今日の盛岡出張は、企画も良く、また往復の新幹線の中で原稿執筆が進んだので、満足できるものでした。ところが、車中がいけません。
まず、行きの新幹線です。中年から若手の女性の軍団が、乗り込んできました。社内旅行のようです。先頭のおばさんは、片手で旅行鞄を引き、もう一つの手では自取棒で、自分たちを映しながら入ってきます。カメラに向かって解説をしながらです。彼女たちの後ろには、ほかの乗客の長い列ができました。
私の座席は1B。彼女たちは1~4あたりのCとDです。早速、1と2の座席は向かい合わせにして、おしゃべりに興じます。まあそれは、しかないとして。大きな手提げ袋とリュックを、網棚に乗せず、また1列の背もたれの後ろ、ドアの壁との間が空いているのにもかかわらず、通路に置きます。通路は半分がふさがります。時々揺れると、倒れて通路をふさぎます。そのうちに、靴を脱いで、その靴を通路に置きます。当然、通る客はそれをよけ、車内販売のワゴンが来たら、よけてもらわないと通ることができません。さらに、携帯電話で話し出します。
今どきこんな人たちが、グリーン車に乗っているのですね。注意したかったのですが、小心者の私は、黙って見ていました。この条件下で、どれくらい原稿が書けるかに挑戦しました。笑い。
彼女たちは、函館まで行くようです。私が盛岡駅で降りるときに、ちょうど車掌さんがいたので、「上手に注意してやってください」と伝えたら、「わかりました」と返事が返ってきました。
月別アーカイブ: 2016年6月
障害者分野への企業連携の試み
多くの企業は、社会的貢献(CSR)を考えておられます。しかし、どこでどのようにしたらよいか、わからないこともあるようです。他方で、地域や自治体では、支援を必要としている課題も多いです。しかし、誰がどのように支援してくれるかわかりません。それをつなぐことが、重要なのです。
障害者支援は、企業の取り組みが進んでいる分野です。しかし今後その支援を広げるためには、支援したい企業と支援を受けたい福祉事業所とをつなぐ必要があります。厚生労働省が、それに乗り出しました。「障害福祉サービスでの企業CSR連携促進事業」。
この紹介記事を書いたのは、品川文男さん、復興庁OBです。復興庁での企業連携を学習して、戻った先の厚労省で、この仕組みに取り組みました。なお、この記事が載った、月刊「ノーマライゼーション障害者の福祉」2016年5月号では、そのほかにも、CSRと障害者支援が紹介されています。
復興以外の現場で、この新しい行政手法が広がると良いですね。ご関心ある方は、拙著「復興が日本を変える」をお読みください。
新しい行政手法の伝道師より。
復興住宅でのコミュニティつくり
トヨタ財産の本多史朗さんが、「復興公営住宅におけるコミュニティづくり-日常が被災地に戻りつつある中で」を、みやぎ連携復興センターのホームページに寄稿されました。
(今後の課題)
・・・言い換えると、重機とダンプ、そしてヘルメットと作業服姿に身を固めた作業員の人たちがむき出しの土と埃の中を動き回りながら取り組んだ、公共インフラの復旧・復興というエネルギッシュかつ非日常的な作業を中心とする時期が徐々に終わりを迎えている。事実、被災地のいくつかの市町村では、重機、ダンプの姿をめっきりと見かけなくなり、ある種の静けさが漂うようになっている。NPOを中心とする、被災地外部から入ってきた支援団体も徐々に後景に退いていく。ここから浮かび上がってくる、この期間の復興のストーリーの骨格は、次のようなものである。
・発災によって、発災前の地縁社会から切り離された被災者の方々が、
・新しく帰属するコミュニティをつくり出すために、
・ゆっくりと自らの潜在的な力を発揮して、復興公営住宅の環境に手を入れながら、前に進む。
そして、このストーリーが展開する主な舞台は、復興公営住宅に他ならない。そこでのコミュニティづくりにおいて、注意を払うべき点を次に取りまとめてみたい・・・
(静かなリーダー)
・・・それとは別のリーダーのあり方も、復興公営住宅においてみることができる。こちらは、「静かな」リーダーと呼ぶことにする。この特徴は次の通りである。
・聞き上手
・ 自分をあまり表に出さずに、入居者の総意をくみ上げる
