平成時代、先送りされた増税

6月17日の朝日新聞連載「平成経済」は、「目を背けた不都合な真実。消費増税、官僚が語った舞台裏」でした。

・・・国家財政の面からみると、平成はその収支バランスが崩れ続けた時代だった。なぜ財政再建はできなかったのか。朝日新聞は今回、財務省(旧大蔵省)の歴代幹部が在任中の政策を振り返った「口述記録」を情報公開請求で入手した。開示された1982~2001年の25人分、1千ページ超にわたる官僚たちの証言をひもとくと少子高齢化による低成長時代に突入したという「不都合な真実」に向き合わず、消費増税が実現してもその成果を「浪費」し続けてきた政官の姿が浮かび上がってくる・・・

・・・野田政権時代、財務省官房長として消費増税案を推進した香川俊介氏。10%増税が延期された後の15年7月、失意の中で次官を退官し、わずか1カ月後に58歳の若さで急逝した。
彼の言葉は、今回公開された口述記録には出てこない。しかし記者は、香川氏が中堅時代に書いた論文を見つけた。97年、出向先の英王立国際問題研究所でまとめた、手書きの文章だ。
「『政治家は利益誘導的な判断しかできないから、官僚が政策決定しなければならない』という考え方があるが、誤りだ。政治家が将来まで考えた決定をし、なお選挙に勝てる仕組みにしなければならない」
その仕組みはどうすればできるのか――。未来に広がる黒い陰を取り除くために、私たちが答えを見いださなければならない・・・

各紙が様々な切り口で、平成時代の30年を検証しています。近過去のことは、教科書に載っていないので、このような企画は有用です。