千ページ超にわたる官僚たちの証言をひもとくと少子高齢化による低成長時代に突入したという「不都合な真実」に向き合わず、消費増税が実現してもその成果を「浪費」し続けてきた政官の姿が浮かび上がってくる・・・

・・・野田政権時代、財務省官房長として消費増税案を推進した香川俊介氏。10%増税が延期された後の15年7月、失意の中で次官を退官し、わずか1カ月後に58歳の若さで急逝した。
彼の言葉は、今回公開された口述記録には出てこない。しかし記者は、香川氏が中堅時代に書いた論文を見つけた。97年、出向先の英王立国際問題研究所でまとめた、手書きの文章だ。
「『政治家は利益誘導的な判断しかできないから、官僚が政策決定しなければならない』という考え方があるが、誤りだ。政治家が将来まで考えた決定をし、なお選挙に勝てる仕組みにしなければならない」
その仕組みはどうすればできるのか――。未来に広がる黒い陰を取り除くために、私たちが答えを見いださなければならない・・・

各紙が様々な切り口で、平成時代の30年を検証しています。近過去のことは、教科書に載っていないので、このような企画は有用です。