村井・宮城県知事の発言

1月8日の日経新聞「私見卓見」欄に、村井嘉浩・宮城県知事の「被災者の痛み和らげる社会に」が載っています。
・・・3月で東日本大震災から7年となる。被災地では住宅建設など安定した生活を取り戻すための事業は順調に進むが、壊れてしまったコミュニティーの再生などは道半ばだ。行方不明の家族を海岸や海中で探し続ける人も大勢いる。被災者の立場で復興事業をみれば、まだまだ合格点とはいえないと思う。
未曽有の大災害からの復興は発生から10年程度で終わるものではない・・・
原文をお読みください。

北村亘先生「文部科学省幹部職員の理念と政策活動」

季刊『行政管理研究』2017年12月号に、北村亘・大阪大学教授の「文部科学省幹部職員の理念と政策活動~2016年サーヴェイ調査における4つの官僚イメージ~」が載りました。興味深い調査結果が出ています。

これまでの官僚制の研究では、官僚を次の3つの型に分けて考えていました。
「古典的官僚または国士型」=政治の上に立とうとする態度の官僚
「政治的官僚または調整型」=政治の中で任務を遂行する態度の官僚
「合理的官僚または吏員型」=政治家によって定められた政策を合理的に実施する官僚。
そして、支配的な型は、国士型から調整型へ、さらに吏員型へ変化すると想定しています。

ところが、今回の調査結果では、国士型官僚像が、さらに2分できるのです。彼らは、政治的合理性を重視しません。その中で、行政的合理性を重視する官僚を「古典型」とすると、行政的合理性も重視しない官僚「超然型」とも呼ぶべき官僚が多くいるのです。
ちなみに、政治的合理性を重視する官僚のうち、行政的合理性を重視しないのが「調整型」、行政的合理性を重視するのが「吏員型」です。
この分析では、文科省本省幹部(課長以上、114人中回答は75人)のうち、調整型が19人、吏員型が15人、超然型が20人、古典型が21人です。

質問票と回答を、これらの型に分類する際の分け方が正しいのか、その点は疑問が残ります。また、他省庁との比較をしないと、一概に評価はできません。が、この結果を見ると、いまだに古典型や超然型が多いことは驚きです。文部行政の理念をどう考えるかとも関係するのでしょう。現在の文部行政の目標は何かです。

このような調査は、有意義ですね。内閣人事局と人事院は、公務員 の人事制度と勤務実態を所管していても、官僚の理念と実態は所管の外のようです。このような学者の分析、マスコミの評価によるのでしょうか。かつては、先輩官僚による指導と薫陶がありました。官僚の役割の転換期(と私は考えています)に、このような議論は必要です。
ところで、国家行政や官僚を対象とした研究誌がないのです。地方行政などはいくつかあるのに。『季刊行政研究』は、貴重な雑誌です。

ここでは、論文の一部しか紹介していません。関心ある方は、原文をお読みください。また、予算の関係で、文科省だけの調査になっています。ぜひ、他省庁を含めた調査、そして継続的な調査をお願いします。

たんぱく質考古学

「たんぱく質考古学」って知っていましたか。1月7日の朝日新聞が大きく解説していました。詳しくは、記事を読んでもらうとして。中に、次のような記述があります。
・・・奈良県明日香村にある7世紀の牽牛子塚(けんごしづか)古墳から出土した豪華な棺を分析すると、中国原産のカイコに由来する絹が使われていた。
一方、3世紀ごろの奈良県桜井市の纒向(まきむく)遺跡から出た巾着型の布製品は、やはり絹だが日本在来のヤママユガだった・・・
へえ、そんなことまで分かるのですね。科学の進歩は、すばらしいです。

牽牛子塚古墳は、子どもの頃、自転車に乗ってしばしば見に行きました。近鉄飛鳥駅の近くの小山の中にあり、石室を覗くことができました。きれいに加工された石で、部屋が二つ並んでいました。不思議な形でした。近年、発掘されて、大きな話題になりました。
近くに、真弓鑵子塚古墳(まゆみかんすづか)があります。こちらは、大きな石室に入ることができました。自然石が積み上げられて、大きなドーム型の空間になっていました。最大幅4.4m、高さ約4.7m。使われた石は約700個だそうです。一人で入ると、積み石が落ちてこないかと、怖かったです。今は、立ち入り禁止です。

連休が終わりました

成人の日を含んだ3連休が終わりました。勤め人の多くは、年末年始の休みに続き、2日出勤して、この連休でした。2日間を休んだ人は、11連休ですね。
皆さん、ゆっくりと過ごされたでしょうか。肝冷斎は、はるばる高知の山奥まで探検に行ったようです。新春から、活動的です。

私は、キョーコさんのお供をして、いくつかの神社と展覧会などに行っただけで、書斎に閉じこもりました。努力の甲斐あって、予定していた原稿や講義・講演の準備を、終えることができました。来年度の講義のシラバス提出も。宿題を片付けると、ほっとします。ということで、良しとしましょう。
玄関の松飾りも外しました。気分を入れ替えて、仕事をしましょう。

福島県富岡町、浪江町で成人式

1月7日に、福島県富岡町浪江町で、成人式が開かれました。
両町では、昨年春に一部を除き避難指示が解除され、7年ぶりに町内で式を行うことができたのです。新成人は、事故が起きたとき、中学1年生だったそうです。その後、町には戻れていませんでした。うれしいですね。復興が実感できます。
もちろん、新成人もまだ多くは町内で生活していませんし、避難指示が解除されていない地域もあります。すぐにとは行きませんが、着実に復興を進めていきます。