有田哲文記者「天声人語」

朝日新聞のネット版に、有田哲文記者が、担当しておられる「天声人語」について書いておられます。「天声人語」は朝日新聞の顔とも言える、朝刊1面のコラムです。私も学生の頃、勉強材料にしました。

・・・ただ、書き溜めることはないです。「こういうテーマをいつかやりたいな」と思って、それに向けて勉強することはありますが、書き上げることは直前の瞬発力にかけています・・・
・・・書くときには、「書きたいこと」「書くべきこと」「書けること」この3つを闘わせます。書きたいと思っても、それを支える材料を持っているか、納得させられることなのかが重要。本で読んだことがあるか、取材したことがあるか、自分は考えたことがあるか、書けるけど面白いか、など考えます・・・

書きためずに毎日の勝負だとは、すごいです。
603文字の勝負です。難しいですよね、この文字数に収めるのは。文章って、短くする方が難しいです。だらだらとなら、書きやすいですが。職場の文書だって、1枚に入れる方が、3枚書くより難しいでしょ。
この字数の中で、起承転結や序破急をつけ、言いたいことを入れる。それも格調高くです。6段落が決まりとは、知りませんでした。

2人の記者で担当しておられるとか。100年の決まりを変更して、執筆者を明らかにして欲しいですね。
お二人のうち、どちらかが書いておられるのですから。隠す必要もないと思います。(有)とか、(哲)と一文字入れてくだされば。

明るい公務員講座・中級編41

『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第41回「発想の改革(4)課長が変える」が発行されました。
前回は、「課長が決める」をお教えしました。部下任せにしていては、難しい仕事は進みません。課長が決めれば、進むのです。これが、仕事の流儀の改革です。

さらに、課内の業務の減量をしましょう。職員数が増えない時代に、残業時間を減らすには、効率よくやるか、仕事量を減らすしかありません。
働き方改革は、チャンスです。これまでだったら、「このような作業はやめたいけど、なかなかそうもいかなくて・・」と思っていたことも、この際、「働き方改革」を錦の御旗に変えてしまいましょう。心配なときは、上司と相談して、上司を巻き込みましょう。

もう一つ、もしあなたの職場に「成績不良職員」がいたら、きちんとした指導と評価しましょう。そして、改善が見られないようだったら、人事課と相談して、しかるべき措置をとってもらいましょう。働かない職員を放置して、ほかの職員にそのしわ寄せをしては、ほかの職員がぐれてしまいます。

職場の仕事、そのやり方と仕事量を変えることができるのは、課長です。職員は意見は言えますが、決定権は持っていません。部長は、現場の実態を詳しくは知りません。課長だけが、判断できるのです。
今回の内容は、次の通り。
作業の簡素化、定例業務もアカがたまる、事務の削減、働き方改革はチャンス、繁忙期の対策、残業時間の管理、成績不良職員の評価と指導、あなたが変える。

さて、この連載も、次回(11月20日号)が最終回です。

連載を振り返って5

必要な知識の見取り図

この連載は「職場の作法の教科書」を目指しました。教科書には、基礎知識を教えるという機能とともに、知識の全体像を示すという機能があります。

「これだけのことを知っていれば、大丈夫」という知識の一覧です。本屋に並んでいるビジネス書に、私が満足できなかった理由の二点目が、これです。
それぞれの本は役に立つのですが、どれとどれを読んだら良いのかが、わかりません。知りたいことがはっきりしていたら、お目当ての本を探して読めば良いのです。しかし、何を勉強したらよいかがわからない初心者には、基本が書かれた教科書が必要なのです。
教科書の意義は、「これだけ読んでおけば、たいがいのことは大丈夫」と自信が持てることです。

また、それらの本は、仕事に役立つヒントが書いてあるのですが、羅列であって、体系立っていないのです。よって、読んだときはなるほどと思いますが、頭の中に整理できません。
体系的に整理されているとは、「知識の地図」「見取り図」と例えればよいでしょう。どこに何があるか、今どこにいるのかを、理解できるのです。

大きなデパートに行ったときを想像してください。
初めて行くデパートなら、お目当てのものはどこに売っているのか、入り口の案内所で聞くか、売り場案内の地図を見るでしょう。
また、あなたがデパートの店長になるには、あるいは店員になったなら、店内のどこで何を売っているかを一通り知っておかねばなりません。商品の詳しい内容は、知っている必要はありません。それは、売り場の店員に聞けばよいのです。あなたが配属された売り場で、勉強すれば良いのです。

連載を振り返って4

体験談を文章にするのは難しい

なぜ、これまでこのような本がなかったか。
連載で書いたことは、学問的研究で発見されるような「大それたこと」ではありません(研究の対象になるとは思いますが)。そして、学者や研究者は、職場での経験をしていません。経験談は書けないのです。

経験者なら書けるか。そうでもないのです。
先輩も、見よう見まねで身につけたので、理屈としては理解していません。体験談として具体事例は語ることができるのですが、それを普遍化して文章にするのは、意外と難しいです。だから、飲み屋で後輩たちに体験談を語ることはできても、研修所で話すとなると、何をしゃべったらよいか苦労するのです。

私もすべての職場、すべての場面を経験したわけではありません。しかし、多くの公務員より、幅広くまた難しい仕事を経験しました。
一つは、県庁と中央省庁で、さまざまな職場を経験することができました。そして、平職員から課長、そして総務部長や事務次官まで経験しました。
もう一つは、その過程で、むつかしい事案も経験しました。よい上司とともにそりの合わない上司に仕え、素晴らしい部下と困った部下を持ちました。自らも仕事に悩み、悩む職員を見てきました。
この世界で、他の人より少し広い経験をした私が、書いて伝える価値はあるだろうと思ったのです。

また、山登りに例えてみます。
もし、頂上までのまっすぐな一本道があったとして、それを登った場合。あるいは、ロープウェイで頂上まで運んでもらったとしたら。それでは、いろんな登山道を上る人たちの苦労は分からないでしょう。いろんな道を歩き、迷ったり、苦労したことが、後輩たちに助言をできる蓄積になりました。

困った客

NHKのウエッブニュースに、「悪質クレーム 流通業で働く人の7割が経験 初の実態調査」(2017年11月9日)が載っています。
とんでもない客が、たくさんいるようです。クレーマーが問題になっていますが、小売業ではそれが特に現れるのでしょうね。困ったものです。
役所にも来られます。学校でも、モンスターペアレントが大きな問題になっています。
「お客様は神様です」という言葉が、間違って理解されているようです。