・コミュニティづくりが徐々にだが、静かに進んでいく
筆者も、こちらについては、つい最近まで気が付くことがなかった。エネルギッシュなタイプに比べて、元から目につきにくい。それに加えて、重機とダンプが土煙を上げて動き回っている非日常の時期には、エネルギッシュなタイプがもつエネルギー、発信力、そして交渉力が一層貴重であり、インパクトも大きかった。この事実を尊重しながらも、今後の被災地では、「静かな」リーダーシップが持つ意味が大きくなる。その理由は次のようになる。
・エネルギッシュなリーダーは、絶対数が少ない。それに対し「静かな」タイプは、数が多い
・「静かな」タイプの方が高齢の入居者への負担が少なく、馴染みやすい
・次の項で説明するが、復興公営住宅におけるコミュニティづくりにおいて重要な役割を果たす女性入居者に対する聞き役の役割を果たしやすい・・・
(女性の力)
・・・復興公営住宅を回り、自治会の幹部にお目にかかると、ほとんどが60~70歳以上の男性である。
・・・興味深いのは、そこに女性の入居者の力をうまく巻き込むことができると、比較的に安定した自治会が出来上がる点である。理由は次の通りである。
・男性の自治会幹部たちが、角を突き合わせる時の緩衝材的な役割を果たす
・清掃、ゴミ捨てなど、復興公営住宅の日常の細部の担い手は女性入居者となる。その間の井戸端会議的な会話を介して、復興公営住宅内部の情報が自治会に集まる
・引き籠りがちな、気難しいところのある男性に対してもアプローチができる
上のような力を活用するのは、復興公営住宅におけるコミュニティづくりにおいて、欠かすことができない・・・
(まとめ)
・・・ここまで、次のような点を説明してきた。
・ 被災地において、重機が動き回る非日常的な時間帯が徐々に過ぎ去り、静かな日常というものが戻ってきている
・ 上の変化を背景として進んでいるのは、発災によって地縁社会から切り離された被災者の方々が、自らの潜在的な力を発揮しながら、新しいコミュニティを作ろうというストーリー
・ その際に、復興公営住宅におけるコミュニティづくりに携わる関係者が注意を払うべきなのは、①小さな単位、あるいは個人による活動の奨励、②静かなリーダー、③女性の力、の3つ
これを踏まえて、今後の静かな日常の中での復興公営住宅におけるコミュニティづくりを導く3つの考え方を次のように示したい。順不同である。
復興公営住宅におけるコミュニティづくりについての3つの考え方
・ 内発性⇒被災者の持っている潜在的な力を引き出す
・ 持続性⇒被災者の方々が、中途で疲弊、消耗してしまうことは避けなければならない
・ 暮らしの質⇒被災者の方々の手による、緩やかなものでいいので、日々の暮らしの質の向上をめざす。その際には、女性の力は欠かすことができない・・・
我が意を得たりです。これまでの災害復旧では見落とされた点であり、行政では十分手を出していない課題です。しかし、現地の関係者の間では「常識」でした。このように活字と象徴的な写真にすると、世間の皆さんに理解してもらえます。本多さん、ありがとうございます。関係者にとって必読の論文です。ぜひ読んでいただき、次の対策を考えて欲しいです。
砂原准教授、有権者と政党の責任
6月16日の朝日新聞オピニオン欄「舛添氏だけが悪いのか」に、砂原庸介・神戸大学准教授が出ておられました。「議会と政党も責任明確に」です。マスコミの、この数週間の舛添知事バッシング(というのでしょうか)に対し、少し違った角度からの分析と提言です。本文をお読みください。
若き大学院生だった砂原君(失礼)も、貫禄ある政治行政学者になりました。写真もね。
復興作文コンテスト
先日(6月12日)紹介した、「新しい東北」の作文コンテスト。入選作品を、ホームページに掲載しました。
長崎県の小学校1年生、黒川海空さんの「笑顔は魔法の調味料」から。デパートの東日本応援売り場で、ワカメスープを試食します。
・・・お母さんはスープを3ふくろかいました。おいしかったからおじいちゃんやおばあちゃんにもあげるそうです。きっとみんなこれを食べたらえがおになるとおもいます。東日本をおうえんするというのはみんながえがおになることだとおもいました・・・
小学生、中学生、高校生の若い感性を、お読みください。驚きますよ。