年別アーカイブ:2018年

慶應大学、公共政策論第9回目

2018年6月15日   岡本全勝

公共政策論も、第9回目。
前回、企業の方に、企業の社会的貢献を話してもらったので、まずはそれのおさらい。

さらに、これまでの私の講義の全体像を、図示して解説しました。
新しい社会のリスクが生まれていること、個人の責任だと思われていた問題が社会の課題になっていること。
他方で、社会・公共空間は行政だけが責任を持つのではなく、企業も非営利組織も重要な主体であること。
すると、官民二元論ではなく、官共私三元論がふさわしいこと。
その変化の背景には、自立した市民による社会という近代市民国家像から、自立できない人もいることが発見されたこと。労働者、病人、障害者、子供、高齢者、消費者・・・。それを救うのが公共の役割となったこと、などなど。
この視点からは、これまでの公共政策論は行政が主で、狭いこと。これからは、3つの主体による課題解決、さらには3主体の協働をどのように進めるかが重要になる。

これで、全体像が見えたでしょう。学生諸君も、理解しやすくなったと思います。

慶應大学、地方自治論Ⅰ第9回目

2018年6月15日   岡本全勝

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅰの第9回目の授業でした。
先週の授業で、学生からいくつも鋭い質問をもらったので、その回答から。

「国が法律で定めるのに、国と地方は対等になるのですか」「国地方係争処理委員会は、国の機関で、委員も国が任命するのに、中立的な判断ができるのですか」
疑問は、もっともです。しかし日本国憲法は、国会を国権の最高機関と定めています。地方自治も、その範囲内です。
2000年の分権改革も、国の組織である「分権推進委員会」が案を作り、法律で定めました。なぜ国の機関がそして法律が、国の権限をそいで、自治体に権限を与える改革を進めたか。ここが、改革のミソです。また、係争処理委員会の委員の任命も、国会の同意が必要となっています。さらなる説明は、授業でお話ししたので、省略します。

国と地方の関係、分権改革の話は、ここまで。次に、自治体の仕組みに入りました。
教科書には出てこない実態を、資料を基に説明しました。

日経新聞夕刊コラム第23回

2018年6月14日   岡本全勝

日経新聞夕刊コラム第21回「鷹の目と象の時間」が載りました。
「鷹の目と蟻の目」、あるいは「鳥の目と虫の目」は皆さんご存じですよね。視野の広さです。拙著『明るい公務員講座 仕事の達人編』でも、わかりやすい挿絵を描いてもらいました(第3章扉)。

長期的な視野と短期的な視野を、どのような比喩で例えるか。なかなか良い言葉が見つかりません。そこでお借りしたのが、本川達雄著『ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学』 (中公新書、1992年)です。
初めてこの本を読んだ時は、驚きました。へ~、そうなっているんだと。もっとも、人間はこの算式に、ぴったりとは当てはまらないようですが。

このコラムにも書きましたが、鼠も象もお互いに、自分以外の「時間の進み方」は知らないのでしょうね。人間だけが、このように他の生物の「時間」を計測して、比較することができます。
もっとも、私たち個人個人は、自分の「時間」でしか物事を考えられないことが多いのです。だから、今回のようなコラムが成り立つのですが。
少し違いますが、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という金言があります。先達の経験と智恵を、どのように活用するか。ここに、できる人とできない人の差が出ます。

官僚機構改善論2―バックオフィスの管理

2018年6月14日   岡本全勝

官僚機構改善論1―バックオフィスの重要性の続きです。

これまでは、バックオフィス=事務・組織管理部門は、前線を支える後方部隊と考えられ、日が当たりませんでした。また、誰でもやれる、難しくない仕事と思われていました。
ところが、技術の進歩と社会の変化で、従来通りでは対応しきれなくなりました。

平成になってからでも、次のようなことが大きな課題になりました。
情報公開、個人情報保護、公文書管理、IT技術の発達とパソコンの配備、情報管理、サイバー攻撃対応、カウンターインテリジェンス、セクハラやパワハラ対応、倫理法、コンプライアンス、リスク管理、災害対応・・・。
私が公務員になった頃は、そんなに問題にならなかったことです。その後、これらの課題が次々に出て、また事件や事故が起きて、その都度個別に対応しました。研修なども増えました。

これらの問題を大きく2つに分けると、「情報の取り扱いの問題」と「職員管理の問題」です。

このうち、「情報の取り扱いの問題」は、IT技術の発達への対応と、情報の管理が重要になりました。パソコンやコンピュータが導入され、職員は試行錯誤しながら使っています。
まず、組織から見て、コンピュータ化は効率的に行われているか。どうもそうでないようです。旅費や給与計算、電子決済、電子申請など、必ずしも効率になっていないようです。
他方で、職員については、これらの「職員として知っておく常識」は、系統だった教育は行われているか。職員が読んでおくべき教科書は、ないようです。
これは、新規採用職員だけでなく、管理職も中堅職員も必要なのです。なぜなら、次々と新しい課題と仕組みが導入されて、年配者もその都度教えてもらって身につけています。若い人の方が詳しいことも多いのです。

もう一つは、「職員管理の問題」です。ここで言う職員管理とは、部下の教育と管理、心の病の職員への対応、セクハラやパワハラ対応、ワークライフバランス、コンプライアンスなどです。これらも、組織的・系統立てた教育は十分ではないと思います。
昔は、そんなに気にすることはなかったのですが。
これらについても、系統だった研修と、教科書が必要です。「官僚機構改善論3」へ。

マチリク、町ぐるみで採用する

2018年6月13日   岡本全勝

地方の中小企業は、職員の新規採用が難しいです。都会に出た学生たちは、戻って来ません。学生にしても、中小企業だと不安です。先輩はいない、同期もいない。そして、せっかく勤めても、3年以内に多くの職員が辞めてしまいます。それを解決する試みがされています。

かつて、このホームページでも紹介しました。「マチリク」です。
単に、求人と求職を紹介するのではなく、定着してもらうために、新採職員と会社の双方を支援します。
マチリクのホームページが新しくなり、私の推薦文も載りました。ご覧ください。

これまで、宮城県気仙沼市で実績を上げてきました。しかし、全国各地で期待される事業です。
なぜ、今まで、このようなことに気がつかなかったのでしょうね。ハローワークは、職業紹介をすれば済みと思っていたのでしょうか。地域の商工会議所や市町村役場も、他人ごとだったのでしょうね。やってくれているリクルートに、感謝です。