連載を振り返って5

必要な知識の見取り図

この連載は「職場の作法の教科書」を目指しました。教科書には、基礎知識を教えるという機能とともに、知識の全体像を示すという機能があります。

「これだけのことを知っていれば、大丈夫」という知識の一覧です。本屋に並んでいるビジネス書に、私が満足できなかった理由の二点目が、これです。
それぞれの本は役に立つのですが、どれとどれを読んだら良いのかが、わかりません。知りたいことがはっきりしていたら、お目当ての本を探して読めば良いのです。しかし、何を勉強したらよいかがわからない初心者には、基本が書かれた教科書が必要なのです。
教科書の意義は、「これだけ読んでおけば、たいがいのことは大丈夫」と自信が持てることです。

また、それらの本は、仕事に役立つヒントが書いてあるのですが、羅列であって、体系立っていないのです。よって、読んだときはなるほどと思いますが、頭の中に整理できません。
体系的に整理されているとは、「知識の地図」「見取り図」と例えればよいでしょう。どこに何があるか、今どこにいるのかを、理解できるのです。

大きなデパートに行ったときを想像してください。
初めて行くデパートなら、お目当てのものはどこに売っているのか、入り口の案内所で聞くか、売り場案内の地図を見るでしょう。
また、あなたがデパートの店長になるには、あるいは店員になったなら、店内のどこで何を売っているかを一通り知っておかねばなりません。商品の詳しい内容は、知っている必要はありません。それは、売り場の店員に聞けばよいのです。あなたが配属された売り場で、勉強すれば良いのです。